頭頸部がん 〜診療ガイドライン

ガイドライン文中の文献番号から,該当する参考文献一覧を参照することができます

目次:


クリニカルクエスチョン

1.診断

CQ1-1 頭頸部癌のN 病期診断においてCT は有用か?

推奨
グレード
B 頭頸部癌のN 病期診断においてCT は有用である。
解 説

頭頸部癌のN 病期診断では,理学的所見のみと比較して,画像診断を加えることでより正確な病期診断が可能であり 1)2),画像評価は重要な役割を担っている。CT はMRI よりもやや高い診断能を示すとされ 1),高い客観性,高い再現性,医療経済性を考慮して造影CT が選択されるべき標準的な画像診断と考えられる。

頸部リンパ節転移の主な診断基準であるリンパ節内壊死や節外浸潤の評価を含めて,CT,MRI,超音波検査において診断の感度,特異度などに関して,各モダリティの間で統計学的有意差はないとの報告もあり 2)〜4),各症例の因子(原発病変の部位や病期),各施設の状況などにより,MRI がCT と同様の役割を担う場合もあると考えられる 5)。超音波検査,超音波検査ガイド下穿刺細胞診やPET(PET-CT)には相補的役割がある 2)

参考文献

1) Curtin HD, Ishwaran H, Mancuso AA, et al. Comparison of CT and MR imaging in staging of neck metastases. Radiology. 1998;207:123-30.(レベルⅣ)

2) Kyzas PA, Evangelou E, Denaxa-Kyza D, et al. 18 F-Fluorodeoxyglucose positron emission tomography to evaluate cervical node metastases in patients with head and neck squamous cell carcinoma:a meta-analysis. J Natl Cancer Inst. 2008;100:712-20.(レベルⅠ)

3) King AD, Tse GM, Ahuja AT, et al. Necrosis in metastatic neck nodes:diagnostic accuracy of CT, MR imaging and US. Radiology. 2004;230:720-26.(レベルⅡ)

4) King AD, Tse GM, Yuen EH, et al. Comparison of CT and MR imaging for the detection of extranodal neoplastic spread in metastatic neck nodes. Eur J Radiol. 2004;52:264-70.(レベルⅢ)

5) Som PM. Detection of metastasis in cervical lymph nodes:CT and MR criteria and differential diagnosis. AJR Am J Roentogenol. 1992;158:961-9.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて,「CT」「neck nodal stage」で抽出した52 編,「CT」「neck nodal staging」で抽出した106 編,「CT」「neck node metastasis」で抽出した338 編,さらにCT と同様にN 病期診断に用いられるモダリティとして,「MR」「neck node metastasis」で抽出した44 編,「PET」「neck node metastasis」で抽出した171 編より3 編を選択,さらにそれ以外の重要な論文も2 編選択,参考とした。


CQ1-2 頭頸部癌のT 病期診断においてMRI は有用か?

推奨
グレード
B 頭頸部癌のT 病期診断においてMRI は有用である。
解 説

頭頸部癌のT 病期診断において画像診断は重要な役割を担っており,一般にMRI はCT とほぼ同等の診断能を示すと考えられているが,亜部位によりMRI の推奨される程度には差がある。

上咽頭癌ではMRI は傍咽頭間隙,頭蓋底,頭蓋内,蝶形骨洞進展においてCT よりも評価に優れ 1),存在診断においては内視鏡検査よりも優れるとされ 2),上咽頭癌のT病期診断ではMRI が推奨される 1)2)。中咽頭癌,口腔癌でも,軟部組織,骨浸潤のいずれの評価においてもMRI は CT と比較して診断がより正確であり 3)4),口腔金属のアーチファクトの影響も小さいことなどからもMRI での評価が推奨される。喉頭,下咽頭癌ではCT あるいはMRI での診断情報を加えることで,より正確なT 病期診断が可能とされる 5)。検査効率の高さや医療経済性からはCT が中心的役割を担うが,T 病期診断の正診率に関してはMRI と有意な差はなく 5),喉頭軟骨浸潤の評価に関してはCT よりもMRI が有用との報告もあり 6),実臨床ではMRI も病期診断に用いられている。

参考文献

1) Ng SH, Chan SC, Yen TC, et al. Staging of untreated nasopharyngeal carcinoma with PET / CT:comparison with conventional work-up. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2009;36:12-22.(レベルⅢ)

2) King AD, Vlantis AC, Bhatia KS, et al. Primary nasopharyngeal carcinoma:diagnostic accuracy of MR imaging versus that of endoscopy and endoscopic biopsy. Radiology. 2011;258:531-7.(レベルⅢ)

3) Leslie A, Fyfe E, Guest P, et al. Staging of squamous cell carcinoma of the oral cavity and oropharynx:a comparison of MRI and CT in T- and N-Staging. J Comput Assist Tomogr. 1999;23:43-9.(レベルⅢ)

4) Bolzoni A, Cappiello J, Piazza C, et al. Diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging in the assessment of mandibular involvement in oral-oropharyngeal squamous cell carcinoma:a prospective study. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2004;130:837-43.(レベルⅣ)

5) Zbären P, Becker M, Läng H. Pretherapeutic staging of hypopharyngeal carcinoma. Clinical findings, computed tomorgraphy, and magnetic resonance imaging compared with histopathologic evaluation. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 1997;123:908-13.(レベルⅢ)

6) Zbären P, Becker M, Läng H. Staging of laryngeal cancer:endoscopy, computed tomography and magnetic resonance versus histopathology. Eur Arch Otorhinolaryngol. 1997;254:S117-22. (レベルⅣ)

検索式

PubMed にて,「head and neck cancer」「stage」「MR」で抽出した80 編,「nasopharyngeal carcinoma」「MR」で抽出した104 編,「nasopharyngeal carcinoma」「CT」で抽出した403 編,「oral cavity carcinoma」「staging」「MR」で抽出した32 編,「oral cavity carcinoma」「imaging」で抽出した859 編,「oropharyngeal carcinoma」「staging」「MR」で抽出した19 編,「laryngeal cancer」「staging」「MR」で抽出した28 編,「hypopharygeal carcinoma」「staging」「imaging」で抽出した78 編より選択した。


CQ1-3 甲状腺癌の病期診断において超音波検査は有用か?

推奨
グレード
B 甲状腺癌の病期診断において超音波検査(US)は有用である。
解 説

甲状腺癌の病期診断には原発巣の大きさ,腺外浸潤の有無,中心領域および頸静脈周囲へのリンパ節転移の評価が必須である 1)。US の有用性を検証するためには,触診 2)をはじめ,CT 3),MRI,FDG-PET / PET-CT 4)など各種の画像診断との比較,あるいはそれらのなかでのUS の役割,位置づけを明らかにする必要がある。原発巣の大きさを計測する診断ツールとしてUS は安定した支持を受けている 5)6)。昨今の解像度の高いUS 機器を用いれば小さな病変でも明確に検出できるという特徴を有し 1)5)7),US 上の計測と病理学的な計測結果は,83%という高い一致率 1)が報告されている。US 上の甲状腺癌結節病変の診断基準にはコンセンサスを得た一定の基準があり 5)6),US だけで高い正診率を示している。腺外浸潤の評価にもUS は有用で,特に前頸筋浸潤 1)や臨床上問題となる気管浸潤 8)においてもUS の感度は高い。一方,リンパ節転移に対する評価においてもUS の有用性を論じる報告 1)2)4)5)は多いが,中心領域リンパ節に対する検出および診断には限界があり,頸静脈周囲領域リンパ節のそれに比して感度も50 〜55% vs70 〜80%と低下する 2)ことは銘記すべき点である。また,リンパ節転移に対する診断にはCT のほうが有用とする報告もあり 3),US では中心領域の可視範囲がもともと狭いという限界があることを考慮し,両者を相補的に使用することが望まれる。

参考文献

1) Park JS, Son KR, Na DG, et al. Performance of preoperative sonographic staging of papillary thyroid carcinoma based on the sixth edition of the AJCC / UICC TNM classification system. AJR. 2009;192:66-72.(レベルⅣ)

2) Kouvaraki MA, Shapiro SE, Fornage BD, et al. Role of preoperative ultrasonography in the surgical management of patients with thyroid cancer. Surgery. 2003;134:946-54;discussion 954-5.(レベルⅣ)

3) Ahn JE, Lee JH, Yi JS, et al. Diagnostic accuracy of CT and ultrasonography for evaluating metastatic cervical lymph nodes in patients with thyroid cancer. World J Surg. 2008;32:1552-8.(レベルⅣ)

4) Choi WH, Chung YA, Han EJ, et al. Clinical value of integrated[18F]fluoro-2-deoxy D-glucose positron emission tomography / computed tomography in the preoperative assessment of papillary thyroid carcinoma:comparison with sonography. J Ultrasound Med. 2011;30:1267-73.(レベルⅣ)

5) Lew JI, Rodgers SE, Solorzano CC. Developments in the use of ultrasound for thyroid cancer. Curr Opin Oncol. 2010;22:11-6.(レベルⅤ)

6) 日本内分泌外科学会,日本甲状腺外科学会編:甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010 年版.p.35-39.

7) Sowerby L, Franklin JH, Chin CJ, et al. Discrepancy between ultrasound and final pathologic measurements in thyroid cancer. J Otolaryngol Head Neck Surg. 2011;40:453-7.(レベルⅣ)

8) Tomoda C, Uruno T, Takamura Y, et al. Ultrasonography as a method of screening for tracheal invasion by papillary thyroid cancer. Surg Today. 2005;35:819-22.(レベルⅣ)

検索式

PubMed にて「thyroid cancer」「staging」「ultrasonography」で抽出した67 編から選択した。また二次 資料として『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010 年版』(金原出版)およびそこに掲載されている文献など も参考にした。


CQ1-4 頭頸部癌において穿刺吸引細胞診は有用か?

