食道がん 〜治療ガイドライン

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目次:


IX.化学療法

要約

食道癌治療における化学療法は,主に術前術後の補助化学療法や放射線との併用による化学放射線療法など,手術や放射線などの併用で使用される。化学療法単独での適応は,遠隔転移を有する症例(M1b)や術後の遠隔再発例に限られる。現在では5-FU+シスプラチンが最も汎用されているが,生存期間延長のエビデンスは明確ではなく,姑息的な治療としての位置付けである。

単剤で有効性が示されている薬剤

食道癌に対する化学療法は5-FU,シスプラチン,マイトマイシンC,ブレオマイシン,ビンデシン,アドリアマイシン,パクリタキセル,ドセタキセル,ビノレルビン,ネダプラチン,イリノテカン,ゲムシタビンなどの多数の薬剤でその有効性は認められている(表3290-306)。単剤での奏効率は15〜44%と報告されているが,CR 症例は稀であり,単剤での生存延長は認められていない307)。現在最も汎用されている薬剤は5-FU とシスプラチンの2 剤であるが,この2 剤はそれぞれ単剤での効果とともに併用の際の相乗効果308)や放射線の増感作用も認められることが基礎的検討で証明され,かつ臨床での併用療法の良好な成績が多数報告されていることが汎用されている要因である。なお,わが国では現時点(2012 年2 月)でパクリタキセルの公知申請が承認されているが保険適用は認められていない。また,ビノレルビン,イリノテカン,ゲムシタビンの食道癌に対する保険適用も認められていない。

表3:食道癌に対する主な化学療法単剤での治療成績(わが国での保健適用既承認薬)

薬 剤

投与量・スケジュール

対象症例数

奏効率(%)

文 献

5-FU 500 mg/m2/日× 5 日

26

15

290

マイトマイシンC 20 mg/m2 4-6 週毎

24

42

292

シスプラチン 50 mg/m2 3 週毎

24

25

292

ビンデシン 3-4.5 mg/m2 毎週

23

18

299

ドセタキセル 70 mg/m2 3 週毎

48

21

304

ネダプラチン 100 mg/m2 &4 週毎

29

52

305

パクリタキセル 100 mg/m2 毎週×6,2 週休薬

52

44

306

*:わが国では現時点(2012 年2 月)で公知申請で承認

併用療法での治療効果

シスプラチンの臨床導入以来,本剤を中心とした種々の併用療法が展開されてきたが(表4),現在最も汎用されているのは5-FU+シスプラチンの2 剤併用である309-312)。本併用療法は単独で行われる場合海外では通常5-FU 1,000 mg/m2/日の4〜5 日間持続静注とシスプラチン100 mg/m2/1 日目の投与法で行われることが多い。わが国で行われた第II 相試験では5-FU 700 mg/m2/日,5 日間持続静注とシスプラチン70 mg/m2/1 日目の投与で奏効率36%と報告されている311)。本併用療法と無治療(best supportive care)との比較試験は,海外から一編の報告があるが,明らかな生存延長は証明されていない。しかし対症例に,治癒切除後の症例で,術後補助化学療法としての意味合いが強い症例が数多く含まれ,逆に肝転移が肝実質の30%以上を占めているものや腹膜播種を有する症例等が除外されていたことから,本併用療法の生存への効果は不明である312)。また近年海外では,パクリタキセル,イリノテカン,ゲムシタビンなど313-316),国内ではネダプラチン317),ドセタキセルなどを用いた併用療法も試みられているが,まだ大規模な第Ⅲ相試験の報告はなく,標準的治療に位置付けられている5-FU+シスプラチンを上回るメリットは未だ証明されていない。現時点でわが国では,初回治療としては5-FU+シスプラチンを行い,二次治療としてドセタキセルを行う場合が多い。いずれにしても上記の併用療法を含めた化学療法単独ではその効果に限界があり,化学療法単独の適応は切除不能の転移を有する症例に限られる。

汎用されるシスプラチンは,高度催吐性薬剤に位置付けられている。制吐薬適正使用ガイドラインでは,シスプラチンを含むレジメン使用時の予防対策として,5-HT3受容体拮抗薬+コルチコステロイドおよびアプレピタントの3 者併用療法を推奨している。その他の薬剤についても催吐性リスクを制吐薬適正使用ガイドライン等で確認し,それを指標とした予防対策が必要である。

表4:主な併用化学療法の治療成績

薬 剤

対象組織型

対象症例数

奏効率(%)

文 献

5-FU+シスプラチン

扁平上皮癌

39

36

311

シスプラチン+パクリタキセル

扁平上皮/腺癌

32

44

314

シスプラチン+イリノテカン**

扁平上皮/腺癌

35

57

315

シスプラチン+ゲムシタビン**

扁平上皮/腺癌

32

45

316

5-FU+ネダプラチン

扁平上皮癌

38

40

317

*:わが国では現時点(2012 年2 月)で公知申請で承認
**:わが国では現時点(2012 年2 月)で保健適用未承認

Clinical Question

CQ IX-1

ネダプラチンやドセタキセルは初回治療として推奨されるか?

Answer

現在,両薬剤を含んだ種々の併用療法の臨床試験が進行している。中でも5-FU+シスプラチンにドセタキセルを上乗せした3 剤併用療法に期待が集まっているが,十分評価ができる報告はみられない。現時点では,合併症等で5-FU+シスプラチンの投与が困難な症例に対して選択されるべき薬剤であり,PS など状態の良好な症例での初回治療として行う場合は,臨床試験として行うことが望ましい。

推奨事項

推奨される十分な根拠はない。[グレードC1]

【参考文献】

290) Edzinli EZ, et al: Chemotherapy of advanced esophageal carcinoma: Eastern Cooperative Oncology Group experience. Cancer. 1980; 46(10): 2149-53.

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X.放射線療法

要約

放射線単独療法に比較して同時化学放射線療法は有意に生存率を向上させるが,導入化学療法後の放射線療法は生存率を向上させない。同時化学放射線療法の適応は,全身状態のよいT1-4N0-3M0(UICC-TNM 分類2009 年版)および鎖骨上リンパ節転移(M1)までの局所進行例である。ただし,切除不能局所進行例(T4)では,瘻孔形成などの重篤な合併症の危険性は高くなる。

放射線単独療法の場合,照射期間の延長は局所制御率を低下させるので,根治的線量(66〜68.4 Gy)を7 週間以内で照射完了させることが重要である。同時化学放射線療法での根治照射には,少なくとも通常分割法で50 Gy/25 回/5 週以上に相当する線量が必要である。米国では50.4 Gy/28 回が同時化学放射線療法の標準的線量であるが,わが国では同時化学放射線療法においても60 Gy/30 回/6〜8 週程度の照射が標準的に用いられ,その安全性は確認されている。

外照射単独と腔内照射の併用はT1-2 症例の比較的早期の食道癌に有効とのわが国のランダム化比較試験があるが,最近では化学放射線療法が一般的になり,化学放射線療法に腔内照射の追加を推奨する根拠はない。

放射線療法はこれまで主として手術や内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)の適応外の症例を対象に行われてきたが,近年では表在癌,局所進行癌両者で放射線治療(特に化学放射線療法)が根治的治療法として広く行われている。

食道癌に対する標準的な放射線療法は,主に放射線治療計画ガイドライン2008(日本放射線科専門医会・医会,日本放射線腫瘍学会,日本医学放射線学会編)に従った318)。以下にその要点を記す。

A
  根治的放射線療法

適 応

放射線療法により全ての病巣の制御が期待でき,治癒が望める治療である。根治的照射の良い適応となるのは,T1-4N0-3M0(UICC-TNM 分類2009 年版)および鎖骨上窩リンパ節転移(M1)までの局所進行例である319-327)。なお化学療法を併用できる全身状態の良好な症例では,放射線単独療法よりも化学放射線療法が標準的治療である328, 329)

新鮮症例に対する根治的照射の他に,遠隔転移のない術後局所リンパ節再発あるいは術後残存腫瘍に対しても根治的化学放射線療法が行われ,良好な治療成績が示されている288, 330)

標的体積

a.肉眼的腫瘍体積(gross tumor volume:GTV)

GTV は,内視鏡およびCT 上での食道原発巣(GTV primary)と転移リンパ節(GTV nodal)とする。食道癌の場合,リンパ節の大きさでのリンパ節転移の判定は難しいが,放射線治療においては偽陰性率を下げるためにCT,MRI にて短径が5 mm 以上のリンパ節は転移巣とみなし治療するのが安全との報告がある331)

18F-fluorodeoxyglucose(FDG)-PET は,隠れた遠隔転移の発見など病期分類に有効であるが,食道癌での転移リンパ節検出の感度(sensitivity)および特異度(specificity)は必ずしも高くなく,PET 所見のみで転移リンパ節を判定し,治療計画を行うのは適切ではない332-335)。一方,PET/CT を用いた治療計画では,FDG 活性の閾値を適切に設定することで,原発巣(GTV primary)の範囲をCT 単独よりも正確に把握できるとの報告がある336-340)

b.臨床標的体積1(clinical target volume:CTV1)

内視鏡およびCT 上のGTV primary を含む食道全周に頭尾側方向に3〜4 cm 程度の顕微鏡的病変を見込んだ領域と,所属リンパ節領域をCTV1 とする。34 例の食道扁平上皮癌の切除標本の検討では,GTV からの平均顕微鏡的侵潤範囲は10.5±13.5 mm で,CTV マージンを3 cmとすると94%の症例で顕微鏡的進展範囲をカバーできると報告されている341)

ただし,EP およびLPM のT1a 癌であればリンパ節転移の可能性はほとんどないので,所属リンパ節への照射は不要である。一方,表在癌であってもMM およびSM 癌では10〜50%にリンパ節転移があるので,進行食道癌同様に所属リンパ節領域への予防的照射を行う必要がある。表5 に原発巣の部位別に標準的と考えられるCTV1 を記載したが318, 332),現時点ではどのリンパ節領域までをCTV とすべきかに関しての十分な根拠と合意はない。この領域には40〜46 Gy/20〜23 回照射する。なお表在食道癌(cT1N0M0)に対する化学放射線療法では,原発巣(GTV primary)の上下3 cm,前後左右は1〜2 cm の限局的照射野で良好な治療成績が報告されており,所属リンパ節領域を広く照射する必要性は低いとする意見もある342)

表5:原発巣の部位別に標準的と考えられるリンパ節領域(CTV1)
頸部食道原発(Ce): 中深頸リンパ節[102 mid]から気管分岐部リンパ節[107]まで
胸部上部食道原発(Ut): 鎖骨上リンパ節[104]から胸部中部食道傍リンパ節[108]まで
胸部中部食道原発(Mt):
  1. a.鎖骨上リンパ節[104]から胸部下部食道傍リンパ節[110]まで,あるいは胃周囲リンパ節まで
  2. b.反回神経リンパ節[106 rec]および胸部上部食道傍リンパ節[105]から胸部下部食道傍リンパ節[110]まで,あるいは胃周囲リンパ節まで
胸部下部食道原発(Lt): 反回神経リンパ節[106 rec]および胸部上部食道傍リンパ節[105]から胃周囲リンパ節まで
高齢者や合併症を有する患者: 原発巣周囲のリンパ節領域のみ
  1. 注1:食道癌所属リンパ節のCT 画像上の位置は,臨床・病理食道癌取扱い規約2008 年4 月,第10 版捕訂版に記載されている。
  2. 注2:胃周囲リンパ節:噴門リンパ節[1,2],小彎リンパ節[3],および左胃動脈幹リンパ節[7]
  3. 注3:胸部中部食道原発(Mt)の場合のCTV1 に関しては,一定のコンセンサスはない。
c.臨床標的体積2(CTV2)