推奨
グレード
B 高い感度,特異度,正診率からも穿刺吸引細胞診は頭頸部癌のリンパ節転移診断,唾液腺癌,甲状腺癌などに対する原発巣質的診断における必須の評価法として有用である。なお,他の画像診断と組み合わせて診断精度が向上することを同時に理解すべきである。
解 説

頭頸部における穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration cytology;FNAC)は,頸部腫瘤,結節性甲状腺病変,大唾液腺腫瘤に対して施行される。FNAC の役割には,悪性診断および組織型診断がある。頭頸部の腫瘤に対するFNAC は一般に有用と考えられており,FNAC の結果と最終的な病理結果を対比した検討で,過去の報告から得られたメタアナリシス 1)ではリンパ節で感度94. 2%,特異度96. 9%,大唾液腺病変で感度85. 5%,特異度98. 4%,甲状腺病変で感度98. 4%,特異度79. 7%であった。しかし,唾液腺癌で検討した報告では,悪性診断の感度は60 〜75%程度にとどまり 2)3),組織型診断になるとさらに低下し,限界があるといわざるを得ない 2)

一方,甲状腺癌においてはFNAC が強く推奨されており,その感度は90%以上とするものが多く 4)5),US 所見と組み合わせて診断した場合,さらに悪性診断率は上昇する 6)。しかし濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別はFNAC だけでは困難であることが問題点として挙げられる 5)。また放射線治療ないしは化学放射線治療後の転移リンパ節を評価する場合 7)8)や,リンパ節自体が小さいため他の画像診断で診断困難な場合 9)にFNAC を併せて行うと診断の精度が高まり,その後の治療方針決定のうえで有用である 3)6)〜9)という報告もあり,FNAC は頸部腫瘤に対する総合診断法のひとつであり,他の検査法と上手く組み合わせて初めて臨床上の精度が向上することを銘記すべきである。

参考文献

1) Tandon S, Shahab R, Benton JI, et al. Fine-needle aspiration cytology in a regional head and neck cancer center:comparison with a systematic review and meta-analysis. Head Neck. 2008;30:1246-52.(レベルⅠ)

2) Cohen EG, Patel SG, Lin O, et al. Fine-needle aspiration biopsy of salivary gland lesions in a selected patient population. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2004;130:773-8.(レベルⅣ)

3) Lin AC, Bhattacharyya N. The utility of fine needle aspiration in parotid malignancy. Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;136:793-8.(レベルⅣ)

4) Seiberling KA, Dutra JC, Gunn J, et al. Ultrasound-guided fine needle aspiration biopsy of thyroid nodules performed in the office. Laryngoscope. 2008;118:228-31.(レベルⅣ)

5) 日本内分泌外科学会,日本甲状腺外科学会編.甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010 年版.P43-44, p92-93

6) Moon HJ, Kwak JY, Kim EK, et al. The combined role of ultrasound and frozen section in surgical management of thyroid nodules read as suspicious for papillary thyroid carcinoma on fine needle aspiration biopsy:a retrospective study. World J Surg. 2009;33:950-57.(レベルⅣ)

7) Nishimura G, Matsuda H, Taguchi T, et al. Treatment evaluation of metastatic lymph nodes after concurrent chemoradiotherapy in patients with head and neck squamous cell carcinoma. Anticancer Res. 2012;32:595-600.(レベルⅣ)

8) Yom SS, Garden AS, Staerkel GA, et al. Sonographic examination of the neck after definitive radiotherapy for node-positive oropharyngeal cancer. AJNR Am J Neuroradiol. 2011;32:1532-8.(レベルⅣ)

9) Atula TS, Varpula MJ, Kurki TJ, et al. Assessment of cervical lymph node status in head and neck cancer patients:palpation, computed tomography and low field magnetic resonance imaging compared with ultrasound-guided fine-needle aspiration cytology. Eur J Radiol. 1997;25:152-61.(レベルⅣ)

検索式

PubMed にて「head and neck cancer」「FNAC」で抽出した363 編から選択した。


CQ1-5 頭頸部癌治療前に重複癌の検索は必要か?

推奨
グレード
B 頭頸部癌治療前には頭頸部領域のみならず,食道を中心とした上部消化管内視鏡検査による重複癌検索が必要である。
C1 多量飲酒・喫煙歴のある患者は重複癌についてのハイリスク症例と考えられ,肺も含めた検索が必要である。
解 説

大阪府がん登録データからは,口腔・中下咽頭癌患者では,食道に2 次癌を発生するリスクが極めて高く,喫煙と多量飲酒が重なった場合に2 次癌リスクが相乗的に高くなったことが示された 1)。斉川ら 2)は全国7 つの主要施設から頭頸部扁平上皮癌565 例を集積し,14.5%に重複癌が発生していたと報告している。発生部位は食道が最も多く,以下,頭頸部,胃,肺の順であり,これら4 部位で81. 9%を占めていた。重複癌の累積発生率は第1 癌初診時に4. 1%あり,その後毎年2.6%ずつ上昇していた。中溝らは,初発部位別の2 次癌の発生を検討し報告している 3)。重複癌が生じやすいのは下咽頭癌,中咽頭癌,舌癌,舌を除く口腔癌,喉頭癌の順であった。第2 癌が口腔・咽頭に生じるリスクは,男性では下咽頭癌(オッズ比38.92),舌癌(同18.71),喉頭癌(同7.06),女性では舌癌(同39.19)で有意に高く,第2 癌が食道に生じるリスクは男性の下咽頭癌(オッズ比53.02),中咽頭癌(同31.22),口腔癌(同16.08),喉頭癌(同7.10),舌癌(同6.58)で有意に高かった。肺については喉頭癌(オッズ比2.36)で有意に高かった。

以上より,飲酒・喫煙の多い頭頸部癌患者においては重複癌のハイリスク症例と認識して,治療前には十分な検索が必要である。

参考文献

1) 津熊秀明,井岡亜希子,大島 明,他.頭頸部癌の疫学と一次・二次予防-禁煙・節酒宣言に向けて-わが国におけるがん罹患動向と頭頸部がん-大阪府がん登録より.頭頸部癌 32:292-9,2006.(レベルⅣ)

2) 斉川雅久,福田 諭,永橋立望,他:統計からみた頭頸部多重がんの実態.頭頸部腫瘍 29:526-40,2003.(レベルⅣ)

3) 中溝宗永,鎌田信悦,川端一嘉,他:頭頸部癌における重複癌と喫煙飲酒歴-人年法による解析.日耳鼻 96:1501-9,1993.(レベルⅣ)

検索式

日本における重複癌の実態を把握するため,医中誌を用いて検索した。「頭頸部癌」「重複癌」「診断」で抽出した321 編から選択した。


CQ1-6 頭頸部癌の病期診断においてFDG-PET は有用か?

推奨
グレード
B PET は病期診断におけるN・M 因子の診断のみならず,再発診断についても有用である。
解 説

PET の意義は,機能診断であることと全身検索が容易に行えることにある。FDG-PET は,活発に糖を取り込むとされる悪性腫瘍の性質を利用して,F-18 で標識したブドウ糖を投与し,その集積をみるものである。Ga シンチグラフィと比較すると,空間分解能・定量性の点で優れており,さらに解剖学的な部位同定が可能なPET-CT の開発により急速な普及がみられている。ただし,炎症性細胞にも糖は多く取り込まれ,良性腫瘍でも甲状腺腫やワルチン腫瘍,多形腺腫などには高い集積を認めることから,他の検査と組み合わせての診断が求められる。

頭頸部癌の原発巣は視診や触診,内視鏡,生検により診断されることが多く,PET は原発巣の進展範囲の診断に役立つ。N 因子となるリンパ節転移に関するPET の検査は,Kyzas ら 1)によると感度79%(95% CI:72 〜85%),特異度86%(95% CI:83〜89%)であり,その有用性は評価されている。しかしながらcN0 症例では特異度87%(95% CI:76 〜93%)であるのに対して,感度は50%(95% CI:37 〜63%)と低く,診断精度は低下する。Liao ら 2)もcN0 症例に対するPET の有用性はCT やMRI との有意差はなく,複数の画像診断法を併用することが必要であると述べている。M 因子としての遠隔転移や頭頸部癌にしばしば認められる重複癌の検出能は他のモダリティより優れており,頭頸部癌患者においてはPET によって遠隔転移または重複癌が約10%に発見されている 3)

原発不明頸部転移癌においてPET による原発巣の検出が期待されるが,PET による原発巣の発見頻度は約25%と報告されている 2)

再発腫瘍に対してPET ではFDG 高集積を示し,再発診断にPET は極めて有用である。PET の再発診断では感度73 〜100%,特異度57 〜100%とCT・MRI に比べて有意に高かった 3)。特に頸部リンパ節転移再発においては感度88%,特異度78%と有用な診断法であると考えられた 3)

参考文献

1) Kyzas PA, Evangelou E, Denaxa-Kyza D, et al. 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography to evaluate cervical node metastases in patients with head and neck squamous cell carcinoma:a meta-analysis. J Natl Cancer Inst. 2008;100:712-20.(レベルⅠ)

2) Liao LJ, Lo WC, Hsu WL, et al. Detection of cervical lymph node metastasis in head and neck cancer patients with clinically N0 neck-a meta-analysis comparing different imaging modalities. BMC Cancer. 2012;12:236.(レベルⅠ)

3) Fletcher JW, Djulbegovic B, Soares HP, et al. Recommendations on the use of 18F-FDG PET in oncology. J Nucl Med. 2008;49:480-508.(レベルⅠ)

検索式

PubMed にて「head and neck neoplasms」「head neck cancer」「PET」として抽出したシステマティッ ク・レビュー80 編,メタアナリシス23 編のなかから,頭頸部扁平上皮癌を対象とし,病期診断につい て述べている3 編を選択した。


2.口腔癌(舌癌)

CQ2-1 舌癌に対する密封小線源治療の適応は?