CTV1 に対する40〜46 Gy 照射後のCTV2 は,GTV primary を含む食道全周に頭尾側方向2 cm 程度,側方向0〜0.5 cm 程度のマージンを付けた領域,および転移リンパ節(GTV nodal)に側方向0〜0.5 cm 程度のマージンを付けた領域とする。

d.計画標的体積1(planning target volume:PTV1)

放射線治療開始時の計画標的体積は,CTV1 に呼吸性移動,患者固定再現性の誤差などを見込んで,適切なマージン(側方向0.5〜1 cm,頭尾側方向1〜2 cm)を加えたものとし,PTV1 とする。特に胸部下部食道癌では呼吸性の移動が大きく,側方向0.8 cm,頭尾側方向1.8 cm のマージンが必要との報告がある343)

e.計画標的体積2(PTV2)

40〜46 Gy 時点での照射野縮小に際しては,CTV2 に適切なマージン(側方向0.5〜1 cm,頭尾側方向1〜2 cm)を含め,PTV2 とする。

放射線治療計画および照射法

CT 画像をもとにする三次元治療計画法を推奨する。この方法では標的体積とリスク臓器の位置関係が三次元的に把握でき,リスク臓器への線量を低減できる高精度放射線治療が実施できる332)。なお,表在癌などCT で病変が描出できない場合は,あらかじめ内視鏡で病変の上下にクリッピングしてからCT 撮影を行う。食道癌に対する治療計画における注意すべきリスク臓器としては,肺,心臓,脊髄などが挙げられる332)

外照射には6〜10 MV のX 線を推奨する。線量評価点は,PTV 内の適切な点で評価する。照射法は固定多門照射あるいは途中で照射野変更し,脊髄への累積最大線量を44〜46 Gy 以下に抑える。また,治療計画に習熟した放射線腫瘍医,医学物理士がおり放射線治療の十分な品質管理が行える施設では頸部食道癌などに強度変調放射線治療(IMRT)が用いられることもある344)

線量分割

分割法は一般に通常分割照射が用いられる。海外では50 Gy/25〜28 回/5〜6 週程度が化学放射線療法における標準的線量分割であるが345),わが国では化学放射線療法の場合60 Gy/30 回/6〜8 週程度,放射線単独療法では60〜70 Gy/30〜35 回/6〜7 週が標準的に用いられている319-327, 346, 347)。化学放射線療法についてはXI 章で詳しく述べられている。

食道扁平上皮癌の放射線治療において全照射期間は重要な因子で,全照射期間が延長すると局所制御率が下がることが知られている348)。このため放射線治療単独の場合,治療期間の延長は極力避けるようにしなくてはならない。

腔内照射

わが国では腔内照射により腫瘍に十分な線量を照射できる食道表在癌は腔内照射の良い適応と考えられている321, 349-357)。単施設からの遡及的報告では,食道表在癌に対する腔内照射の追加により良好な治療成績が得られたとの報告がある349-352)。一方,根本ら353)のわが国の多施設での成績をまとめた報告では,外照射単独と腔内照射の併用による生存率の差はなかった。食道表在癌のみを対象としたランダム化比較試験での有効性は証明されていないが,わが国での進行癌を含んだ腔内照射のランダム化比較試験では,腔内照射は長径5 cm 以下の症例,あるいは深達度T1,2 の食道癌に有効とされている358)。しかしながら,最近では化学放射線療法が一般的になっており,化学放射線療法に腔内照射を追加する場合の有効性と安全性は必ずしも明らかではない。

腔内照射で使用するアプリケーターは直径15〜20 mm のバルーン式のものを使用し,線源の偏在を避ける。線量評価点はアプリケーター表面から5 mm 外側(粘膜下5 mm)とし,粘膜表面の線量も併記する。腔内照射の至適線量については外照射線量とも関連するため明確なコンセンサスはないが,50〜60 Gy の外照射に引き続き,8〜12 Gy/2〜4 回(1 回3〜4 Gy)の腔内照射を追加するのが一般的である318-320)。腔内照射では1 回線量が大きくなると食道潰瘍・穿孔などの晩期合併症の危険が高くなるので320, 350),高線量率照射では1 回線量4 Gy 以下,低線量率照射では1 回線量6 Gy 以下とし週1〜2 回の照射が推奨されている318, 320)

合併症

早期有害事象としては放射線皮膚炎,放射線食道炎,放射線肺炎が代表的である。放射線食道炎はほぼ必発であるが,食道真菌症や逆流性食道炎の可能性も常に考慮しておく。放射線肺炎も時に重篤になるが,感染症や癌性リンパ管炎との鑑別が必要である。

晩期有害事象としては食道穿孔,出血は放射線治療症例の数パーセントに発生する。T4 症例では頻度が高くなる。高線量率腔内照射を併用した際には食道潰瘍および穿孔の発生には特に留意する必要がある320, 350)。化学放射線療法後の腔内照射ではこの頻度はさらに増加する359-361)。このほか全周性の症例や,EMR を繰り返した症例などでは食道狭窄も生じる。高齢者では放射線肺炎が致命的となることがあり,治療計画において肺への線量に注意が必要である362)。照射野内の胸椎圧迫骨折は,骨転移との鑑別が必要となる場合があり注意が必要である。

化学放射線療法では放射線心外膜炎に伴う心嚢液貯留や収縮性心外膜炎,放射線胸膜炎による胸水貯留などの頻度が高くなる363, 364)。放射線脊髄炎は重篤かつ稀な晩期合併症であるが,同時化学放射線療法では脊髄への線量が44 Gy でも放射線脊髄炎を起こしたとの報告があり365),特に注意を要する合併症である。その他,頸部への照射が行われた症例では,照射後数年で甲状腺機能低下症が発現し,放射線心外膜炎,放射線胸膜炎の増悪因子となるので,長期生存例では定期的な甲状腺機能のチェックが必要である364)

B
  症状緩和のための放射線療法

自覚症状,QOL の改善を目的として行われる放射線療法で癌病巣の治療効果は問わないものとする。骨転移,脳転移などの遠隔転移への照射の他,食道癌では嚥下困難を改善する目的で原発巣に照射される場合がある。嚥下困難改善に腔内照射単独治療が有用との報告があるが366-368),わが国ではほとんど行われていない。

緩和的照射においては放射線療法が患者の全身状態に与える影響を考慮し,目的達成のための必要最低限度の照射野と総線量を設定し可能な限り短期間で治療が終了するように努める。

Clinical Question

CQ X-1

切除可能例(T1-3N0-3M0,UICC-TNM 分類2009 年版)に根治照射を行う場合,化学療法と放射線療法の同時併用は推奨されるか?

Answer

遠隔転移のない非切除食道癌を対象に放射線療法単独と化学放射線療法を比較したメタアナリシスは2 報ある328, 329)。2001 年までに報告された同時併用化学放射線療法の7 報あるいは化学療法を先行する順次併用化学放射線療法の5 報のランダム化比較試験369-371)のメタアナリシスでは,1 年生存率をエンドポイントとして,同時併用では死亡率を39%(P<0.00001)低下させることが示された328)。一方,順次併用では生存率の向上は示されなかった。2005 年4 月までに報告された同時併用化学放射線療法の11 報あるいは化学療法を先行する順次併用化学放射線療法の8 報のランダム化比較試験のメタアナリシスでは,同時化学放射線療法によって生存率曲線のハザード比が27%低下した(P<0.00001)329)。また同時化学放射線療法によって局所再発率も有意に低下した。また,同時化学放射線療法では重篤な急性障害が有意に増加することも明らかにされた。一方,順次併用化学放射線療法では生存率も局所制御率も向上せず,急性障害は有意に増加した。以上の根拠より根治照射例(T1-3N0-3M0)には,同時化学放射線療法が強く推奨される。ただし,同時化学放射線療法では急性障害も増加するので,その対象は全身状態のよい根治照射例とした。

推奨事項

全身状態のよい切除可能例(T1-3N0-3M0,UICC-TNM 分類2009 年版)に根治照射を行う場合,同時化学放射線療法が強く推奨される。[グレードA]

CQ X-2

切除不能局所進行例(T4N1-3M0,UICC-TNM 分類2009
年版
)に同時化学放射線療法は推奨されるか?

Answer

欧米ではT4 症例は姑息照射と考えられているため,先ほど述べた放射線単独と化学放射線療法のメタアナリシスのもととなるランダム化比較試験の対象には切除不能局所進行例(T4N0-3M0)はほとんど含まれていない369-371)。一方,わが国ではこれまで食道癌は手術が第一選択の治療法と考えられてきたため,化学放射線療法は主としてT4 あるいは鎖骨上窩リンパ節転移を有する症例を対象に行われてきた。これらの報告では瘻孔形成などの合併症の危険性は高いものの,同時化学放射線療法によって切除不能局所進行例(T4N0-3M0)にも10〜20%の長期生存例が報告されている325-327)

推奨事項

同時化学放射線療法は切除不能局所進行例(T4N0-3M0,UICC-TNM 分類2009 年版)にも長期生存が期待できる治療法として推奨される。[グレードB]

CQ X-3

同時化学放射線療法での根治照射に必要な線量はいくらか?

Answer

同時化学放射線療法での合計線量に関しては,メタアナリシスにおいて様々な線量分割を時間因子を加味したbiologically equivalent dose(BED)に換算して分析した結果,50 Gy/25 回/5 週に相当するBED:38 Gy 未満でのランダム化比較試験では有意な生存率の向上はみられず,BED:38 Gy 以上でのみ同時化学放射線療法による有意な生存率の向上が示されている329)。ま た,50.4 Gy/28 回/5.6 週と64.8 Gy/36 回/7.2 週の同時化学放射線療法をランダム化比較した米国の試験にて両群の生存率に有意差がないとの報告があり345),米国では同時化学放射線療法は通常分割法で50 Gy が標準的である。一方,わが国からの報告は同時化学放射線療法においても約60 Gy/30 回/6〜8 週までの照射が基本となっており,合計60 Gy までは比較的安全に照射できる323-327, 364)。わが国の放射線治療の実態を調べたpatterns of care study(PCS)によると,1999 年から2001 年では約半数に同時化学放射線療法が行われ,化学放射線療法群の外照射線量の中央値は60 Gy であり,放射線単独群の中央値と同等であった346, 347)

推奨事項

同時化学放射線療法での根治照射には,少なくとも通常分割法で50 Gy/25 回/5 週以上に相当する線量が必要である。[グレードA]

CQ X-4

放射線単独治療の場合,休止による照射期間の延長は許容されるか?