推奨
グレード
C1 舌癌の密封小線源治療は主として病期Ⅰ・Ⅱに適応される。
解 説

舌癌の密封小線源治療は根治治療であり,低侵襲で機能と形態の温存ができるという利点がある。しかし,低線量率線源の世界的な線源供給制限や施設のマンパワーの問題などで,本邦における本治療の実施可能施設は限定されている。

小線源治療は線量率から低線量率治療(low dose rate;LDR)と高線量率治療(high dose rate;HDR)に分けられる。LDR は192 Ir,137 Cs,198 Au を用いた連続照射が行われる。HDR は192 Ir を用いた遠隔操作式後装填方式(remote after-loading system;RALS)による分割照射が行われ,医療従事者の被曝がなく,隔離病棟への入院は不要である。

舌癌に対する密封小線源治療の適応は,病期Ⅰ・Ⅱ,すなわちT1 N0,T2 N0 とされる 1)〜5)。適応を拡大してT3 に行われることもあるが 6)7),表在性のものが対象となり,腫瘍径や厚みの大きいものでは外照射が先行される 4)6)

小線源治療による舌癌病期Ⅰ・Ⅱの治療成績について,原発巣制御率はⅠ期79〜93%,Ⅱ期72 〜80%であり 1)〜5)8),腫瘍径が大きいものや内向浸潤型では低下する 1)2)4)

5 年生存率はⅠ期81 〜96%,Ⅱ期75 〜89%と報告され 1)〜5)8),後発頸部リンパ節転移が大きな予後因子となっている。LDR とHDR との比較では,両者の治療成績に差はないとされる 7)〜9)。外科療法との比較では,舌癌病期Ⅰ・Ⅱの治療成績は手術と同等であるとする報告 3)と,手術より劣るとする報告 5)がある。

有害事象には,放射線性顎骨壊死や潰瘍形成,唾液腺障害による口腔乾燥症,味覚障害がある 1)4)10)。放射線性顎骨壊死など重篤なものは,スペーサ導入によりほとんどが防止可能となり 10),高いQOL が得られている 11)

参考文献

1) Shibuya H, Hoshina M, Takeda M, et al. Brachytherapy for stage Ⅰ & Ⅱ oral tongue cancer:an analysis of past cases focusing on control and complications. Int J Rdiat Oncol Biol Phys. 1993;26:51-8.(レベルⅣ)

2) Ichimiya Y, Fuwa N, Kamata M, et al. Treatment results of stage I oral tongue cancer with definitive radiotherapy. Oral Oncol. 2005;41:520-5.(レベルⅣ)

3) 中島寅彦,中村和正,白土秀樹,他.早期舌癌に対する手術療法の治療成績-放射線治療との比較.日耳鼻 113:456-62, 2010.(レベルⅣ)

4) Fujita M, Hirokawa Y, Kashiwado K, et al. Interstitial brachytherapy for Stage Ⅰ and Ⅱ squamous cell carcinoma of the oral tongue:factors influencing local control and soft tissue complications. Int J Rdiat Oncol Biol Phys. 1999;44:767-75.(レベルⅣ)

5) Umeda M, Komatsubara H, Ojima Y, et al. A comparison of brachytherapy and surgery for the treatment of stage Ⅰ-Ⅱ squamous cell carcinoma of the tongue. Int J Oral Maxillofac Surg. 2005;34:739-44.(レベルⅣ)

6) Ihara N, Shibuya H, Yoshimura R, et al. Interstitial brachytherapy and neck dissection for Stage Ⅲ squamous cell carcinoma of the mobile tongue. Acta Oncol. 2005;44:709-16.(レベルⅣ)

7) Kakimoto N, Inoue T, InoueT, et al. Results of low- and high-dose-rate interstitial brachytherapy for T3 mobile tongue cancer. Radiother Oncol. 2003;68:123-8.(レベルⅣ)

8) Inoue T, Inoue T, Toshida K, et al. Phase Ⅲ trial of high- vs. low-dose-rate interstitial radiotherapy for early mobile tongue cancer. Int J Rdiat Oncol Biol Phys. 2001;51:171-5.(レベルⅡ)

9) Akiyama H, Yoshida K, Shimizutani K, et al. Dose reduction trial from 60 Gy in 10 fractions to 54 Gy in 9 fractions schedule in high-dose-rate interstitial brachytherapy for early oral tongue cancer. J Radiat Res. 2012;53:722-6.(レベルⅣ)

10) Miura M, Takeda M, Sasaki T, et al. Factors affecting mandibular complications in low dose rate brachytherapy for oral tongue carcinoma with special reference to spacer. Int J Rdiat Oncol Biol Phys. 1998;41:763-70.(レベルⅣ)

11) Yoshimura R, Shibuya H, Miura M, et al. Quality of life of oral cancer patients after low-dose-rate interstitial brachytherapy. Int J Rdiat Oncol Biol Phys. 2009;73:772-8.(レベルⅣ)

検索式

医中誌で「舌腫瘍」「舌癌」「近距離照射治療法」「組織内照射」として抽出した72 編,およびPubMed にて「interstitial radiotherapy」「brachytherapy」「tongue cancer」として抽出した128 編,追加論文から選定した。


CQ2-2
舌癌病期Ⅰ・Ⅱ症例に対して予防的頸部郭清術を行うことは,経過観察を行い再発時に頸部郭清術を行う場合に比べて生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
C1 ハイリスク群に対する予防的頸部郭清術は生存率の向上に寄与する。
解 説

舌癌病期Ⅰ・Ⅱ症例に対する予防的頸部郭清術(elective neck dissection;END)の意義に関しては,いまだ意見が分かれている。8 つの論文の638 例を対象としたdecision analysis ではEND の施行が好ましいとの結論であったが 1),16 施設の868 例を対象とした同様の統計学的手法を用いた研究では,経過観察が推奨された 2)。この問題に対する前向き研究はいくつか存在する。最初の報告は1989 年インドからの報告で経過観察が推奨された 3)。また,最新の前向き研究は2009 年,同じくインドからの報告で同様に経過観察が推奨された 4)。その他の大規模な後ろ向き研究5)6)でも経過観察が推奨される一方,大規模な後ろ向き研究で高リスク群にEND を施行したにもかかわらず,END 群が経過観察群に比較して有意に予後がよく,また多変量解析によってEND が独立した予後因子であることを示した報告もある 7)〜9)。Haddadin ら10)は,END 施行群に比べて,再発が明らかになった時点で救済手術として頸部郭清術を施行した群では有意にリンパ節転移の数が多く,節外浸潤の頻度が高いことを示した。また,転移陽性症例の生存率がEND 施行群では再発時救済治療としての頸部郭清施行群と比較して有意によいことを示した。さらに予防的頸部郭清術により得られる頸部に関する多くの情報は,術後治療の適応を決定するための重要な情報をもたらす。今後はN0 診断の厳格化,統一化を図り,系統的な経過観察方法の標準化を行うことが重要で 2),そのうえで大規模な前向き試験が望まれる。

参考文献

1) Song T, Bi N, Gui L, et al. Elective neck dissection or “watchful waiting”:optimal management strategy for early stage N0 tongue carcinoma using decision analysis techniques. Chin Med J(Engl). 2008;121:1871-4.(レベルⅤ)

2) Kaneko S, Yoshimura T, Ikemura K, et al. Primary neck management among patients with cancer of the oral cavity without clinical nodal metastases:A decision and sensitivity analysis. Head Neck. 2002;24:582-90.(レベルⅤ)

3) Fakih AR, Rao RS, Borges AM, et al. Elective versus therapeutic neck dissection in early carcinoma of the oral tongue. Am J Surg. 1989;158:309-13.(レベルⅡ)

4) Yuen AP, Ho CM, Chow TL, et al. Prospective randomized study of selective neck dissection versus observation for N0 neck of early tongue carcinoma. Head Neck. 2009;31:765-72.(レベルⅡ)

5) D’Cruz AK, Siddachari RC, Walvkar RR, et al. Elective neck dissection for the management of the N0 neck in early cancer of the oral tongue:need for a randomized controlled trial. Head Neck. 2009;31:618-24.(レベルⅤ)

6) Liu TR, Chen FJ, Yang AK, et al. Elective neck dissection in clinical stage Ⅰ squamous cell carcinoma of the tongue:Does it improve regional control or survival time? Oral Oncol. 2011; 47:136-41.(レベルⅣ)

7) Capote A, Escorial V, Muñoz-Guerra MF, et al. Elective neck dissection in early-stage oral squamous cell carcinoma - dose it influence recurrence and survival? Head Neck. 2007;29:3-11.(レベルⅤ)

8) Huang SF, Kang CJ, Lin CY, et al. Neck treatment of patients with early stage oral tongue cancer:comparison between observation, supraomohyoid dissection, and extended dissection. Cancer. 2008;112:1066-75.(レベルⅤ)

9) Keski-Säntti H, Atula T, Törnwall J, et al. Elective neck treatment versus observation in patients with T1 / T2 N0 squamous cell carcinoma of oral tongue. Oral Oncol. 2006;42:96-101.(レベルⅤ)

10) Haddadin KJ, Soutar DS, Oliver RJ, et al. Improved survival for patients with clinically T1 / T2, N0 tongue tumors undergoing a prophylactic neck dissection. Head Neck. 1999;21:517-25.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて「tongue」「elective neck dissection」として抽出した72 編のなかで本CQ にマッチした7 編を選択し,ほかの方法で得られた3 編の論文を加えた。


CQ2-3 舌半側切除に対する適切な再建方法は?

推奨
グレード
C1 舌半側切除程度の切除後の再建では一期縫縮,ないしは薄い皮弁で再建を行い,会話・摂食機能を保持する。
解 説

舌部分切除,舌半側切除後の比較すべき術後機能として,嚥下,咀嚼機能と会話機能がある。評価方法は文献によりさまざまであるが,舌残存組織の程度と舌可動性(動き)に比例しているとの報告が多い 1)2)。一方,舌部分切除,舌半側切除後の再建方法には,一期縫縮,植皮,遊離皮弁再建,有茎皮弁再建などがある。しかし,舌の可動性を考慮すると,皮弁による再建の必要性も改めて考慮しなければならない。切除範囲と再建方法によりどのように機能面で違いがあるのかを解説する。

舌部分切除

舌半側切除以下,側方切除のみの場合,皮弁再建,一期縫縮いずれも嚥下,咀嚼能力はほぼ問題なく保たれ,制限なく摂取が可能である 1)2)4)〜6)。一期縫縮のほうが皮弁再建例より発語明瞭度が良好であるとの報告もみられるが 3),前方切除例では薄い皮弁で再建したほうが舌の動き,会話機能ともに優れているとの報告もあり 2),機能を考慮した再建方法種別の明確なエビデンスのある論文はない。

舌半側切除(舌可動部半側切除,舌半側切除)

会話機能の点では,皮弁による再建より一期縫縮のほうがよいとの報告があるが明らかではない 7)。一方,皮弁で再建した場合の比較では,前腕皮弁で再建したほうが大胸筋皮弁よりはよい 8)。QOL 調査では70%以上の回復を認め,日常生活の会話に関してはおおむね問題なく行える 5)9)

嚥下機能の点では,一期縫縮よりは前腕皮弁で再建したほうが,機能が良好で有意差を認める 7)。皮弁の種別に関して有意差はないが,大胸筋皮弁よりは前腕皮弁のほうがよいとの報告がある 8)。しかも,前腕皮弁は大胸筋皮弁,腹直筋皮弁よりも摂食機能,会話機能,舌可動部の整容面で優れている 1)10)。食事内容としてはおおむね制限なく可能であり,嚥下機能検査では術前との有意差はないか若干の低下を認める 4)5)9)11)。しかし,舌の可動性に関しては半分以下程度しか回復しない 2)。前腕皮弁と前外側大腿皮弁を比較すると会話機能に差はないが,皮弁採取部は前外側大腿皮弁が審美性で優れている 12)。いずれもエビデンスレベルの高い論文はない。

参考文献

1) Matsui Y, Shirota T, Yamashita K, et al. Analyses of speech intelligibility in patients after glossectomy and reconstruction with fasciocutaneous / myocutaneous flaps. Int J Oral Maxillofac Surg. 2009;38:339-45.(レベルⅤ)

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3) 高瀬武一郎.口腔・中咽頭癌に対する切除範囲と構音・嚥下機能に関する臨床的検討.耳鼻 51:391-402, 2005.(レベルⅤ)

4) 工藤雅範.舌癌手術症例における構音・咀嚼機能の経時的評価.口病誌 77:27-34,2010.(レベルⅤ)

5) Nicoletti G, Soutar DS, Jakson MS, et al. Chewing and swallowing after surgical treatment for oral cancer:functional evaluation in 196 selected cases. Plast Reconstr Surg. 2004;114:329-38.(レベルⅤ)

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8) Su WF, Chen SG, Sheng H. Speech and swallowing function after reconstruction with a radial forearm free flap or a pectoralis major flap for tongue cancer. J Formos Med Assoc. 2002;101:472-7.(レベルⅤ)

9) Thankappan K, Kuriakose MA, Chatni SS, et al. Lateral Arm free flap for oral tongue reconstruction:an analysis of surgical details, morbidity, and functional and aesthetic outcome. Ann Plast Surg. 2011;66:261-6.(レベルⅤ)

10) Shpizer T, Guttman D, Gur E, et al. Transoral reconstruction of the mobile tongue, using radial forearm free flap. Microsurgery. 2003;23:18-20.(レベルⅤ)

11) Hsiao HT, Leu YS, Lin CC. Tongue reconstruction with free radial forearm flap after hemiglossectomy:a functional assessment. J Reconstr Microsurg. 2004;19:137-42.(レベルⅤ)

12) de Vicente JC, de Villalaín L, Torre A, et al. Microvascular free tissue transfer for tongue reconstruction after hemiglossectomy:a functional assessment of radial forearm versus anterolateral thigh flap. J Oral Maxillofac Surg. 2008;66:2270-5.(レベルⅤ)

検索式

PubMed から「head and neck neoplasms」「tongue」「swallowing」「speech」などで抽出した464 編のうちの10 編を採用。また,医中誌で,「舌切除術」「舌亜全摘」「再建」「機能」などで抽出した367 編のなかから2 編が本CQ において重要と考えられたため採用した。


CQ2-4 舌亜全摘出以上の症例において,隆起型の舌の再建は術後機能の保持に有用か?

推奨
グレード
B 舌亜全摘出以上の症例において,隆起型の舌の再建は術後の嚥下および構音機能の保持に有用である。
解 説

舌亜全摘出以上の症例では,呼吸,嚥下および構音機能が著しく障害される。したがってその再建では,呼吸機能の確保とともに嚥下および構音機能を回復させて患者のQOL を維持することが目的となる。喉頭合併切除の症例では通常の構音機能の回復は望めないが,喉頭温存症例では構音機能の回復により高いQOL を得る可能性がある。しかし,その機能的予後には再建方法の他に多くの因子が影響し,誤嚥性肺炎を繰り返す症例では喉頭摘出術を余儀なくされる場合もある。

現時点で,元の舌と同様に動く舌を再建することは不可能である。したがって,元の舌の機能を回復するためには,元の舌と同様に口腔内を満たし口蓋に接する隆起型の舌の再建が必要と考えられる。再建した舌が口蓋に接することで,嚥下の口腔期における食塊の保持と中咽頭への搬送が可能となり,さらに嚥下圧が上昇しそれに残存する咽頭収縮筋の代償的動きが加わることで食塊が食道に送り込まれる 1)〜4)。また,構音には狭い共鳴腔と舌尖が口蓋に接することが重要であるが,再建舌のvolume によって狭い共鳴腔が再現され,それが口蓋に接触することで構音機能が代償される 1)〜4)

舌全摘出・亜全摘出の喉頭温存症例に対し隆起型のvolume のある舌の再建を行い,術後機能を後ろ向きに検討した報告は多く,それらによると70 〜80%の症例で気管カニューレの抜去が可能となり,嚥下および構音機能において良好な結果が得られている 4)〜8)。また,Kimata ら 3)は,再建された舌の形態を隆起型,亜隆起型,平坦型,陥凹型に分類し後ろ向きに検討した結果,隆起型や亜隆起型が嚥下および構音機能において有意に良好であったと報告している。さらに,Yun ら 9)は,再建した舌の隆起が経時的に低くなる場合があるが,その程度の大きいものほど嚥下および構音機能が悪くなったと報告している。

参考文献

1) Haughey BH. Tongue reconstruction:concepts and practice. Laryngoscope. 1993;103:1132-41.(レベルⅤ)

2) Kiyokawa K, Tai Y, Inoue Y, et al. Functional reconstruction of swallowing and articulation after total glossectomy without laryngectomy:money pouch-like reconstruction method using rectus abdominis myocutaneous flap. Plast Reconstr Surg. 1999;104:2015-20.(レベルⅤ)

3) Kimata Y, Sakuraba M, Hishinuma S, et al. Analysis of the relations between the shape of the reconstructed tongue and postoperative functions after subtotal and total glossectomy. Laryngoscope. 2003;113:905-9.(レベルⅣ)

4) Yu P, Robb GL. Reconstruction for total and near-total glossectomy defects. Clin Plastic Surg. 2005;32:411-9.(レベルⅤ)

5) Lyos AT, Evans GR, Perez D, et al. Tongue reconstruction:outcomes with the rectus abdominis flap. Plast Reconstr Surg. 1999;103:442-7;discussion 448-9.(レベルⅤ)

6) Kimata Y, Uchiyama K, Ebihara S, et al. Postoperative complications and functional results after total glossectomy with microsurgical reconstruction. Plast Reconstr Surg. 2000;106:1028-35.(レベルⅣ)

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8) Vega C, León X, Cervelli D, et al. Total or subtotal glossectomy with microsurgical reconstruction:functional and oncological results. Microsurgery. 2011;31:517-23.(レベルⅤ)

9) Yun IS, Lee DW, Lee WJ, et al. Correlation of neotongue volume changes with functional outcomes after long-term follow-up of total glossectomy. J Craniofac Surg. 2010;21:111-6.(レベルⅣ)

検索式

PubMed から「head and neck neoplasms」「tongue」「swallowing」「speech」などで抽出した464 編のうちの7 編を採用。また,医中誌で「舌切除術」「舌亜全摘」「再建」「機能」などで367 編抽出した。さらにハンドサーチで得られた2 編を追加した。


3.上顎洞癌

CQ3-1
上顎洞扁平上皮癌眼窩壁浸潤症例において眼球を温存することは生存率を低下させるか?

推奨
グレード
C1 眼窩骨膜までの浸潤であれば,眼窩内容を温存しても局所制御率や生存率は低下しない。
C1 手術前後の放射線照射は眼窩内容温存に寄与する。
解 説

眼窩内浸潤は上顎洞癌の60 〜80%にみられ 1),上顎洞癌を含めた鼻・副鼻腔癌で眼窩壁浸潤がみられる場合は予後が悪い 2)〜4)。しかし,眼窩内容摘出の基準は必ずしも確立されたものがないのが現状である。外眼筋,眼窩尖,眼球結膜あるいは強膜に浸潤がある場合に摘出することは,ほぼコンセンサスが得られている 5)。眼窩内の脂肪に浸潤 1)がある場合も,摘出の適応となることが多い。眼窩骨膜をこえた場合には,その内側は眼窩内脂肪,外眼筋でバリヤーとなる膜構造がないため,眼窩内へ播種している可能性を考えて摘出が行われる。しかし,術前治療の後に腫瘍が眼窩内脂肪組織にとどまっている場合は,眼球を温存するという方針の施設もある 6)。眼瞼に浸潤した場合は,機能的な再建ができないときは摘出の適応とされている 5)。眼窩骨膜までの浸潤であれば,眼窩内容を温存しても局所制御率や生存率は変わりないという報告が多い 1)5)。しかし,温存することにより治療成績が低下したという報告もある 7)。眼窩内容を温存する場合でも,眼窩下壁を広範に切除すると眼球の偏位や複視が生じるため,眼窩下壁の硬性再建を考慮する 4)5)

眼窩内容温存に寄与する治療方法として手術前後の放射線照射が有用とする報告が多く,特に本邦では動注化学療法の併用により眼窩内容温存率が向上したとの報告が散見される 6)8)9)。また照射を併用すると眼科的合併症発生のリスクが高くなるが 5),眼窩内容温存については,視機能のみならず,整容的な面も含めて多面的に考える必要がある。

参考文献

1) Carrau RL, Segas J, Nuss DW, et al. Squamous cell carcinoma of the sinonasal tract invading the orbit. Laryngoscope. 1999;109:230-5.(レベルⅣ)

2) Nazar G, Rodrigo JP, Llorente JL, et al. Prognostic factors of maxillary sinus malignancies. Am J Rhinol. 2004;18:233-8.(レベルⅣ)

3) Carrillo JF, Güemes A, Ramírez-Ortega MC, et al. Prognostic factors in maxillary sinus and nasal cavity carcinoma. Eur J Surg Oncol. 2005;31:1206-12.(レベルⅣ)

4) Suárez C, Ferlito A, Lund VJ, et al. Management of the orbit in malignant sinonasal tumors. Head Neck. 2008;30:242-50.(レベルⅣ)

5) Imola MJ, Schramm VL Jr. Orbital preservation in surgical management of sinonasal malignancy. Laryngoscope. 2002;112:1357-65.(レベルⅣ)

6) 三谷浩樹,川端一嘉,米川博之,他.ガイドラインに沿った上顎癌治療-上顎扁平上皮癌に対する手術治療成績について.頭頸部癌 37:349-54,2011.(レベルⅣ)

7) Dulguerov P, Jacobsen MS, Allal AS, et al. Nasal and paranasal sinus carcinoma:are we making progress? A series of 220 patients and a systemic review. Cancer. 2001;92:3012-29.(レベルⅣ)

8) Kanoto M, Oda A, Hosoya T, et al. Impact of superselective transarterial infusion therapy of high-dose cisplatin on maxillary cancer with orbital invasion. AJNR Am J Neuroradiol. 2010;31:1390-4.(レベルⅣ)

9) Nishino H, Ichimura K, Tanaka H, et al. Results of orbital preservation for advanced malignant maxillary sinus tumors. Laryngoscope. 2003;113:1064-9.(レベルⅣ)

検索式

医中誌にて「上顎洞癌」で抽出した373 編,およびPubMed にて「sinonasal」「orbit」で抽出した127 件,および「maxillary sinus cancer」で抽出した1, 456 件のなかから選択した。


CQ3-2
頭頸部癌に対する超選択的動注化学療法は臓器機能温存に寄与するか?