Answer

食道扁平上皮癌の放射線治療において全照射期間は重要な因子で,放射線治療単独で治療する場合,全照射期間が延長すると局所制御率が下がることが知られている348)。中国で行われた全照射期間を短縮するため治療の後半で1 日2 回の過分割照射を行う後期加速過分割照射(68.4 Gy/41 回/6.4 週)と通常分割照射法(68.4 Gy/38 回/7.6 週)とのランダム化比較試験では,全照射期間が約1 週間短い後期加速過分割照射により生存率が有意に向上した372)。その後,同一のグループでさらなる照射期間の短縮の有効性を明らかにするために,後期加速過分割照射(68.4 Gy/41 回/6.4 週)と連続加速過分割照射(66 Gy/44 回/4.4 週)のランダム化比較試験が行われた373)。その結果,照射期間を4.4 週に短縮すると放射線食道炎などの急性障害が増強するが,局所制御率および生存率には差がなかった。また,化学療法同時併用後期加速過分割照射と後期加速過分割照射単独とのランダム化比較試験では,後期加速過分割照射単独の生存率がやや低かったが有意差は認められなかった374)。以上より,放射線単独治療を行う場合,根治的線量66〜68.4 Gy を7 週間以内で照射完了させることが重要と考えられる。これは1 回線量2 Gy での通常分割照射法(66 Gy/33 回/6.6 週),あるいは後期加速過分割照射(68.4 Gy/41 回/6.4 週)を休止なく照射することで可能となる。一方,加速過分割照射による著しい照射期間の短縮の効果は示されていない。

推奨事項

放射線単独治療では,休止期間をおかず合計線量66〜68.4 Gy を7 週間以内に照射完了することが勧められる。[グレードB]

CQ X-5

化学放射線療法に腔内照射の追加は推奨されるか?

Answer

食道表在癌は外照射単独と腔内照射の併用の良い適応と考えられ,単施設からの遡及的報告では,腔内照射の追加により良好な治療成績が得られたとの報告がある349-352)。しかしながら,最近では化学放射線療法が一般的になっており,化学放射線療法に腔内照射追加の有効性と安全性は必ずしも明らかではない。インドで行われた照射単独と化学放射線療法のランダム化比較試験では,化学放射線療法後に腔内照射を追加した群で瘻孔形成が多発したため,腔内照射の併用を中止したとの報告があり359),その他にも化学放射線療法後の腔内照射で瘻孔形成が報告されている360, 361)。以上より,化学放射線療法には腔内照射を併用しないのが安全である。

推奨事項

化学放射線療法に腔内照射の追加を推奨する根拠はない。[グレードC2]

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XI.化学放射線療法

要約

食道癌において化学放射線療法は放射線単独療法に比べ有意に生存率を向上させることが比較試験で証明されており369-371),非外科的治療を行う場合の標準的な治療として位置付けられる。根治を目指した化学放射線療法の対象となる症例は,T1-3N0-3M0(UICC-TNM 分類2009 年版)の切除可能症例,切除不能のT4N0-3M0,および所属リンパ節ではないリンパ節(M1)転移例である。切除可能症例での化学放射線療法と外科手術単独との比較試験では324, 375-377),全生存率,無再発生存に差はないとする報告もある。しかし,わが国では,Stage IA(T1N0M0,UICC-TNM 分類2009 年版)症例では,化学放射線療法と外科手術の同等性が期待されているものの342),StageⅠB-Ⅲ(UICC-TNM 分類2009 年版)症例では,術前化学療法+手術の成績が化学放射線療法を上回ると推定されている257, 378)。臨床試験での薬剤投与量・放射線照射線量・治療スケジュールなどは様々な方法での報告がなされており一定していないが,5-FU とシスプラチンによる併用化学療法に放射線照射を50〜60 Gy 同時に併用する治療法が最も汎用されている。いずれの治療成績も十分な化学療法と放射線照射によって成り立っていることを認識する必要がある。

根治的化学放射線療法の照射線量

米国Radiation Therapy Oncology Group(RTOG) でのT1-4N0-1M0(UICC-TNM 分類2002 年版相当)食道癌に対する放射線単独療法(64 Gy)と同時併用化学放射線療法(5-FU+シスプラチン+放射線照射50 Gy)のランダム化比較試験(RTOG8501)では,それぞれの5 年全生存率が0%,26%と有意(P<0.0001)に後者の成績が良好であったことから,非外科的治療としては化学放射線療法を行うことが強く推奨される371)。また,化学療法と放射線療法のタイミングは同時併用が順次併用より有意(P<0.0001)に死亡率を下げることがメタアナリシスでも明らかにされている328)。さらに,その後RTOG を中心に,T1-4N0-1M0(UICC-TNM 分類2002 年版相当)食道癌を対象に行われた標準線量(50.4 Gy)と高線量(64.8 Gy)の放射線照射を用いた化学放射線療法同士のランダム化比較試験(RTOG9405/INT0123)では,生存期間中央値,2 年生存率,局所制御率のいずれにおいても高線量群の優越性は認められず,5-FU とシスプラチンを併用した化学放射線療法として行う場合の放射線療法の標準線量は50.4 Gy(1.8 Gy×28 回)であると結論している345)。一方,わが国では60 Gy の照射を行っている報告が多く325, 342, 364, 377-379),標準的な線量分割は定まっていないが,RTOG のレジメンに従って,1.8 Gy×28 回(計50.4 Gy)への移行が一部の施設で検討されている380, 381)。放射線照射法および線量分割に関しては,「X.放射線療法」の項を参照されたい。

根治的化学放射線療法で用いる化学療法

化学療法は,5-FU+シスプラチンが標準である。前述のRTOG9405/INT0123 試験では,5-FU 1,000 mg/m2/日を4 日間持続静注,シスプラチン75 mg/m2を1 日目に点滴静注するスケジュールを4 週ごとに計4 コース(最初の2 コースは放射線と同時併用)行うスケジュールとしている345)。国内での5-FU+シスプラチンの投与法は一定していないが,Japan Clinical Oncology Group(JCOG)で行われたStageⅠ食道癌〔(T1N0M0,UICC-TNM 分類1997 年版,(*2009 年版ではStage IA:T1N0M0 に相当)〕に対する化学放射線療法(5-FU+シスプラチン+放射線照射60 Gy)の第Ⅱ相試験(JCOG9708)では,5-FU 700 mg/m2/日を4 日間持続静注,シスプラチン70 mg/m2を1 日目に点滴静注するスケジュールを4 週間隔で2 コース行うスケジュールで行われた342)。JCOG9708 の完全奏効率は87.5%,4 年全生存率は80.5%,4 年無増悪生存率は68%であり,外科手術との同等性が期待された。現在,外科手術との第Ⅲ相比較試験(JCOG0502)が行われている。同じく,JCOG で行われた手術可能なStageⅡ-Ⅲ食道癌に対する化学放射線療法(5-FU+シスプラチン+放射線照射60 Gy)の第Ⅱ相試験(JCOG9906)では,5-FU 400 mg/m2/日を5 日間持続静注で2 週間,シスプラチン40 mg/m2を1 日目と8 日目に投与するスケジュールで,5 週ごとに計4 コース(最初の2 コースは放射線と同時併用)行うスケジュールであった378)。一方,わが国でもRTOG のレジメンに従った化学療法の投与が検討されている380)。いずれにおいても,放射線療法との同時併用は2 コース行われている。また,化学放射線療法後の追加化学療法施行の有無は様々であるが,StageⅡ-Ⅲでは2 コース追加している場合が多い。表6 に根治的化学放射線療法の主な治療スケジュールを示す。

表6:主な根治的化学放射線療法の治療スケジュール

報告者

対象病期

化学療法剤

放射線照射

5-FU

シスプラチン

期間×
コース数

1 回量×
回数

split

RTOG T1-4N0,1M0 1,000 mg/m2/日×4 日 75 mg/m2 4 週ごと×4 1.8 Gy×28

なし

JCOG9708 T1N0M0 700 mg/m2/日×4 日 70 mg/m2 4 週ごと×2 2.0 Gy×30

1 週

JCOG9906 T4N0,1M0 400 mg/m2/日×10 日 40 mg/m2×2 4 週ごと×2 2.0 Gy×30

2 週

Ohtsu T4/M1/LYM 400 mg/m2/日×10 日 40 mg/m2×2 5 週ごと×2 2.0 Gy×30

2 週

Nishimura T4M0 300 mg/m2/日×14 日 10 mg/m2 4 週ごと×2 2.0 Gy×30

1 週

JCOG0303 T4/M1LYM 700 mg/m2/日×4 日 70 mg/m2 4 週ごと×2 2.0 Gy×30

1 週

KROSG0101 Stage Ⅱ-ⅣA 700 mg/m2/日×5 日 70 mg/m2 4 週ごと×2 2.0 Gy×30

1 週

Nakajima Stage Ⅱ/Ⅲ 1,000 mg/m2/日×4 日 75 mg/m2 4 週ごと×4 1.8 Gy×28

なし

注)国内での現在進行中の臨床試験では放射線照射split なしのスケジュールが多く採用されつつある。

根治的化学放射線療法による有害事象

化学放射線療法の有害事象は,化学療法に起因するものと放射線療法に起因するもの,両者に起因するものが挙げられるが,厳密に区別することは難しい。主な早期有害事象としては,悪心・嘔吐・骨髄抑制・食道炎・口内炎・下痢・便秘,放射線性肺臓炎などが挙げられる。特に放射線性肺臓炎は致死的になるため,あらかじめ予測できることが望ましいが,放射線照射のdose-volume histogram(DVH)パラメーターが予測に有用であると報告がある382)。一方,晩期有害事象としては放射線性心外膜炎,放射線性胸膜炎,胸水,心嚢水貯留などが挙げられる。頸部への放射線照射が行われた症例では,甲状腺機能低下が発症する場合があり,胸水や心嚢水の貯留を伴うことがあるので注意が必要である363, 378, 379, 383, 384)。稀ではあるが,胸推圧迫骨折や放射線脊髄炎などの報告もある(X. 放射線療法の項参照)。このような晩期毒性に関してはリスク臓器である肺や心臓への放射線照射量が問題とされており,その軽減のためCT 画像を基にした3 次元照射計画法が一般的になっている325, 384)

食道癌の化学放射線療法中に起こり得る有害事象として,シスプラチンが原因と考えられるsyndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone(SIADH)385, 386)や5-FU が原因と考えられる白質脳症387)も注意が必要で,早期発見と迅速な対応,特に薬剤が投与中であれば速やかな薬剤の中止が必要である。

治療後の経過観察

根治的化学放射線療法の経過観察は通常造影CT および内視鏡検査を用いて行われる。効果判定および経過観察の期間についてはその妥当性を示す明確なエビデンスはないが,多くは化学放射線療法終了3〜4 週後と追加化学療法各コース終了後に行い,その後は1 年目は3 カ月ごと,2 年目以降は4〜6 カ月ごとに経過観察を行う場合が多い。しかし,化学放射線療法の遺残や再発としては食道原発巣とリンパ節が最も多く,その大部分は治療開始から1〜2 年以内である。したがって,救済(サルベージ)治療を考慮する場合には,原発巣の評価は重要である。原発巣評価の最初の内視鏡的評価は化学放射線療法開始から75〜90 日目と,その1 カ月後以内に行うのが,増悪の判断とCR 判定にもっとも効果的であると報告がある388)。また,食道癌は経過中に食道内他部位や他臓器(頭頸部・胃・大腸)などのいわゆる多重癌を併発しやすいことから389, 390),慎重な経過観察と適切な対処が必要である。

根治的化学放射線療法後の局所遺残・再発例に対する救済(サルベージ)治療

根治的化学放射線療法後の局所遺残・再発例に対しては,最近内視鏡治療や外科手術による救済治療の試みが報告されている(Y章-F. サルベージ手術の項参照)。サルベージ内視鏡治療 に関しては,内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection やESD:endoscopic submucosal dissection),光線力学療法(PDT:photodynamic therapy)による試みがなされ, 安全性は問題なく長期的な成績も良好であると報告されている58, 255, 256, 391)。しかし,治療適応の基準や治療法の選択に関してはまだ十分な評価はなされていない。一方,サルベージ手術(VI 章-F. サルベージ手術の項参照)でも治癒が得られるが,手術関連有害事象と死亡率が高く237, 238, 241, 244, 246, 247, 392),その術式やリンパ節郭清範囲も明確ではなく,現時点では一般診療とはなっていない。サルベージ手術では,遺残・再発病変の深達度が浅い場合やリンパ節の遺残・再発が無い場合は長期成績が得られる可能性があるとする報告がある237, 246)。根治的化学放射線療法後の原発巣の遺残・再発を早期に発見するためには,ベースラインのT 因子が大きいほど再発しやすいことや393),粘膜下腫瘍様の隆起で再発することが多いこと394)に注意して,内視鏡による厳重な経過観察を行うことも必要である。

Clinical Question

CQ XI-1

根治的化学放射線療法の適応となる対象は?

Answer

EMR・ESD の適応となる早期癌(StageⅠA,T1aN0M0,UICC-TNM 分類2009 年版)と遠隔転移有する症例を除く,全ての症例で適応となり得る。しかし,わが国においては,切除可能症例のうち,StageⅠでは外科手術,T4 を除くStageⅡ〜Ⅲでは術前化学療法+外科手術が標準的治療であり,手術に適さないかあるいは手術を希望しない症例に対して根治的化学放射線療法が推奨される。放射線単独との比較試験(RTOG8501)では371),化学療法を加えることでの明らかな生存率の向上が示されている。また,香港で行われた外科手術との比較試験では,全生存率,無再発生存において差がなかったと報告されている。国内での主な臨床試験の報告では,StageⅠ(JCOG9708) では4 年全生存率は80.5%342),T4 を除くStageⅡ〜Ⅲ(JCOG9906)では5 年生存率36.8%378),所属リンパ節以外のリンパ節転移を有するT4 症例では3 年生存率20%前後と報告されている364)

推奨事項

MR・ESD の適応となる早期癌と遠隔転移を有する症例を除き,非外科的治療を希望する全身状態が良好な食道癌症例には,根治的同時併用化学放射線療法を強く勧める。[グレードA]

CQ XI-2

少量持続投与の5-FU+シスプラチンを用いた化学放射線療法は推奨されるか?

Answer

少量持続投与の5-FU+シスプラチンを用いた化学放射線療法は様々なスケジュールを用いた報告がみられる。JCOG において行われた「切除不能局所進行症例を対象として少量持続投与と標準量の5-FU+シスプラチンを用いた化学放射線療法のランダム化第Ⅱ〜Ⅲ相試験(JCOG0303)」の第Ⅱ相段階での解析では,毒性は両群に差がなく,低用量群ではより長期的な入院期間が必要であったと報告された379)。一方,Nishimura らも,StageⅡ〜ⅣA を対象として少量持続投与と標準量投与の5-FU+シスプラチンを用いた化学放射線療法のランダム化第Ⅱ相試験(KROSG0101/JROS021)を行い,有意差はないものの,少量持続投与の生存率が低かったと報告している364)

推奨事項

少量持続投与の5-FU+シスプラチンを用いた化学放射線療法は,入院期間を考慮すれば,推奨される十分な根拠はない。[グレードC2]

CQ XI-3

術前化学放射線療法奏効例での手術は推奨されるか?

Answer

欧州から術前化学放射線療法+手術と根治的化学放射線療法とのランダム化比較試験が2 つ報告されている395, 396)。フランスでの比較試験(FFCD9102)では395),切除可能T3 症例を対象に,まず,5-FU+シスプラチンと放射線照射(30〜46 Gy)の同時併用を行い,奏効した症例を手術群と化学放射線療法を根治量まで追加する群とに無作為に割付するデザインで行われた。その結果,追加手術群と追加化学放射線療法群の2 年生存率は34%,40%と両群間に差はみられなかった(HR 0.9,P=0.44)。一方,ドイツの比較試験は396),T3-4 症例を対象に,化学療法(5-FU/ロイコボリン+エトポシド+シスプラチン)後に化学放射線療法(エトポシド+シスプラチン+放射線40 Gy)を行った後,全例を手術群と追加化学放射線療法群(総線量60 Gy)とに割付するデザインで行われた。その結果,手術群のほうが良好な生存率を示したものの有意差には至らず(P=0.06),追加手術の意義は確立されていない。この試験においても術前化学放射線療法奏効例のみでの後層別解析では,3 年生存率に全く差がみられていない。また,いずれの試験においても,追加手術群での手術関連死亡が9%発生しており,安全性の面での問題も残している。Fujita らも,化学放射線療法の奏効例に対する追加手術群と化学放射線療法継続群での生存の差はなかったと報告している397)ことから,現時点では少なくとも化学放射線療法奏効例での追加手術を推奨する根拠は乏しいと考えられる。

推奨事項

術前化学放射線療法奏効例に手術を行うことに対する推奨される十分な根拠はないが,行うことを考慮してもよい。[グレードC1]

CQ XI-4

化学放射線療法後の追加化学療法は必要か?

Answer

追加化学療法施行の意義は明確化されていない。しかし,現時点で根治的化学放射線療法に関する最も大規模なデータであるRTOG850325),INT0123(RTOG9405)345),国内でのOhtsu ら325),Nishimura らの試験326),JCOG9906378)でも追加化学療法が2 コース行われており,その治療成績はこれらの追加化学療法を含んだ成績であることから,原則的に施行することが勧められる。一方,StageⅠに関しての大規模な試験の報告はJCOG9708 以外になく342),本試験では追加化学療法は行われていない。

推奨事項

化学放射線療法後に追加化学療法は行うことはStageⅡ-Ⅲでは推奨される[グレードB]が,StageⅠでは推奨される十分な根拠がない。[グレードC2]

CQ XI-5

根治的化学放射線療法の前に導入化学療法は推奨されるか?

Answer

RTOG において,切除不能食道癌に対し,5-FU(700 mg/m2,5 日間)+シスプラチン(15 mg/m2,5 日間)+パクリタキセル(200 mg/m2,1 日目)を2 コース行った後に,5-FU(300 mg/m2,4 日間)+パクリタキセル(50 mg/m2,1,8,15 日目)+放射線照射(1.8 Gy×28 回,50.4 Gy)を行う群と,初日にパクリタキセル(175 mg/m2)投与後にシスプラチン(75 mg/m2)を投与するレジメンを3 週間隔で2 コース行った後に,シスプラチン(30 mg/m2)とパクリタキセル(60 mg/m2)を1,8,15,22,29 日目に投与しながら放射線照射(1.8 Gy×28 回,50.4 Gy)を行う群の比較試験(RTOG0113)が行われた398)。この試験は,いずれかのレジメンによる治療群が,INT0123/RTOG9405 試験の1 年生存率66%を上回る77.5%を超えることをプライマリーエンドポイントにしていたが,いずれのレジメンもエンドポイントに達しなかった。またそれぞれ27%,40%のグレード4 の毒性があったため,有望な治療とはされなかった。

推奨事項

根治的化学放射線療法の前に導入化学療法を推奨するだけの十分な根拠はない。[グレードC2]

CQ XI-6

化学放射線療法は組織型別に効果は違うか?

Answer

RTOG8501 の長期成績からは371),扁平上皮癌と腺癌での5 年生存率に差がない(16.9% vs. 12.2%)ことから,いずれの組織型でも化学放射線療法の効果は期待できる。

推奨事項

扁平上皮癌と腺癌のいずれの組織型でも化学放射線療法は適応となるが,国内では腺癌のまとまったデータがないので,効果の違いは不明である。

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XII.バレット食道およびバレット癌に対する診療

要約

バレット粘膜を有する食道をバレット食道と呼ぶ155, 399)。バレット粘膜は内視鏡で確認できる胃から連続性に食道に延びる円柱上皮化生のことであり,組織学的な特殊円柱上皮化生の確認は必要としない155, 400-405)。バレット粘膜は組織学的には,①円柱上皮粘膜領域内の食道固有腺,②円柱上皮内の扁平上皮島,③粘膜筋板の二重構造のうち,いずれかの所見が認められる155)。バレット癌はバレット粘膜に生じた腺癌と定義される155)。早期癌,表在癌,進行癌の定義は食道癌と同一であるが,深層粘膜筋板が本来の粘膜筋板として取り扱われる155)。バレット癌の治療はその占居部位における食道扁平上皮癌に準じて行われる155)。内視鏡的切除術の適応は,壁深達度が粘膜固有層内にとどまるものであり(EP,SMM およびLPM),相対適応は現在検討されている。

Clinical Question

CQ XII-1

Gastroesophageal reflux disease(GERD)はバレット食道の原因になるか?

Answer

食道内酸暴露時間の延長やPPI 治療などによる短縮がバレット粘膜の伸長・短縮と直接関連しているとした論文はない。だが,食道内酸曝露時間がバレット粘膜の長さと有意に相関したとの報告406)や,3 cm 以上のバレット粘膜で酸分泌抑制剤を2 年間投与し,オメプラゾール群ではラニチジン群より有意にバレット粘膜長の縮小を認めたとの報告があり407),PPI による食道内酸曝露時間の短縮は,バレット粘膜を縮小させることがある。また,GERD 患者の中でも加齢,男性,喫煙,肥満がバレット食道の独立した危険因子である408)との報告がある。

CQ XII-2

術後食道炎でバレット食道は生じるか?

Answer

胃・食道切除術後食道炎でも円柱上皮化生が発生することがある。食道癌に対する胃管再建後に円柱上皮化生の発生が指摘されている408-412)が,胃酸の関与しない胃全摘術後でも円柱上皮化生の出現が指摘されている413-415)。この原因としては十二指腸液の高度の逆流の関与が想定されているが,十二指腸潰瘍患者の手術ではRoux-en-Y 吻合がBillrothⅡ 法より,バレット食道の発生率が低いとの報告416)がある。また,高度の食道アカラシア患者で食道亜全摘患者でも経年とともに食道炎,バレット粘膜,食道癌の率が高まると報告されている417)

CQ XII-3

バレット食道の適切なサーベイランス法とフォローアップ法は?