推奨
グレード
C1 現在まで超選択的動注化学療法の有用性を明確に示した報告はないが,放射線治療と同時併用療法は,部位・病期によっては臓器機能温存に寄与する可能性がある。
解 説

超選択的動注療法とは,外頸動脈から分枝した血管,すなわち上甲状腺動脈,舌動脈,顎動脈などに選択的にカテーテルを挿入し,そこから抗がん薬を投与する方法である。通常は大量のシスプラチンを動注し,そのシスプラチンをチオ硫酸ナトリウムにて中和し副作用を軽減することにより毎週動注を行う方法を指す 1)。放射線治療との同時併用で行われることが多い 2)〜4)

オランダで口腔,中・下咽頭,喉頭癌を対象として,放射線治療との併用療法としてシスプラチンの動注(IA-CRT)と静注(IV-CRT)の無作為化比較試験が行われ,locoregional control,disease free survival,overall survival は両群に差がなく,有害事象は腎障害がIV-CRT 群に多く,神経障害がIA-CRT 群に多い結果であった 4)。適応と動注の技術的な問題が指摘されており 5),IV-CRT が良好な成績が得られているため,動注の手技の煩雑さ,コスト,治療に伴う脳血管障害,神経障害などのリスクを考えると,IA-CRT のよい適応となる対象を絞っていくことが重要である。具体的には,腫瘍が片側に限局し腫瘍体積が30 cc 以上であればIA-CRT のほうがよい成績が得られている。また,確実に腫瘍の栄養血管にカテーテルを挿入できる技術もこの治療には必須である。

血管支配が比較的単純な上顎洞,舌根の局所進行癌については,多くの施設から良好な成績が報告されており,よい適応と考えられる 6)〜9)。舌は動注を行いやすい部位であるが,下顎骨壊死などの晩期障害のリスクが高い。喉頭癌については良好な成績がいくつかの施設から報告されている 10)11)。下咽頭癌はN2 b 〜3 では原発巣が制御されても遠隔転移が多くよい適応とはいえない 12)13)

現在までIA-CRT の有用性を明確に示した報告はなく,適応は慎重に判断すべきである。

参考文献

1) Robbins KT, Storniolo AM, Kerber C, et al. Phase I study of highly selective supradose cisplatin infusions for advanced head and neck cancer. J Clin Oncol. 1994;12:2113-20.(レベルⅣ)

2) Robbins KT, Vicario D, Seagren S, et al. A targeted supradose cisplatin chemoradiation protocol for advanced head and neck cancer. Am J Surg. 1994;168:419-22.(レベルⅣ)

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8) 田中 法瑞,鈴木 弦,安陪 等思,他.放射線療法の進歩と将来展望-頭頸部癌に対する動注化学放射線療法-亜部位別の適応に関する考察.頭頸部癌 37:498-502, 2011.(レベルⅣ)

9) Kano S, Homma A, Oridate N, et al. Superselective arterial cisplatin infusion with concomitant radiation therapy for base of tongue cancer. Oral Oncol. 2011;47:665-70.(レベルⅣ)

10) Yoshizaki T, Kondo S, Wakisaka N, et al. Concurrent intra-arterial chemotherapy and radiotherapy for advanced laryngeal cancer. Ann Otol Rhinol Laryngol. 2009;118:172-8.(レベルⅣ)

11) Nakashima T, Mihoki T, Ono T, et al. Selective(intra-arterial), rapid infusion chemo-radiotherapy to preserve the larynx in advanced laryngeal carcinoma:preliminary results. J Laryngol Otol Suppl. 2009;123:30-4.(レベルⅣ)

12) 本間明宏,折舘伸彦,鈴木章之,他.下咽頭癌-喉頭機能温存治療-超選択的動注療法.耳鼻 56:S66-S70,2010.(レベルⅣ)

13) 横山純吉,伊藤 伸,大峡慎一,他.進行咽頭・頸部食道癌に対する治療戦略-進行咽頭・頸部食道癌に対する超選択的動注療法を用いた臓器温存療法.日気食 62:100-1,2011.(レベルⅣ)

検索式

医中誌にて「超選択的動注」で抽出した233 編,およびPubMed にて「arterial chemotherapy」「head and neck cancer」で抽出した539 編のなかから選択した。


4.上咽頭癌

CQ4-1
局所進行上咽頭癌において放射線治療に化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
B 病期Ⅱ〜ⅣB の上咽頭癌の放射線治療においては化学療法の同時併用が生存率の向上に寄与する。
解 説

1, 608 〜2, 450 例を含む7 〜10 個の比較試験結果からなるメタアナリシスの3 編の報告がある 1)〜3)。いずれも化学療法併用で放射線治療単独に対しハザード比0.74 〜0.82 で生存率改善が確認されている。Endemic area では予後不良の角化型扁平上皮癌の頻度が低く予後良好と考えられ,欧米のIntergroup study 0099 の結果を除外したメタアナリシスも行われたが同様の結果であった 3)。ただしendemic area からのデータでは,ハザード比の比較では化学療法の併用効果はより少ないとも分析されている。

化学療法併用は局所制御改善への寄与が最も大きく,遠隔転移制御への寄与がこれに次ぐと考えられる。また化学療法併用で有意に急性毒性が増強し癌以外の死亡が増加し,治療効果改善の利点が減少するとの指摘がある。

化学療法の併用法では同時併用法の効果が最も大きく,導入化学療法,補助化学療法は効果が劣るとされている 1)4)。また病期Ⅱ症例単独で化学療法の併用効果を検証した比較試験では,生存率改善が確認されている 5)。以上より病期Ⅱ〜ⅣB の上咽頭癌に対しては同時併用の化学放射線療法が推奨される。

上咽頭癌を対象とした2 編の比較試験で,強度変調放射線治療が通常照射法に比べ唾液腺障害を有意に減少したと報告されている 6)7)。したがって,放射線治療法としては強度変調放射線治療が推奨される。

参考文献

1) Langendijk JA, Leemans CR, Buter J, et al. The additional value of chemotherapy to radiotherapy in locally advanced nasopharyngeal carcinoma:a meta-analysis of the published literature. J Clin Oncol. 2004;22:4604-12.(レベルⅠ)

2) Baujat B, Audry H, Bourhis J, et al. Chemotherapy in locally advanced nasopharyngeal carcinoma:an individual patient data meta-analysis of eight randomized trials and 1753 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006;64:47-56.(レベルⅠ)

3) Zhang L, Zhao C, Ghimire B, et al. The role of concurrent chemoradiotherapy in the treatment of locoregionally advanced nasopharyngeal carcinoma among endemic population:a meta-analysis of the phase Ⅲ randomized trials. BMC Cancer. 2010;10:558.(レベルⅠ)

4) Chen L, Hu CS, Chen XZ, et al. Concurrent chemoradiotherapy plus adjuvant chemotherapy versus concurrent chemoradiotherapy alone in patients with locoregionally advanced nasopharyngeal carcinoma:a phase 3 multicentre randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2012;13:163-71.(レベルⅡ)

5) Chen QY, Wen YF, Guo L, et al. Concurrent chemoradiotherapy vs radiotherapy alone in stage Ⅱ nasopharyngeal carcinoma:phase Ⅲ randomized trial. J Natl Cancer Inst. 2011;103:1761-70.(レベルⅡ)

6) Pow EH, Kwong DL, McMillan AS, et al. Xerostomia and quality of life after intensity-modulated radiotherapy vs. conventional radiotherapy for early-stage nasopharyngeal carcinoma:initial report on a randomized controlled clinical trial. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006;66:981-91.(レベルⅡ)

7) Kam MK, Leung SF, Zee B, et al. Prospective randomized study of intensity-modulated radiotherapy on salivary gland function in early-stage nasopharyngeal carcinoma patients. J Clin Oncol. 2007;25:4873-9.(レベルⅡ)

検索式

PubMed にて「nasopharynx」「radiotherapy」「clinical trial phase Ⅱ / Ⅲ」で抽出した64 編のなかから選択した。また二次資料として『NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン日本語版 2012』と,『放射線治療計画ガイドライン2012 年版』(金原出版)を参考とした。


5.中咽頭癌

CQ5-1 中咽頭癌においてヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子検査は有用か?

推奨
グレード
C1 HPV 検査は中咽頭癌の治療感受性,予後を予測するうえで有用である。しかしながら,治療方法の選択にはその有用性は確立していない。
解 説

近年,ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus;HPV)感染が関連する中咽頭癌が増えている。

従来子宮頸癌の95%以上からHPV 遺伝子が検出されることより,HPV 感染が子宮頸癌の原因として知られていた。頭頸部癌の領域でも1980 年代からHPV の発癌への関与が報告されていたが,2000 年代に入り中咽頭癌の約50%においてHPV 遺伝子が検出されること,若い年齢層を中心に中咽頭癌が増加していることが報告され一気に注目を集めることとなった。性行為の若年化,多様化が増加の背景因子として考えられている 1)2)。本邦においてもHPV 感染と中咽頭癌に関する多施設共同研究が行われ,約50%の感染率であること,HPV タイプとしてHPV16 が90%を占めることが報告されている 3)

癌組織におけるHPV の検出方法としてはウイルスDNA をPCR やin situ hybridization 法で同定する方法や,HPV 感染のマーカーとして知られているp16 の免疫組織化学染色法が用いられている。

HPV 陽性の中咽頭癌は側壁癌,前壁癌がほとんどであり,非喫煙者,非飲酒者にも多い。陰性の癌に比し放射線感受性,化学療法感受性が高く予後が良好であることから 4)5),HPV 感染の有無により治療強度を振り分けることができないかという臨床試験が国内外で進行中であるが 5)6),まだ治療強度の個別化に用いることができるというエビデンスは確立していない。

中咽頭癌に対する化学放射線療法は嚥下障害などによるQOL 低下も問題となることも少なくない。HPV 陽性の中咽頭癌に対する低侵襲治療のエビデンスが確立することが期待されている。

参考文献

1) D’Souza G, Kreimer AR, Viscidi R, et al. Case-control study of human papillomavirus and oropharyngeal cancer. N Engl J Med. 2007;356:1944-56.(レベルⅣ)

2) Chaturvedi AK, Engels EA, Pfeiffer RM, et al. Human papillomavirus and rising oropharyngeal cancer incidence in the United States. J Clin Oncol. 2011;29:4294-301.(レベルⅣ)

3) 徳丸 裕,藤井正人,家根旦有,他.中咽頭癌におけるヒト乳頭腫ウイルスの関与に関する多施設共同研究.頭頸部癌 37:398-404, 2011.(レベルⅣ)

4) Ang KK, Harris J, Wheeler R, et al. Human papillomavirus and survival of patients with oropharyngeal cancer. N Engl J Med. 2010;363:24-35.(レベルⅡ)

5) Worden FP, Kumar B, Lee JS, et al. Chemoselection as a strategy for organ preservation in advanced oropharynx cancer:response and survival positively associated with HPV16 copy number. J Clin Oncol. 2008;26:3138-46.(レベルⅣ)

6) Ihloff AS, Petersen C, Hoffmann M, et al. Human papilloma virus in locally advanced stage Ⅲ / Ⅳ squamous cell cancer of the oropharynx and impact on choice of therapy. Oral Oncol. 2010;46:705-11.(レベルⅠ)

検索式

PubMed にて「human papillomavirus」「oropharyngeal cancer」で抽出した616 編のなかからCQ に重要と思われる5 編を採用した。和文については医中誌にて「ヒトパピローマウイルス」「中咽頭癌」で抽出した21 編の論文から重要な1 編を採用した。


6.下咽頭癌

CQ6-1 早期下咽頭癌において喉頭を温存する治療方針は推奨されるか?

推奨
グレード
B 喉頭温存を目指し,根治照射あるいは喉頭温存手術(経口的切除,外切開による切除)のいずれかを個々の症例に応じて選択することが推奨される。
解 説

下咽頭癌では原発巣の小さなT1・T2 症例でも,頸部リンパ節転移を伴う症例が多いため,病期Ⅰ・Ⅱの早期癌は少数である。それゆえ,治療成績を検討した報告は,1 施設で長期間の集積を行った報告 1)〜3)か,多施設共同による報告 4)である。

放射線治療は年齢や全身状態にほとんど制約を受けないため広く行われ,潜在性頸部転移に対する予防的頸部照射を行うことにより,良好な局所制御・喉頭温存率と生存率が報告されている 1)〜4)。多くの症例が放射線単独治療であり,早期癌に対する化学療法併用に関するエビデンスは十分ではない。

外切開による喉頭温存手術は年齢や全身状態などによる制約のため適応はある程度限定されるが,放射線治療と同様に,良好な局所制御・喉頭温存率と生存率が報告されている 5)

最近の内視鏡の進歩に伴い,これまで発見困難であった微小病変が診断可能となり,消化管内視鏡医の協力による経口的切除術も開発されている 6)〜9)

参考文献

1) Amdur RJ, Mendenhall WM, Stringer SP, et al. Organ preservation with radiotherapy for T1-T2 carcinoma of the pyriform sinus. Head Neck. 2001;23:353-62.(レベルⅤ)

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5) 林 隆一,海老原 敏.【下咽頭癌の臨床】下咽頭癌に対する喉頭温存手術.JOHNS 19:1089-92.(レベルⅤ)

6) Steiner W, Ambrosch P, Hess CF, et al. Organ preservation by transoral laser microsurgery in piriform sinus carcinoma. Otolaryngol Head Neck Surg. 2001;124:58-67.(レベルⅤ)

7) Rudert HH, Höft S. Transoral carbon-dioxide laser resection of hypopharyngeal carcinoma. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2003;260:198-206.(レベルⅤ)

8) Shiotani A, Tomifuji M, Araki K, et al. Videolaryngoscopic transoral en bloc resection of supraglottic and hypopharyngeal cancers using laparoscopic surgical instruments. Ann Otol Rhinol Laryngol. 2010;119:225-32.(レベルⅤ)

9) 佐藤靖夫,大森 泰,田川崇正.下咽頭表在癌の手術治療―内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)の経験.日耳鼻 109:581-6,2006.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて「hypopharyngeal cancer」「early」として抽出した121 編と「hypopharyngeal cancer」「radiotherapy」「control or outcome」として抽出した255 編,および医中誌にて「下咽頭癌」「温存手術」として抽出した21 編と「下咽頭癌」「表在癌」として抽出した31 編のなかから選択した。


CQ6-2 下咽頭喉頭全摘出術後の再建方法として遊離空腸移植は有用か?

推奨
グレード
B 実臨床において,術後機能や術後合併症などの観点から安全で確立された方法であり,有用である。
解 説

有用性を示すためには,後ろ向きに①遊離空腸の成功率(生着率)が高く,合併症が少ないこと,②他の再建法と比較しても優れていること,③他の方法にはない(または他より優れた)利点を有すること,④他より劣るところがあっても①〜③を考慮するとなお優れていること,などを示す必要がある。

①について,生着率,瘻孔形成,経口摂取までの期間,狭窄などにおいては空腸が再建材料としての十分な資質を持っていると考えられる 1)〜7)。②について,前腕皮弁との比較では狭窄が少なく 1),前外側大腿皮弁に比べ早期の瘻孔や後の狭窄が少ない 4)。胃管との比較では大差はない 6)8)9)。胃管は主に頸部食道癌での再建に使われ,合併症など差はないが出血などの侵襲は大きい。③について空腸は消化管粘膜を持つ管腔構造であるため,粘膜の癒合が早く消化液に強く吻合数も少ないため瘻孔や狭窄の点で皮弁より優位である。④開腹するため外科の協力が必要,(有茎皮弁に比べ)血管吻合手技が必要などは,チーム医療が浸透し,優れた医療保険制度のある本邦では問題とならない 10)。以上の理由から,シャントによる音声獲得についての指摘はあるが 4)10),遊離空腸は安全な再建法と考えられる。

外科の協力が得られ血管吻合の行える施設では,蠕動に配慮して吻合すれば遊離空腸移植は有用な方法と考えられる。

参考文献

1) 中塚貴志,波利井清紀,海老原 敏,他.下咽頭・頸部食道癌切除後の再建手術法の変遷と各術式の評価-国立がんセンターにおける過去30 年間の症例の検討.日癌治療会誌 32:10-9,1997.(レベルⅣ)

2) 中溝宗永,横島一彦,島田健一,他.下咽頭・頸部食道癌の切除範囲と遊離空腸による再建術式-嚥下機能からの検討.頭頸部外科 17:35-40,2007.(レベルⅣ)

3) Chan YW, Ng RW, Liu LH, et al. Reconstruction of circumferential pharyngeal defects after tumour resection:reference or preference. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011;64:1022-8.(レベルⅣ)

4) Sharp DA, Theile DR, Cook R, et al. Long-term functional speech and swallowing outcomes following pharyngolaryngectomy with free jejunal flap reconstruction. Ann Plast Surg. 2010;64:743-6.(レベルⅣ)

5) Ott K, Lordick F, Molls M, et al. Limited resection and free jejunal graft interposition for squamous cell carcinoma of the cervical oesophagus. Br J Surg. 2009;96:258-66.(レベルⅣ)

6) Ferahkose Z, Bedirli A, Kerem M, et al. Comparison of free jejunal graft with gastric pull-up reconstruction after resection of hypopharyngeal and cervical esophageal carcinoma. Dis Esophagus. 2008;21:340-5.(レベルⅣ)

7) Disa JJ, Pusic AL, Mehrara BJ. Reconstruction of the hypopharynx with the free jejunum transfer. J Surg Oncol. 2006;94:466-70.(レベルⅤ)

8) 安田卓司,今本治彦,塩崎 均.【消化管再建術の現状と将来-最良の再建術は何か】 頸部食道癌切除後再建術.日外会誌 109:249-55,2008.(レベルⅥ)

9) Triboulet JP, Mariette C, Chevalier D, et al. Surgical management of carcinoma of the hypopharynx and cervical esophagus:analysis of 209 cases. Arch Surg. 2001;136:1164-70.(レベルⅣ)

10) Yu P, Lewin JS, Reece GP, et al. Comparison of clinical and functional outcomes and hospital costs following pharyngoesophageal reconstruction with the anterolateral thigh free flap versus the jejunal flap. Plast Reconstr Surg. 2006;117:968-74.(レベルⅣ)

検索式

PubMed で「reconstruction」「hypopharynx」「jejunum」として抽出した120 編から53 編を使用。また, 医中誌で「遊離空腸」「下咽頭癌」として抽出した119 編のうちの81 編のなかから選択した。


7.喉頭癌

CQ7-1 早期喉頭癌に対し喉頭を温存する治療方針は推奨されるか?