Answer

①サーベイランス法:バレット食道の存在を予測するための信頼できる問診表は開発されていない。GERD 症状はLSBE の予測因子となり得るものの,SSBE はGERD 症状と関連がみられない418)。したがってどのような対象に対して積極的にバレット食道を疑って上部消化管内視鏡をすべきかについては明らかでない。欧米の学会によるガイドラインでもスクリーニングを行うべき対象については様々であり統一された見解はみられていない。

現在では,複数の学会からバレット食道のスクリーニングの方法として上部消化管内視鏡が勧められており419-422),実際に行われている。しかし内視鏡によるスクリーニングが食道腺癌に関する死亡率低下に寄与するかどうかの検討はなされておらず,費用対効果の観点も含めて今後の検討課題と思われる。

また近年では,バレット食道のスクリーニングにおいて,研究段階ではあるがAFI(Autofluorecence imaging)423)や経鼻内視鏡424),カプセル内視鏡425, 426)などの有用性が報告されてい る。さらに内視鏡以外のスクリーニング法としてCytosponge の有用性が報告されているが,比較的簡単に上部消化管内視鏡ができる環境にあるわが国にはそぐわないかもしれない427)

バレット腺癌の検出に関しては,欧米のガイドラインでは肉眼的に認識できる粘膜異常を示す部位以外に,random biopsies または2 cm 間隔でのquadrant biopsies を行うことが推奨されている。一方で,バレット食道の中で癌が疑わしい部位を効率良く見つけ出すための試みとしてとして,色素内視鏡(メチレンブルー,クリスタルバイオレット,インジゴカルミン,酢酸など)428),拡大内視鏡428),画像強調観察(NBI:Narrow-band imaging429)やAFI430))またはそれらの併用(ETMI:Endoscopic tri-modal imaging)431),OCT(Optical coherence tomography)432),共焦点レーザー顕微鏡434)などの有用性が報告されており,バレット食道癌の検出向上が期待される。

①フォローアップ法

<海外のガイドライン>

ACG(American College of Gastroenterology)のガイドラインでは,①異形成のないバレット食道では3 年おきの内視鏡検査,②軽度異形成を伴うバレット食道では6 カ月おきの生検を伴う内視鏡検査,そして異形成が消失した場合は1 年おきの内視鏡検査,③高度異形成を伴うバレット食道では,粘膜の不整がある場合は内視鏡的切除,ない場合は3 カ月おきの生検を伴う内視鏡検査を行い,場合によっては内視鏡的あるいは外科的治療を行う。生検は,4 方向2 cm おきの生検とし,習熟した病理医によって診断されることとされている422, 434-439)

最近のイギリスでの調査では,実際には異形成を伴わないバレット食道は平均1.29 年(1.07〜1.63 年),軽度異形成を伴うバレット食道は平均1.01 年(0.69〜1.19 年),高度異形成を伴うバレット食道は平均0.44 年(0.35〜1.17 年)に1 回の割合で内視鏡検査にて経過観察されていたと報告されている。3 カ月かあるいはそれ以下の間隔で経過観察されていた潰瘍や瘢痕を伴う軽度異形成に高度異形成やバレット腺癌の頻度が高かったとされている440)

<日本では>

日本ではバレット食道のフォローアップ法については,統一された見解がないのが現状である。しかし,日本における病理診断では,高度異形成は粘膜内癌に相当すると考えられ403),高度異形成はすべて内視鏡的切除が施行されているのが現状と推測される。日本では内視鏡的切除が普及しており,軽度異形成に相当する病変が日本に存在するとすれば,内視鏡的切除あるいは3〜6カ月おきの経過観察の内視鏡検査が望まれるであろう。異形成のないバレット食道は海外のガイドラインでは2〜3 年に1 回の内視鏡的検査とされているが,実際にはそれよりも短い間隔で経過観察されているという報告もある。年1 回の内視鏡による胃癌のスクリーニングが普及している日本では,異形成のないバレット食道も年1 回経過観察されているのが現状ではなかろうか。この点に関しては,今後の検討課題である。

CQ XII-4

バレット食道は食道腺癌の危険因子か?

Answer

バレット食道は食道腺癌の発生母地であり9),わが国でもバレット食道を背景粘膜として発生した食道腺癌が多数報告されている。バレット食道から食道腺癌が発生する頻度は年率で0.6%441)と必ずしも高くないが442),バレット食道のある患者ではバレット食道のない患者と比べて食道腺癌の発生が30〜125 倍高い443)

CQ XII-5

SSBE とLSBE ではバレット腺癌の発癌リスクに違いはあるか?

Answer

バレット食道の長さが異形成のより高いグレードと強く相関していたとする報告444),また,バレット食道が長いほどバレット腺癌のリスクが高くなるとする報告445)がある。一方,バレット腺癌の43%(50/115)がLSBE ではなくSSBE に発生していたとする報告446)もある。prospective study447)やretrospective study448)において数値的にはLSBE でのバレット腺癌の頻度は高いが有意差はない。また,SSBE とLSBE とでバレット腺癌のリスクは変わらないとするprospective study449)に加え,最近のメタアナリシスにおいてLSBE に比しSSBE において統計学的に有意にバレット腺癌のリスクが下がるということはないとする結果が報告された450)。一方,日本においてはLSBE よりもSSBE に合併した腺癌症例のほうが多いとする学会報告が散見される。SSBE とLSBE にバレット腺癌の発癌リスクについては今後のデータの蓄積が必要であり,リスクに差があるかどうかは現時点では不明である。

CQ XII-6

バレット食道は治療すべきか?

Answer

わが国におけるバレット食道からのdysplasia 発生をアウトカムとした介入研究はなくバレット食道自体に対する治療の是非については不明である。

欧米では以下のようにdysplasia の発生について内服治療,外科治療,内視鏡治療について様々な報告があり有効性が報告されているものもあるが,長期経過を観察した研究はない451)。酸分泌抑制剤の内服治療や外科的治療はバレット食道の消失や存在するdysplasia を根絶させるという結論には至っていない452-457)。外科的手術のprospective study ではバレット食道の部分的改善と軽度異形成の消失をもたらすことが報告されている458-460)。さらに,新規の異形成の出現を減らす可能性もあるが,メタアナリシスではこの効果は確認されていない。内視鏡治療についてはporfimer sodium を用いたPDT がPPI に対して腺癌発癌リスクを軽減するという初めてのランダム化比較試験である461)。APC とPDT はバレット食道とdysplasia の根絶について同等の効果がある462-464)。しかしバレット食道全体に対するAPC 治療は腺が埋もれるリスクがあり勧められない。今までのところラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)は比較的安全にバレット粘膜とdysplasia を治療できる手技とされている465)。しかし,最近のメタアナリシス442)ではdysplasia を伴わないバレット食道では発癌の頻度は年間0.6%と低く,またhigh grade dysplasia と腺癌を合わせても年間1%と低い。またもし食道腺癌になったとしても腺癌が原因で死亡する患者は3%で他病死が97%(特に心血管系が35%)であることから最近ではバレット食道自体を積極的に治療することに疑問がもたれている442)。また,東洋人は他の人種に比べてバレット腺癌になりにくいという報告466)もある。

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XIII.重複癌に対する診療(頭頸部,胃)

要約

食道癌ではしばしば他臓器癌の重複を認め,特に,頭頸部癌や胃癌,肺癌などupper aerodigestive tract において重複の多いことが知られている。術前検査や術後経過観察では,重複癌を考慮しての検査が必要である。重複癌の種類,病期進行度や重複時期により治療方針や,治療上の問題点は大きく異なる。食道癌と重複する双方の癌の予後,全身状態を考慮しバランスのとれた手術術式や治療法を選択することが重要である。

重複癌は異なる臓器に発生した原発癌であり,食道癌症例では,その頻度が一般人口における癌発生率より高い報告がある467)。重複癌の頻度が多い理由としてはupper aerodigestive tract において,それぞれの癌の危険因子が共通であることやfield cancerization の概念が重要視されている468-470)

重複癌の頻度や種類に関しては,集計年度や観察期間また施設特殊性などで差がある。日本食道学会の全国登録によれば約20%の症例に重複癌を認め,同時性癌8%,異時性が12.2%であったとしている。重複癌の種類では胃癌,頭頸部癌(咽頭癌),大腸癌,肺癌の順序であった17)

また,日本胸部外科学会の2007 年度の集計では他臓器癌先行の重複癌を合わせ12.9%であり,同時性は7.45%で,重複癌の種類は胃癌に次いで頭頸部癌が多かったとしている471)

食道癌診療の立場からも頭頸部癌の重複の有無は重要な問題であり,今までに食道癌と頭頸部癌に関する,多くの研究報告がなされている。重複頻度に関しては,頭頸部癌が一番多いとする報告もある472, 473)

食道癌からみた頭頸部癌の重複頻度に関しては10%前後との報告が多く,頭頸部領域についてみると咽頭癌が最も多い474, 475)。また,頭頸部癌を重複しやすい食道癌の特徴としては,多発食道癌症例やヨード染色で多発ヨード不染帯を有する食道が挙げられる476, 477)

最近では,拡大内視鏡や画像強調法などの内視鏡機器の進歩に加え,食道癌症例での頭頸部領域に対する関心から,早い時期の頭頸部癌が上部消化管内視検査で発見されるようになった478, 479)。近年,耳鼻咽喉科領域の内視鏡機器にも画像強調法が導入され白色光と比較しその有用性が報告されている480)

食道癌と胃癌については,頭頸部癌のように関連する共通の危険因子は少ないが,喫煙は食道癌,胃癌の危険因子とされる481, 482)

しかし,わが国におけるHelicobactor pyloriH.pylori)感染による胃粘膜萎縮の問題や環境因子により胃癌罹患率の高いことが大きく影響していることが予測される483, 484)

また,食道癌術後の胃管再建例においては胃管癌の問題が挙げられる485)

食道癌の治療前検査に際して,特に治療方針の選択にも大きく影響する領域に重複癌が多いため,慎重に検査を行う必要がある。

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XIV.食道癌治療後の経過観察

要約

食道癌治療後の経過観察の目的は,①再発の早期発見・早期治療,②多発癌・重複癌の早期発見・早期治療である。さらに経過観察は治療後の全身管理・QOL の把握という点でも重要である。

食道癌治療後の経過観察の方法は,初回治療が何かによって,また初回治療時の癌の進行度によって分けて考える必要がある。早期発見・早期治療により長期生存が可能な場合があることを念頭において再発をフォローし,また異時性食道多発癌や合併頻度が高い胃癌や頭頸部癌を中心とした異時性他臓器重複癌の発生に留意することが重要である。コンセンサスに基づいた経過観察システムを構築し,その有効性を検証することが求められる。

内視鏡的切除術後の経過観察

内視鏡的切除術後の追加治療の適応や種類は一定でなく,経過観察のみの症例も多くみられるため486),一定の経過観察法は見出せない。内視鏡的切除術後の局所再発は,初回治療後1 年以内に生じることが多いが2〜3 年後に認められるときもあり,長期わたる経過観察を要する486-488)。局所再発の検索は主としてヨード染色による食道内視鏡検査で行われ,6 カ月毎の経過観察を行うという報告がある486, 488)が,切除後1 年間は3 カ月毎に行うという報告も多い487, 489, 490)。分割切除例やヨード不染帯多発例は,より厳重な食道内視鏡検査を要する487, 491, 492)。リンパ節再発・臓器再発は2〜3 年を過ぎて発見されることもあり486, 493),定期的かつ長期の経過観察が必要である。

検査法としては頸部・腹部US,胸腹部造影CT,EUS などを用いて,6〜12 カ月毎に行う486)。参考として経過観察法の例を挙げると,JCOG0508「粘膜下層浸潤StageⅠ 期(T1N0M0)食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)と化学放射線併用治療の有効性に関する第Ⅱ相試験」では,4 カ月毎の診察・頸部〜腹部造影CT,腫瘍マーカーSCC の測定をEMR 後3 年間行うことになっている。