推奨
グレード
A 喉頭温存を目指し,根治照射あるいは喉頭温存手術(経口的切除,外切開による切除)を症例に応じて選択することが推奨される。
解 説

早期喉頭癌に対しては,初回治療としては喉頭温存を目指した治療を考慮すべきである 1)。原発部位,T 分類や全身状態に応じて,放射線治療または喉頭温存手術を選択する。

早期声門癌では,放射線治療と喉頭温存手術の比較検討が多数報告されている。喉頭温存手術のほうが長期的には生存率が高いとする報告もあるが 2),局所制御率・喉頭温存率・生存率はいずれの治療法も良好で同等とする報告が多い 3)〜5)。特に,喉頭癌のなかで多数を占めるT1 声門癌では,いずれの治療法でも高い局所制御率・喉頭温存率・生存率が期待されるため,治療後の音声の質の点からも比較が行われている。表在性病変では経口的レーザー切除術のほうが音声学的に優れているとの報告もあるが 3),音声に関連したQOL の評価などでは経口的レーザー切除術と放射線治療のいずれも良好であり同等であるとする報告が多い 4)〜7)。外切開による喉頭温存手術はT2 声門癌に対する推奨治療のひとつであるが種々の術式がある。頻度の高い術式の比較では,輪状軟骨上喉頭摘出術は両側声帯や傍声帯間隙に進展する症例に対して多く用いられているにもかかわらず,一側声帯病変に対して行われた喉頭垂直部分切除術と同等の治療結果を示した報告 8)がある。T2 声門癌に対する放射線治療も良好な治療成績が報告されている 4)9)10)。深部浸潤を伴うT2 病変に対しては化学療法併用が推奨されているが 1),併用される化学療法のレジメンに関しての標準化が必要である。

早期声門上癌でも,放射線治療と外切開による喉頭部分切除術はいずれも良好な治療成績が報告され 11)12),局所制御率は同等と考えられている。

参考文献

1) American Society of Clinical Oncology, Pfister DG, Laurie SA, Weinstaein GS, et al. American Society of Clinical Oncology clinical practice guideline for the use of larynx-preservation strategies in the treatment of laryngeal cancer. J Clin Oncol. 2006;24:3693-704.(レベルⅠ)

2) Thurnher D, Erovic BM, Frommlet F, et al. Challenging a dogma - Surgery yields superior long-term results for T1a squamous cell carcinoma of the glottis larynx compared to radiotherapy. Eur J Surg Oncol. 2008;34:692-8.(レベルⅣ)

3) van Gogh CDL, Verdonck-de Leeuw IM, Wedler-Peeters J, et al. Prospective evaluation of voice outcome during the first two years in male patients treated by radiotherapy or laser surgery for T1a glottic carcinoma. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2012;269:1647-52.(レベルⅣ)

4) Mendenhall WM, Werning JW, Hinerman RW, et al. Management of T1-T2 glottic carcinomas. Cancer. 2004;100:1786-92.(レベルⅣ)

5) Dinapoli N, Parrilla C, Galli J, et al. Multidisciplinary approach in the treatment of T1 glottic cancer. Strahlenther Onkol. 2010;186:607-13.(レベルⅣ)

6) Cohen SM, Garrett CG, Dupont WD et al. Voice-related quality of life in T1 glottic cancer:irradiation versus endoscopic excision. Ann Otol Rhinol laryngol. 2006;115:581-6.(レベルⅤ)

7) Osborn HA , Hu A, Venkatesan V, et al. Comparison of endoscopic laser resection versus radiation therapy for the treatment of early glottic carcinoma. J Otolaryngol Head Neck Surg. 2011;40:200-4.(レベルⅣ)

8) Bakhos D, Lescanne E, Beutter P, et al. Indications of cricohyoidoepiglottopexy versus anterior frontal laryngectomy:the role of contralateral vocal fold spread. Head Neck. 2008;30:1408-14.(レベルⅤ)

9) Smee RI, Meagher NS, Williams JR, et al. Role of radiotherapy in early glottic carcinoma. Head Neck. 2010;32:850-9.(レベルⅤ)

10) Hirasawa N, Itoh Y, Ishihara S, et al. Radiotherapy with or without chemotherapy for patients with T1-T2 glottic carcinoma:retrospective analysis. Head Neck Oncol. 2010;20:20.(レベルⅤ)

11) Sessions DG, Lenox J, Spector GJ. Supraglottic laryngeal cancer:analysis of treatment results. Laryngoscope. 2005;115:1402-10.(レベルⅤ)

12) Rutkowski T, Wygoda A, Skladowski K, et al. Predictors of radiotherapy outcome in patients with T2 supraglottic carcinoma. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2012;269:923-9.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて「early glottic cancer」「radiotherapy」「surgery」として抽出した281 編と,「early supraglottic cancer」「radiotherapy」「surgery」として抽出した61 編のなかから選択した。


CQ7-2 早期喉頭癌の放射線治療後再発に対して喉頭温存手術は適応となるか?

推奨
グレード
B 腫瘍の進展範囲,全身状態などを十分考慮する必要はあるが,早期声門癌では喉頭温存手術(経口的切除,外切開による切除)の高い有効性・安全性から適応となる。
解 説

放射線治療は早期喉頭癌に対する標準治療のひとつの柱であるが,T1 の約10%,T2 の15 〜30%に局所再発が認められる 1)。放射線治療後の再発例では,浸潤範囲の境界が不明瞭となることや組織学的悪性度が高くなることを理由に,喉頭全摘出術が行われることもあるが,内視鏡や画像診断技術の進歩に伴い喉頭温存手術の安全性・有効性が明らかとなり,救済手術としての役割がほぼ確立している。

放射線治療前の時点で喉頭温存手術も可能な症例では,再発病変の早期発見のために定期的な経過観察が求められる。放射線治療後再発に対する喉頭温存手術は,腫瘍の進展範囲,全身状態を考慮し適応を検討する必要があるが,適応となる症例は少なくない。

声門癌に対する救済手術には,経口的レーザー手術と外切開による喉頭温存手術がある。声帯に限局するrT1 a においては,経口的レーザー手術の良好な腫瘍制御と喉頭機能が報告されている 2)〜4)。外切開による喉頭温存手術には喉頭垂直部分切除術と輪状軟骨上喉頭摘出術があるが,いずれもrT1・rT2 の幅広い症例に適応があり,良好な腫瘍制御と喉頭温存率が報告されている 5)〜8)。放射線治療後の創傷治癒不良による創部感染率が高い点に注意が必要であるが 6)7),喉頭垂直部分切除術では術式により創部感染の増加は有意ではないとの報告もある 5)。輪状軟骨上喉頭摘出術は,喉頭垂直部分切除術より切除範囲が大きいため,喉頭垂直部分切除術による制御が困難であることが予想される症例に対しても高い制御率が報告されている 7)8)。しかし,遅発性創部感染 7)や嚥下性肺炎 8)に注意が必要である。

声門上癌に対する救済手術としての喉頭温存手術については十分なコンセンサスは得られていない。

参考文献

1) 日本放射線腫瘍学会編.放射線治療計画ガイドライン2012 年版(第3 版).頭頸部 Ⅶ.喉頭癌,金原出版;2012;101-5.

2) Holsinger FC, Nussenbaum B, Nakayama M, et al. Current concepts and new horizons in conservation laryngeal surgery:an important part of multidisciplinary care. Head Neck. 2010;32:656-65.(レベルⅠ)

3) Steiner W, Vogt P, Ambrosch P, et al. Transoral carbon dioxide laser microsurgery for recurrent glottic carcinoma after radiotherapy. Head Neck. 2004;26:477-84.(レベルⅤ)

4) Anserin M, Planicka M, Rotundo S, et al. Endoscopic carbon dioxide laser surgery for glottic cancer recurrence after radiotherapy:oncological results. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;133:1193-7.(レベルⅤ)

5) 富所雄一,林 隆一,石井源一郎,他.喉頭垂直部分切除症例の検討.頭頸部癌 32:355-59,2006.(レベルⅤ)

6) 三浦弘規,鎌田信悦,川端一嘉,他.前側方喉頭垂直部分切除術を施行した喉頭癌74 例の臨床的検討-根治照射後救済手術としての有用性.日耳鼻 110:571-80,2007.(レベルⅤ)

7) Nakayama M, Okamoto M, Hayakawa K, et al. Clinical outcome of supracricoid laryngectomy with cricohyoidepiglottopexy:radiation failure versus previously untreated patients. Auris Nasus Larynx. 2013;40:207-10.(レベルⅣ)

8) Makeieff M, Venegoni D, Mercante G, et al. Supracricoid partial laryngectomies after failure of radiation therapy. Laryngoscope. 2005;115:353-7.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて「early glottic cancer」「radiotherapy」「surgery」として抽出した281 編と,「early supraglottic cancer」「radiotherapy」「surgery」として抽出した61 編,および医中誌にて「喉頭癌」「部分切除」「治療成績」として抽出した16 編のなかから選択した。


8.甲状腺癌

CQ8-1 甲状腺微小癌(1 cm 以下)に対する治療方針は?

推奨
グレード
C1 甲状腺微小癌でも高リスク因子を持つものは積極的治療が推奨される。無症候性の微小癌については十分な説明と定期的な超音波検査ができる体制のもとで経過観察が許容される。
解 説

甲状腺微小癌のなかには予後の非常によい無症候性の潜在微小癌と高リスク群がある 1)。リスクの低い微小癌に対する手術術式としては全摘群と葉切除群で再発率に差がないとの報告もなされており 1)2),侵襲的な治療をどこまで行うかについては多くの議論がある 3)。高リスク因子については年齢(45 歳以上)・男性・リンパ節転移,甲状腺外浸潤・遠隔転移などが挙げられている 4)。また,微小癌の腫瘍径(5 〜7 mm)を再発リスクとする報告もある 5)〜7)。その他Ito らは被膜外浸潤,2 cm をこえるリンパ節転移,低分化癌は甲状腺微小癌であっても積極的な治療を要するとしている 8)

一方でIto らは経過観察に関する前向きコホート試験を報告している。細胞診にて甲状腺微小癌と診断された1, 395 例のうち,すぐに手術を行った1, 055 例と診断確定後に18 ヵ月以上経過観察を行った340 例を比較した結果,直ちに手術した群の術後再発率と経過観察群のリンパ節転移率に差がなく,経過観察後に手術を行った群で再発症例がないことから,甲状腺微小癌に対して経過観察という選択肢を取り得るとしている 8)

Sugitani らもリンパ節転移や反回神経麻痺などのない無症候性の微小癌230 例に対し経過観察を行う前向きコホート試験を報告している 9)。その結果によると平均観察期間5 年で90%の症例で腫瘍サイズに変化を認めず,7%でのみ増大を認めた。US にて腫瘍内血流の多い症例で有意(p < 0.0005)に腫瘍の増大をきたしていた。3 例(1%)でリンパ節転移をきたした。経過観察中に14 例(6%)で手術を行い,術後再発例・遠隔転移例・死亡例はみられなかった。

以上より無症候性の甲状腺微小癌のうちで高リスク因子を持たない症例においては十分なIC のもと経過観察することは許容し得ると考えられる。

参考文献

1) Neuhold N, Schultheis A, Hermann M, et al. Incidental papillary microcarcinoma of the thyroid-further evidence of a very low malignant potential:a retrospective clinicopathological study with up to 30 years of follow-up. Ann Surg Oncol. 2011;18:3430-6.(レベルⅣ)