根治手術後の経過観察

わが国の根治手術後の再発は28〜47%に認められ494-496),欧米からの報告では50%以上の再発も稀ではない497, 498)。再発時期は再発症例の54〜79%が術後1 年以内,80〜98%が2 年以内に生じる494, 495)が,頻度は低いものの2 年以後の再発もあり注意を要する。再発形式としては,リンパ節再発,局所再発,臓器再発,播種性再発があるが,複合再発であることも多い。

実際の食道癌根治切除後の経過観察法は施設毎に決められているのが現状で,定期的経過観察の有用性や有効な経過観察法を明らかにした報告はない。再発の検査は,主として頸部・腹部US,胸腹部造影CT,骨シンチグラフィーなどを中心に行われる。US やCT の頻度は3〜6 カ月毎の施設が多く,進行度に応じて,また術後年数に応じて変化する場合が多い494, 496, 498, 499)。一般に5 年間の経過観察が行われているが,10 年間行う施設もある500)。画像診断の間に,問診・理学所見・腫瘍マーカー測定などを加える施設も多い。

根治的化学放射線療法後の経過観察

根治的化学放射線療法後の経過観察法は,通常はCT および食道内視鏡検査などが用いられるが,頻度や観察期間について,その妥当性を示す報告はない。多くは化学放射線療法終了3〜4 週後と追加化学療法各コース終了後に行い,その後は1 年目は3 カ月毎,2 年目以降は4〜6 カ月毎に経過観察を行う場合が多い。化学放射線療法後の遺残や再発としては食道原発巣やリンパ節再発が多く,その大部分は治療開始から1〜2 年以内である(XI. 化学放射線療法の項参照)。

食道癌の根治的化学放射線療法後は,再発の検索のみならず,放射線性肺臓炎,胸水,心嚢水など放射線治療の晩期障害に対する経過観察も必要である363)。これらは,患者のQOL を大きく損ねることもあり,晩期障害による死亡もあり得る(X. 放射線療法の項参照)。

異時性食道多発癌および他臓器重複癌に対する留意

食道癌は異時性に食道内に多発癌を生じることの比較的多い疾患である。また胃癌や頭頸部癌など異時性他臓器癌の発生も稀ではない。pN0 症例の術後最大の死因としては他臓器癌であるという報告もある501)。このことを念頭に上部消化管内視鏡検査を施行し,咽頭から全食道(手術例では残存食道)および胃にかけて定期的かつ慎重に観察していく必要がある502)。さらに大腸癌,その他の癌の発生にも留意していく必要がある。。

Clinical Question

CQ XIV-1

食道癌治療後の経過観察法について欧米のガイドラインはあるか?

Answer

米国のNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドライン503)に,食道癌切除または根治的化学放射線療法後の,さらにTis/T1a 癌に対するEMR 後の経過観察法がまとめて短く記載されている。これによると,食道癌切除または根治的化学放射線療法後は,「無症状の場合,術後1 年間は4 カ月毎,その後2 年間は6 カ月毎,以後は年1 回の問診と診察を行い,臨床的に必要と考えられたときに,血液生化学検査,消化管内視鏡検査,画像検査が加えられる」とある。Tis/T1a 癌に対するEMR 後は,1 年間は3 カ月毎,以後は年1 回の食道内視鏡検査を行う。しかし,引用文献は全くなく,この方法の根拠や妥当性は明らかではない。European Society for Medical Oncology(ESMO)のガイドライン504)では,「定期的経過観察が予後向上に影響するというエビデンスはなく,症状などがある場合に行うべきである」と記載されているのみである。

近年,食道癌根治術後の経過観察に関する論文が,米国498)とわが国496)からほぼ同時に報告された。前者は食道腺癌,後者は食道扁平上皮癌の術後再発や経過観察法に関する論文であるが,いずれもそのintroduction において「食道癌根治切除後の経過観察法やその妥当性を明らかにした報告がない」旨を述べている。今後は,何らかのコンセンサスに基づいた経過観察法で症例を集積し,その方法が再発食道癌患者の予後やQOL を向上させているか否か,医療経済的視点から妥当かという点も含めたエビデンス作りが必要である。

CQ XIV-2

初回治療から再発までの期間と予後に相関はあるか?
再発の早期発見は予後の向上に寄与するか?

Answer

わが国において,根治術後1 年未満の再発例と1 年以後の再発例では後者が有意に予後良好であるという報告があり496, 505),米国においても再発までの月数と良好な予後との相関が報告されている498)。また,再発時無症状の群は有症状の群よりも予後が良好であるという報告もあり,有効な治療が可能な早期に発見することは予後を向上させる可能性がある496, 498)

CQ XIV-3

再発診断におけるFDG-PET 検査は有用か?

Answer

FDG-PET 検査は従来の形態学的診断とは全く異なる代謝的診断法であり,また全身検索が可能という点を認識して応用されるべきである。再発診断におけるFDG-PET 検査の正診率は85〜91%(感度96〜100%,特異度68〜85%)で有用と考えられる506, 507)。しかし,再発形式によってはCT の方が優れている場合がある506)。さらに,再発診断におけるFDG-PET/CT の有用性を示す報告もある508-510)。食道癌に対するFDG-PET 検査は保険適用となっているが,実際にはCT にて確定診断に至らない症例や転移例の手術適応決定時などの補助診断として施行されている。

推奨事項

行うように勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で再発診断に利用されている。[グレードC1]

CQ XIV-4

食道癌治療後の経過観察における腫瘍マーカー測定は有用か?

Answer

食道扁平上皮癌に対する腫瘍マーカーとしては,主としてCEA,SCC 抗原,CYFRA 21-1 が用いられる(ただしCYFRA 21-1 は保険適用外)が,治療前の陽性率は20〜30%程度にとどまり,経過観察中のマーカーの測定が単独で再発の早期発見に明らかに有用であるとする報告は少ない。しかし,それらの同時陽性化がリンパ節再発の予測因子となるという報告511)や末梢血中のCEA mRNA の測定が再発の早期診断に有用であるという報告がある512)。近年,血清p53 抗体価が食道癌の保険適用に追加され,術前後の抗体価の変化が予後を反映するという報告がなされている513)

推奨事項

行うように勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で再発診断に利用されている。[グレードC1]

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XV.再発食道癌の治療

要約

食道癌の初回治療に関しては内視鏡的治療・根治手術・根治的化学放射線療法など多岐にわたるため,再発食道癌の治療も初回治療の種類によって個別に考える必要がある。さらに,再発形式がリンパ節再発か局所再発か遠隔臓器再発か,または複合再発かによって治療法が異なり,また再発時の患者の全身状態も治療法の選択に影響を与える。初回治療が適正に行われていても再発をみることが多い。大規模臨床試験は行いにくい領域である。再発の種類によっては治癒が得られる場合もあり,積極的治療が望まれるが,腫瘍増悪の抑制あるいはQOL の改善を目的とした治療が行われることが多い。

内視鏡的切除術後の再発に対する治療

内視鏡的粘膜切除後の局所再発は,初回治療後1 年以内に生じることが多いが2〜3 年後に認められるときもある。近年,臨床研究として,内視鏡的切除術の適応が拡大されつつある54)。内視鏡的切除術後の追加治療の適応や種類は一定でなく,経過観察のみの症例も多くみられる486)

根治手術後の再発に対する治療

わが国の食道癌根治手術後の再発は28〜47%に認められ494-496),欧米からの報告では50%以上の再発も稀ではない497, 498)。再発形式は,リンパ節・局所再発が22〜68%に,遠隔臓器転移が12〜51%に生じ,両者の複合再発も7〜27%にみられている。リンパ節再発の中では頸部・上縦隔の再発が多く,遠隔臓器再発では肺・肝・骨・脳の順に多いとされる。小腸や結腸への転移もある494, 495)

食道癌根治切除後の再発例の生存率は極めて不良であり,再発診断時からの生存期間中央値は5〜10 カ月であるが,長期生存または完治する症例が少なからずあることも明らかであり積極的治療が望まれる330, 494, 495, 497, 498)

食道癌根治切除後の再発の治療法は,再発部位・形式やその範囲に応じて選択される。再発時の全身状態や手術操作範囲内の再発か否か,術前または術後に放射線照射がされているかなどでも治療法が変わる。そのため種々の病態に応じた多数例での治療成績の報告はほとんどない。

根治的化学放射線療法後CR 例の再発に対する治療

近年,切除不能食道癌に対してのみならず,切除可能と判断される食道癌に対しても初回治療として根治的化学放射線療法が選択される機会が増えてきている。完全奏効(CR)例も多く得られているが,局所再発を含めて再発症例も多い(XI. 化学放射線療法の項参照)。

Clinical Question

CQ XV-1

内視鏡的切除術後の局所再発に対する治療法は何か?

Answer

局所再発に対しては再内視鏡的切除,化学放射線療法,手術,またはそれらの組み合わせで治癒が望み得る。可能な場合はまず再内視鏡的切除を考慮する場合が多いが,どの治療法を第一選択とするべきかに関しては明らかな基準はない。再内視鏡的切除後に化学放射線療法を追加する場合もある486, 490, 491)

推奨事項

いずれの治療法に関しても行うよう勧められる。[グレードB]

CQ XV-2

内視鏡的切除術後のリンパ節再発・臓器再発に対する治療法は何か?

Answer

内視鏡的治療後のリンパ節再発・臓器再発に対しては,化学療法,放射線療法,化学放射線療法,手術などが再発部位や全身状態に応じて選択されるが,予後は不良であることが多い。しかし,積極的治療で長期生存する場合もある486)。手術については,その適応や転移リンパ節の摘出のみを行うのかリンパ節郭清を伴う食道切除再建術をするのかなどの方法についても一定の見解はない。

推奨事項

いずれの治療法に関しても行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で何らかの治療が行われている。[グレードC1]

CQ XV-3

根治切除後の再発に対する切除術は有効か?

Answer

再発形式や部位によっても手術適応が異なり,現時点では一定の結論を見出すことができない。再発食道癌に対する外科治療で最も適応となりやすいのは頸部リンパ節再発であり,多くの施設が頸部リンパ節単独再発の切除による長期生存例を有している499, 515)が,たとえ頸部リンパ節単独再発であっても遠隔臓器転移と考えるべきであるとする報告もある516)。縦隔リンパ節再発は,通常初回手術でリンパ節郭清が行われており切除対象は極めて限られるが,切除による治癒症例も少数ではあるが報告されている499)。腹部リンパ節再発に関しては,腹部大動脈・総肝動脈・肝十二指腸間膜リンパ節に多く,単独転移は稀で手術適応となる場合は少ない。いずれのリンパ節再発に対しても,転移リンパ節の切除だけでいいか,周囲のリンパ節郭清もするべきかの結論は出ていない517)

血行性再発において最も切除の対象になっているのは肺転移である517)。肺転移を切除し長期生存中の症例を経験している施設も少なからずある。ただし,その適応や集学的治療の方法は施設毎にかなり異なっている。肝転移も転移数が少ないときには切除対象となる場合があるが,多発転移や複合再発の場合が多く,切除対象となるのは稀である。切除した場合でも予後は極めて不良である494)。その他の脳や骨に対する外科治療の有効性を示した報告は少ない。

推奨事項

行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で症例を選択して外科治療が行われている。[グレードC1]

CQ XV-4

リンパ節再発や臓器再発の切除術後の補助療法は行うべきか?

Answer

再発に対する外科治療後の補助療法の有効性を示した報告はない。補助療法の方法にも一定の規則はないが,術後に放射線療法・化学療法・化学放射線療法がなされている場合が多い499, 515)

推奨事項

行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で何らかの追加治療が行われている。[グレードC1]

CQ XV-5

根治切除後の再発に対する非外科的治療は有効か?

Answer

治療法としては,化学療法,放射線療法,化学放射線療法などがあるが,化学療法のレジメンや抗悪性腫瘍薬と放射線との併用法なども含めて治療法の選択に一定の方針はない。遠隔転移がない場合には放射線を含む治療により長期生存が得られたという報告もある330, 494)

根治切除後のリンパ節・局所再発に対する放射線療法(+化学療法)は,生存期間においてある程度の効果を挙げている。症状緩和も期待できるため,全身状態を考慮した上で,リンパ節・局所再発例に対しては積極的に放射線療法(+化学療法)を行う必要がある330, 494, 495, 499)

臓器再発に対する非外科的治療は化学療法が基本であるが,根治は期待できず予後は不良である518, 519)。JCOG 食道癌グループでは,現在,進行再発食道癌に対する5-FU+シスプラチン+ドセタキセルの3 剤同時併用化学療法の臨床試験(JCOG0807)を行っている(IX. 化学療法の項参照)。

推奨事項

いずれの治療法に関しても行うよう勧められる。[グレードB]

CQ XV-6

根治的化学放射線療法によるCR 後の局所再発に対する有効な治療法は何か?

Answer

根治的化学放射線療法後CR 例の局所再発に関しては,サルベージ内視鏡的治療〔内視鏡的切除や光線力学的治療法(PDT)〕の有効性を示唆する報告がある58, 255, 520)が,未だ少数例の成績でありその効果に関する評価は十分ではない(サルベージ手術に関しては,VI 章-F を参照)。根治的化学放射線療法後CR 例の局所再発に対するアルゴンプラズマ凝固法(APC)の効果の評価はなされていない。JCOG 食道がんグループでは,サルベージ治療を含めた根治的化学放射線療法の治療成績を明らかにするために,JCOG0909「臨床病期Ⅱ/Ⅲ(T4 を除く)食道癌に対する根治的化学放射線療法+/−救済治療の第Ⅱ相試験」を行っている。いずれも新しいニーズに応えるべく試みられている治療法で,今後安全性の改善および有効性の評価が待たれる。

推奨事項

いずれの治療法に関しても行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で根治的化学放射線療法後CR 例の局所再発に対する内視鏡的治療が行われている。[グレードC1]

CQ XV-7

根治的化学放射線療法によるCR 後のリンパ節再発や臓器再発に対する有効な治療法は何か?

Answer

リンパ節再発や臓器再発に対する治療法としては,手術・化学放射線療法・放射線療法・化学療法などがあるが,放射線照射野内の再発は放射線治療の適応から除外される。治療法の選択は個々の施設に委ねられているのが現状である。しかし二次化学療法のレジメンも含めて,その有効性を示した報告は少ない。

推奨事項

いずれの治療法に関しても行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で何らかの治療が行われている。[グレードC1]

【参考文献】

54) Katada C, et al: Clinical outcome after endoscopic mucosal resection for esophageal squamous cell carcinoma invading the muscularis mucosae--a multicenter retrospective cohort study. Endoscopy. 2007; 39(9): 779-83.

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XVI.緩和医療

要約

緩和医療はすべての癌領域で共通に行われるべき医療であるが,食道癌においては特に,嚥下障害,栄養障害,瘻孔による咳嗽などによりQOL の低下をきたす場合が多く,治療の初期から症状緩和やQOL 保持・改善のための治療法を検討するべきである。しかしながら,その方法の決定は個々の施設に委ねられており,今後の評価が必要な分野である。全ての医療者が緩和医療に関する知識・技術に習熟していかなければならない。

WHO(2002)によると,緩和ケアは「生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者と家族に対し,痛みや身体的,心理社会的,スピリチュアルな問題を早期から正確にアセスメントし,解決することにより,苦痛の予防と軽減を図り,生活の質(QOL)を向上させるためのアプローチである」と定義される。緩和ケアは癌と診断されたときから始まる521)。以上のことは,全ての癌患者に対して共通であり,日常診療として行われているが,担当医師・看護師のみならず精神腫瘍学専門医・薬剤師・社会福祉士・理学療法士などがチーム医療を行う必要がある。特に食道癌の緩和ケアにおいては,チームリーダーとしてspecialist nurse の重要性を示した報告がある522)

食道癌においては,診断時から食道狭窄による嚥下障害や栄養障害,誤嚥・瘻孔による咳嗽,腫瘍による胸痛などを伴い,QOL の低下をきたしている場合が少なくない。治癒を目的とした治療の初期から,症状緩和やQOL の維持・改善のための治療を併せて行っていくことが重要である。

食道癌終末期患者に対する緩和ケアにおいては,食道狭窄による嚥下障害とそれによる栄養障害,気道狭窄や気道との瘻孔に起因する症状,遠隔転移による悪液質などの症状,高カルシウム血症などが特に問題になる。その中でも食道狭窄症状や気道狭窄症状,瘻孔に起因する症状の改善としては,姑息的治療として放射線療法,化学放射線療法,食道ステント挿入,気管ステント挿入,食道バイパス手術などが行われることがある521, 523-525)X. 放射線療法XI. 化学放射線療法の項参照)。

栄養障害に対しては中心静脈栄養法以外に胃瘻・腸瘻造設が行われることがある。これらの姑息的治療は食道癌に特徴的であり,それらの方法や時期を適切に決定することは,食道癌終末期の患者の緩和治療として極めて大切である。

しかしながら,食道癌患者に対する姑息的治療・緩和治療としての種々の治療法の効果や安全性について大規模な評価はほとんどなされていない。放射線療法や化学療法がbest supportive care より生存期間延長効果があるかどうかを調べた研究も見当たらない。しかし,実地臨床ではそれらによりQOL が著明に改善される症例も少なからず存在することは事実である。医療者は食道癌に特徴的な姑息的治療・緩和治療に習熟しておく必要があり,十分な説明と同意のもとに積極的にそれらを試みることが求められる。

また,気道閉塞による突然の呼吸停止や大動脈への穿孔による大量吐血などの致死的病態は,食道癌治療に関わる医療者は何度となく遭遇する事象である。発生すると手の施しようがない場合がほとんどであり,事前の,特に家族への十分な説明が重要である。患者や家族は,急変急死の恐怖を抱えながらの生活を余儀なくされるため,両者に対する心理的サポート・心のケアを怠ってはならない526)。癌性疼痛に対しては,日本緩和医療学会作成の「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」527)に基づいた方法が推奨される。

Clinical Question

CQ XVI-1

食道癌患者のQOL の客観的な評価法はあるか?

Answer

いくつかの検証済みの評価法がある。これらの評価法を用いて,食道癌患者のQOL を多側面から客観的に評価しデータを集積して,治療法などの改善を図っていく必要がある。評価法として,癌患者のQOL を評価するEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)によるEORTC QLQ-C30 や食道癌患者の嚥下困難や胸痛,逆流症状などを評価するEORTC OES-18,FACT-E528, 529)などが報告されている。

CQ XVI-2

食道悪性狭窄や瘻孔に対するステント治療は有効か?

Answer

X 線透視下に内視鏡を用いて癌腫狭窄部にステントを挿入し,内腔を拡張して経口摂取を可能とする方法であり,少ない侵襲で短期間に経口摂取が可能になる。種類としては,自己拡張型の網目状あるいはZ 状に編んだ軟らかいメタリックステントが主流である530, 531)。カバー付きのものがそうでないものに比べて腫瘍増殖による再狭窄が防止できることが示されている530, 531)。プラスチックステントも狭窄緩和には有効であるが,migration などの合併症が多いとされる532, 533)。遠隔臓器転移を有する高度狭窄症例(根治切除,化学放射線療法適応外)や食道気道瘻形成症例に用いられることが多い525)。ただしステント挿入による合併症発生やQOL の低下,挿入後の疼痛などの可能性もあるため,他の非ステント治療と比較した上でその適応を決定すべきである534)。また,食道気道瘻形成症例に対しては,状況や部位によって気道ステントとの適応も検討することが望ましい。

推奨事項

行うよう勧められる。[グレードB]

CQ XVI-3

ステント治療の適応は狭窄部位によって違いがあるか?

Answer

ステント治療は胸部中部〜中下部食道癌が良い適応である。頸部食道癌など高い部位の狭窄には,挿入後の異物感や痛みが強いこと,気道の圧迫をきたす場合があるので注意を要する。また,胸部下部〜腹部食道癌ではステント下端が噴門部にかかると胃内容の逆流現象が生じ,嚥下性肺炎などを併発する危険性があるので適応には慎重を要する。逆流防止弁付きステントの有効性を示す報告もある531, 535)

CQ XVI-4

高度狭窄による経口摂取不良例において(化学)放射線療法施行前,施行中あるいは施行後のステント挿入の適応は何か?

Answer

日本食道疾患研究会(日本食道学会)のアンケート調査では,放射線療法施行前,施行中にステント挿入を行った場合,瘻孔形成やこれに伴う消化管出血などの致死的有害事象が高頻度に認められた536)。(化学)放射線療法奏効例では,狭窄の解除,予後の改善も期待できる現状では,早期のステント挿入は避けるべきである。また,放射線療法,化学放射線療法後に高度狭窄が残存しかつ根治切除が不可能である症例に対してステントを挿入した場合,出血・穿孔・縦隔炎を併発する可能性が高い。こうした症例で経口摂取に対する要望が強い場合には,ステント挿入により重篤な合併症を発症することがあることを説明し,バイパス術,栄養瘻造設術との適応判断を慎重に行うことが望ましい。

一方,近年,食道狭窄を伴う局所進行食道癌に対して,最初に抜去可能な自己拡張型のプラスチックまたはシリコンステントを挿入して,栄養改善を図りながら術前化学放射線療法を行うことの有用性を示した報告もでてきている537, 538)(ただし,これらのステントは日本では保険承認はされていない)。

推奨事項

放射線療法・化学放射線療法施行前・施行中の食道ステント挿入は原則として避けるべきである。[グレードC2]

放射線療法・化学放射線療法施行後に高度狭窄が残存し,経口摂取に対する要望が極めて強 い場合には,合併症について十分な説明を行った上で食道ステント挿入を行う[グレードC1]

CQ XVI-5

嚥下障害を伴う食道癌症例において,根治治療の対象とならない場合でも化学放射線療法は適応となるか?

Answer

香港で行われた手術不能局所進行(T4)食道癌症例に対する,緩和的化学放射線療法(5-FU+シスプラチン+放射線照射50〜60 Gy)とメタリックステント挿入だけのレトロスペクティブな比較では539),5 年生存率(15% vs. 0%)および嚥下障害の改善いずれにおいても緩和的化学放射線療法のほうが上回っていたと報告された。

推奨事項

行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが,多くの施設で症例を選択して化学放射線療法が行われている。[グレードC1]

CQ XVI-6

食道ステント挿入や化学放射線療法以外の姑息的食道通過障害解除療法の現状はどのようなものか?

Answer

食道ステント挿入や化学放射線療法以外にも,放射線腔内照射,レーザー照射,温熱療法,エタノール注入などが姑息的食道通過障害解除療法として報告されている。放射線腔内照射は,食道ステント挿入術とのランダム化比較試験の結果,通過障害解除の即効性はステントに比べて劣るものの,合併症の発生率が低く通過障害改善の持続も優れる治療法として推奨された540)。2009 年のCochrane Database Systemic Review では,食道悪性狭窄に対する治療法として,腔内照射が生存期間の延長とQOL 改善に有効であるが,硬性ステントや拡張術は,食道狭窄に対する緩和治療として勧められないとしている531)。しかし,腔内照射単独治療は,わが国ではほとんど行われていない(X. 放射線療法の項参照)。

CQ XVI-7

胃瘻・腸瘻造設の適応は?

Answer

根治的化学放射線ないし放射線療法後で根治手術が期待できない高度狭窄症例などにおいて,食道ステント挿入が困難あるいは危険であると判断された場合,在宅療法への移行を目的として栄養瘻の造設が行われる。通常内視鏡を用いて造設可能な経皮的内視鏡的胃瘻造設術は有効であり,高度狭窄例に対して集学的治療施行前に行われる場合もある541)。細径内視鏡も通過困難な高度狭窄例や腹部手術の既往などにより経皮的内視鏡的胃瘻造設術が困難な症例においては,開腹下に胃瘻や空腸瘻造設が行われる。

CQ XVI-8

食道バイパス術の適応は?

Answer

悪性食道狭窄閉塞症例に対する経口摂取を可能にするための手段として,食道バイパス手術がある(VI 章-D. その他の手術療法の項参照)。

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XVII.欧米の治療成績とガイドライン— 全国登録の予後調査結果も含めて

要約

食道癌において,欧米では下部食道原発の腺癌の比率が高く,その治療法や治療成績に関しては日本と同様に扱えない面が多い。

内視鏡治療に関しては対象症例に相違があり単純比較ができない。ガイドラインはあまり整備されていない。

手術は下部食道腺癌の増加を反映して経食道裂孔的食道切除術が多く施行されている。また,郭清範囲は中下縦隔に限定されることが多い。進行度に関してのガイドライン上の手術適応は日本と大きな違いは認められないが,手術成績は不良である。

術前化学療法の効果は欧米のデータでは一定でなく,米国のガイドラインでは術前化学療法を下部食道もしくは食道胃接合部癌だけに限定しており,その他の部位に関しては術前化学放射線療法としている。英国およびスコットランドでは切除可能症例に対して2 コースの術前化学療法を考慮すべきとしているが,術前化学放射線療法は推奨していない。

非手術的治療に関しては放射線単独療法よりも化学放射線療法の成績が良好であったことから,欧米でもガイドラインで化学放射線療法を行うことが推奨されている。

食道癌において,日本と欧米では疫学的な面から違いがあり,その治療法や治療成績に関しては同様に扱えない面が多い。組織型に関しては,日本では90%以上が扁平上皮癌である17)が,欧米では50%以上が腺癌であり,扁平上皮癌は40%以下である542)。また,発生部位に関しては日本では胸部中部食道が50%以上で最も多いのに対して,欧米では下部食道原発が50%以上を占める。欧米では最近20 年ほどで腺癌が増加しているが,その背景には肥満,GERD からバレット食道の発生という問題が報告されており,当然わが国とは治療戦略,治療成績も異なってくるものと思われる。

欧米でも食道癌に対するガイドラインを作成している国があるが,包括的な内容であるのは米国の2 つのガイドラインと英国,スコットランドのガイドラインの4 つである。米国ではNational Cancer Institute(NCI)のPhysician Data Query(PDQ)やNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)の情報がネット上に公開され,最新の論文を加えて絶えず更新がなされている。特にNCCN のガイドラインはアルゴリズムが示されており,治療選択が明快になっていて,エビデンスレベルに応じてコンセンサスの程度(水準)をCategoly 分類している。英国やスコットランドのガイドラインでは日本のガイドラインと同様に推奨度の項目を示している。英国,スコットランドのガイドラインには疫学と病因論に関する項目,周術期管理,術後合併症の項目があることや,食道癌の姑息療法に関する項目が多く,より内容が具体的であるといえる。

内視鏡治療

欧米の内視鏡治療に関してのレビュー543)が存在しているが,high grade dysplasia 症例も含まれるなど,日本とは対象に相違点があり,治療法も光線力学療法(photo dynamic therapy:PDT)が含まれていて,日本との単純比較はできない。2002 年の日本の全国集計ではEMR の5 年生存率は87.7%である(附9-1)参照)。

欧米では早期の段階で発見される食道癌は少なく,このため内視鏡的粘膜切除術の普及は進んでいない。そのため,内視鏡的治療に関する項目が少なく,NCCN のガイドライン544)では粘膜癌(Tis or T1a)がEMR の適応となっているが,NCI545)のガイドラインでは0 期病変も手術の適応とされている。スコットランド546)のガイドラインでは粘膜層までの癌が適応とされている。英国547)のガイドラインでは内視鏡的切除に関する記述が認められない。

手 術

米国では進行癌が多く切除成績が悪いこと,患者のリスクが高く手術の合併症が多いこと,癌が食道下部に発生することが多いこと,また経食道裂孔的食道切除術とリンパ節郭清を伴う右開胸開腹食道亜全摘術では無再発生存率に変わりはなく,合併症が前者で少ない156, 548)ことより,開胸操作を行わない経食道裂孔的食道切除術が標準術式の一つとして扱われている。リンパ節郭清の範囲は中下縦隔に限定されることが多く,3 領域郭清は欧米ではあまり受け入れられていない。1990 年以降に報告された食道癌の外科治療に関するランダム化比較試験の成績と,2002 年の全国登録集計の成績を表7 258, 260, 269, 273, 395, 396, 549)に示す。欧米ではややStage にばらつきがあるものの5 年生存率はおおむね25%以下で,全切除例で44.1%という日本の成績(附9-2)参照)とは明らかな差がある。

手術の適応に関しては,NCCN のガイドラインでは0-Ⅲ,ⅣA 期で切除可能な食道癌が手術適応となっている。また,頸部食道癌の手術に関しては,NCCN のガイドラインでは頸部食道癌や輪状咽頭から5 cm 未満の食道癌に対しては手術が考慮されておらず,根治的化学放射線療法を行うべきとされている。

術前・術後補助療法

a.術前補助療法

欧米では術前化学療法の有用性の有無を検証したランダム化比較試験はいくつか報告されている258, 260)が,メタアナリシスにおいては,生存率向上への効果は一定しておらず,切除可能例(T1-3N0,1M0,UICC 分類2002 年版)に対する術前化学療法の効果は明確でない262-264)。また2007 年にオーストラリアから報告されたメタアナリシス265)では,術前補助化学療法は食道腺癌については効果の上乗せが期待できるものの扁平上皮癌では有効ではないと結論付けており,組織型による補助療法の選別が必要であることも強調されている。

NCCN のガイドランでは術前療法の対象をT1b,N1 症例,T2〜切除可能T4 症例,および切除可能ⅣA 期としている。術前化学療法は下部食道もしくは食道胃接合部の腺癌だけに限定しており,その他の部位に関しては術前化学放射線療法として薬剤名もカテゴリー別に記載している。英国およびスコットランドでは切除可能症例に対して2 コースのシスプラチン+5-FUの術前化学療法を考慮すべきとしているが,術前化学放射線療法は推奨していない。

b.術後補助療法

NCCN のガイドラインでは術後化学療法については術前化学療法を行った症例に対してのみ用いることが推奨されており,化学放射線療法についてはR0 切除症例でT2-3N0-1 の腺癌もしくはN1 腺癌を対象に推奨している。またR1-2 切除も対象にしている。スコットランドのガイドラインでは術後の化学療法および化学放射線療法は推奨できないとしている。前者に対してはランダム化比較試験の結果を,後者に対してはデータがないことを根拠にしている。英国のガイドラインでも術後化学療法は推奨されていない。

表7:食道癌の外科治療に関するランダム化比較試験と日本の全国登録集計の成績

報告者

対象年

対象症例*1

治療内容*2

症例数

組織型
S/A/O*3

切除
症例

治療関連
死亡症例数

2 生率
(%)

3 生率
(%)

5 生率
(%)

MST*4
(月)

Bosset269)

1989〜1995

StageⅠ〜Ⅲ
T3N1 以外

S
CR+S

139
143

134/0/5
139/0/4

137
138

5(3.6%)
17+1(12.6%)

約42
約48

約35
約35

約25
約25

18.6
18.6

Kelsen258)

1990〜1995

StageⅠ〜Ⅲ

S
C+S

234
233

110/124
103/120

217
171

13(5.6%)
5+10(6.4%)

35
31

19
18

7
6

16.1
14.9

MRCOCWP260)

1992〜1998

切除可能

S
C+S

402
400

124/268/10
123/265/12

386
361

40(10%)
36+8(11%)

34
43

約25
約32

約15
約25

13.3
16.8

Bedenne395)

1993〜2000

T3N0-1M0
(StageⅡ〜Ⅲ)
同上
CR 奏効者

CR+S

CR+C

129

130

115/14

115/15

107

1

12(9.3%)

1(0.8%)

39.9

35.4

   

16.4

14.9

Burmiester273)

1994〜2000

StageⅠ
〜Ⅲ

T4 以外

S

CR+S

128

128

50/78/0

45/80/3

110

105

6(5.4%)

5(4.7%)

39.8

45.3

28.1

32.8

14.8

16.4

19.3

22.2

Stahl396)

1994〜2001

T3-4N0-1M0

S
CR+S

86
86

86/0
86/0

51
0

11(12.8%)
3(3.5%)

39.9
35.4

31.3
24.4

 

16.4
14.9

日本食道学会

2002

全切除例
Stage Ⅰ
Stage ⅡA
Stage ⅡB
Stage Ⅲ

S+α
S+α
S+α
S+α
S+α

   

1518
361
290
211
494

41(4.5%)*5

62.2
88.5
66.6
64.9
44.4

53.6
82.7
60.7
55.7
33.7

44.1
71.2
49.2
42.8
27.7

約44

約53
約46
約20

*1 臨床的なTNM 分類
*2 S:手術,C:化学療法,R:放射線療法,+α:補助療法の有無を問わず
*3 S:扁平上皮癌,A:腺癌,O:その他の組織型
*4 MST:生存期間中央値
*5 在院死亡率(手術直接死亡・再発死亡を含む)

文献549 より引用改変)

化学放射線療法

非手術的治療に関しては放射線単独療法と同時化学放射線療法の比較では化学放射線療法の成績が良好であったことから,これまでのガイドラインでは化学放射線療法を行うことが推奨されている。2002 年の全国登録の結果では照射単独の治療成績は全症例の5 年生存率で15.1%,化学放射線療法で22.9%であった。StageⅠからⅡA ではそれぞれ32.5%,52.0%,StageⅡBからⅣB でもそれぞれ4.2%と14.9%であり,化学放射線療法の優位性が示されている(附9-3)参照)。RTOG(Radiation Therapy Oncology Group)を中心とした欧米のレジメンは多門照射を用い,放射線線量50.4 Gy,28 回照射,照射野は腫瘍の上下5 cm とされている。これは標準量(50.4 Gy)と高用量(64.8 Gy)の放射線照射を用いた化学放射線療法のランダム化比較試験で生存期間も差が認められず総線量を増量する有用性が否定された報告に基づいている。NCCN のガイドラインでは放射線療法は50〜50.4 Gy と明記されている。

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