2) Buffet C, Golmard JL, Hoang C, et al. Scoring system for predicting recurrences in patients with papillary thyroid microcarcinoma. Eur J Endocrinol. 2012;167:267-75.(レベルⅣ)

3) Wartofsky L. Management of papillary microcarcinoma:primum non nocere? J Clin Endocrinol Metab. 2012;97:1169-72.(レベルⅠ)

4) Yu XM, Wan Y, Sippel RS, et al. Should all papillary thyroid microcarcinomas be aggressively treated? An analysis of 18, 445 cases. Ann Surg. 2011;254:653-60.(レベルⅣ)

5) Vasileiadis I, Karakostas E, Charitoudis G, et al. Papillary thyroid microcarcinoma:clinicopathological characteristics and implications for treatment in 276 patients. Eur J Clin Invest. 2012;42:657-64.(レベルⅣ)

6) Riss JC, Peyrottes I, Chamorey E, et al. Prognostic impact of tumour multifocality in thyroid papillary microcarcinoma based on a series of 160 cases. Eur Ann Otorhinolaryngol Head Neck Dis. 2012;129:175-8.(レベルⅣ)

7) Kuo SF, Chao TC, Chang HY, et al. Prognostic evaluation of patients with multicentric papillary thyroid microcarcinoma. J Formos Med Assoc. 2011;110:511-7.(レベルⅣ)

8) Ito Y, Miyauchi A, Inoue H, et al. An observational trial for papillary thyroid microcarcinoma in Japanese patients. World J Surg. 2010;34:28-35.(レベルⅢ)

9) Sugitani I, Toda K, Yamada K, et al. Three distinctly different kinds of papillary thyroid microcarcinoma should be recognized:our treatment strategies and outcomes. World J Surg. 2010;34:1222-31.(レベルⅢ)

検索式

PubMed にて「thyroid」「microcarcinoma」で抽出した261 編のなかから選択した。また二次資料として『American Thyroid Association ガイドライン』(Revised American Thyroid Association Management Guidelines for Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer, November 2009) および『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010 年版』(金原出版)を参考とした。


CQ8-2
甲状腺乳頭癌に対して甲状腺全摘術を行うことは甲状腺葉切除術に比べ生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
B 高リスク因子を持つ甲状腺乳頭癌に対しては全摘術が推奨されるが,低リスク群では葉切除の選択も許容される。
解 説

甲状腺乳頭癌に対する切除範囲に関する報告の多くは後ろ向き研究であり,症例の背景因子やRI 治療追加の有無,治療を行った年代に偏りのあるものが多く,全摘術と葉切術の優劣のみをRCT にて対比した報告はない。Hay らはMACIS スコアにて分類を行い,低リスク群の20 年疾患特異的生存率(cause-specific survival;CSS)に関しては両術式間で有意差がなかったが,高リスク群の25 年再発率や25 年CSS および低リスク群の20 年再発率については全摘術の優位性を報告している 1)

欧米では1 cm 以上の甲状腺癌に対しては全摘術を支持する報告は依然として多く 2),American Thyroid Association(ATA)のガイドラインでも同様に1 cm 以上の甲状腺癌に対しては甲状腺全摘術が推奨されている 3)。一方,最近ではT1,T2 の分化癌に関しては全摘術ではなく,葉切除術でよいとする報告がいくつかなされている 4)〜6)

全摘術では残葉再発のリスクを軽減し,術後RI 治療が可能であるという利点がある反面,反回神経麻痺,甲状腺機能および副甲状腺機能低下症などの可能性から同術式を一律に適用することについては議論のあるところである 7)。本邦においてはリスク分類に応じて甲状腺葉峡部切除術を適応することが多く 7)8),欧米からの報告でも完全切除が可能なら両術式群間の生存率に有意差はないとする報告もみられる 9)。Shaha らは45 歳以上で遠隔転移や4 cm 以上の腫瘍径,組織学的高悪性などの因子をもつ高リスク群は全摘術を推奨するが,それ以外の症例では葉切除も選択肢となり得ると報告している 10)

参考文献

1) Hay ID, McConahey WM, Goellner JR. Managing patients with papillary thyroid carcinoma:insights gained from the Mayo Clinic’s experience of treating 2,512 consecutive patients during 1940 through 2000. Trans Am Clin Climatol Assoc. 2002;113:241-60.(レベルⅣ)

2) Bilimoria KY, Bentrem DJ, Ko CY, et al. Extent of surgery affects survival for papillary thyroid cancer. Ann Surg. 2007;246:375-81;discussion 381-4.(レベルⅣ)

3) American Thyroid Association(ATA)Guidelines Taskforce on Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer, Cooper DS, Doherty GM, Haugen BR, et al. Revised American Thyroid Association management guidelines for patients with thyroid nodules and differentiated thyroid cancer. Thyroid. 2009;19:1167-214.(レベルⅠ)

4) Miccoli P, Minuto MN, Ugolini C, et al. Intrathyroidal differentiated thyroid carcinoma:tumor size-based surgical concepts. World J Surg. 2007;31:888-94.(レベルⅣ)

5) Buffet C, Golmard JL, Hoang C, et al. Scoring system for predicting recurrences in patients with papillary thyroid microcarcinoma. Eur J Endocrinol. 2012;167:267-75.(レベルⅣ)

6) Nixon IJ, Ganly I, Patel SG, et al. Thyroid lobectomy for treatment of well differentiated intrathyroid malignancy. Surgery. 2012;151:571-9.(レベルⅣ)

7) Shigematsu N, Takami H, Ito N, et al. Nationwide survey on the treatment policy for well-differentiated thyroid cancer-results of a questionnaire distributed at the 37th meeting of the Japanese Society of Thyroid Surgery. Endocr J. 2005;52:479-91.(レベルⅣ)

8) 吉田 明,深堀道子,稲荷 均,他.【甲状腺乳頭癌に対する治療ガイドラインをどう考えるか】 リスク分類よりみた乳頭癌手術例の治療成績- AMES 分類を使用した検討.内分泌外科 23:231-35,2006.(レベルⅣ)

9) Haigh PI, Urbach DR, Rotstein LE. Extent of thyroidectomy is not a major determinant of survival in low- or high-risk papillary thyroid cancer. Ann Surg Oncol. 2005;12:81-9.(レベルⅣ)

10) Shaha AR. Implications of prognostic factors and risk groups in the management of differentiated thyroid cancer. Laryngoscope. 2004;114:393-402.(レベルⅣ)

検索式

医中誌にて「甲状腺腫瘍」「葉切除」で抽出した299 編,およびPubMed にて「well-differentiated thyroid cancer」「lobectomy」で抽出した61 編,「surgery」「papillary」「thyroid lobectomy」で抽出した336 編のなかから選択した。また二次資料として『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010 年版』(金原出版)を参考とした。


CQ8-3 甲状腺乳頭癌における気管周囲郭清術の適応は?

推奨
グレード
A 気管傍リンパ節転移が疑われる症例ではcentral neck dissection(CND)が推奨される。
解 説

甲状腺乳頭癌において術前の画像検査もしくは細胞診にて気管傍リンパ節転移が疑われている場合のcentral neck dissection(CND)は必須である 1)。しかしN0 症例に対する予防的CND については意見が分かれている。この問題に関する1,264 例の大規模なメタアナリシスでは,central compartment の再発は予防的CND 施行群では1.86%,非施行群では1.68%で差を認めなかった 2)。342 例の甲状腺全摘例の後ろ向き研究ではcentral compartment の20 年制御率は92%であった 3)。また,予防的CND 非施行群276 例中,central compartment への再発は6 例(2.2%)に過ぎず,この6 例中5 例はもともと深頸部領域への転移を認めた症例であり,予防的CND で再発を回避できた症例は1 例(0.4%)であった。多変量解析では頸部再発の危険因子は腺外浸潤と脈管浸潤であり,予防的CND の有無は無関係であった。よって現時点で予防的CND の意義は病期の確認とヨード治療の適応の判断材料となるという点である 4)。逆にCND を施行した場合は一過性の低カルシウム血症が増加するが,反回神経麻痺については差を認めなかった 5)6)。また,CND 施行群ではサイログロブリンレベルが有意に低値であった 7)8)。いまだCND の役割については意見が分かれ,大規模な前向き試験が必要である 9)

参考文献

1) Byrd JK, Yawn RJ, Wilhoit CS, et al. Well differentiated thyroid carcinoma:current treatment. Curre Trea Options Oncol. 2012;13:47-57.(レベルⅠ)

2) Zetoune T, Keutgen X, Buitrago D, et al. Prophylactic central neck dissection and local recurrence in papillary thyroid cancer:a meta-analysis. Ann Surg Oncol. 2010;17:3287-93.(レベルⅠ)

3) Forest Ⅵ, Clark JR, Ebrahimi A, et al. Central compartment dissection in thyroid papillary carcinoma. Ann Surg. 2011;253:123-30.(レベルⅤ)

4) Hughes DT, Doherty GM. Central neck dissection for papillary thyroid cancer. Cancer Control. 2011;18:83-8.(レベルⅤ)

5) Rosenbaum MA, McHenry CR. Central neck dissection for papillary thyroid cancer. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2009;135:1092-7.(レベルⅤ)

6) Chisholm EJ, Kulinskaya E, Tolley NS. Systematic review and meta-analysis of the adverse effects of thyroidectomy combined with central neck dissection as compared with thyroidectomy alone. Laryngoscope. 2009;119:1135-9.(レベルⅠ)

7) Cisco RM, Shen WT, Gosnell JE. Extent of surgery for papillary thyroid cancer:preoperative imaging and role of prophyractic and therapeutic neck dissection. Current Treat Options Oncol. 2012;13:1-10.(レベルⅠ)

8) White ML, Gauger PG, Doherty GM. Central lymph node dissection in differentiated thyroid cancer. World J Surg. 2007;31:895-904.(レベルⅠ)

9) Mulla M, Schulte KM. Central cervical lymph node metastases in papillary thyroid cancer:a systematic review of imaging-guided and pprophylactic removal of the central compartment. Clin Endocrinol(oxf). 2012;76:131-6.(レベルⅠ)

検索式

PubMed にて「papillary」「central neck dissection」として抽出した59 編のなかで,本CQ にマッチした9 編を選択した。


9.唾液腺癌(耳下腺癌)

CQ9-1 耳下腺癌手術症例における推奨される顔面神経再建の方法は?

推奨
グレード
B 自家遊離神経移植により顔面神経断端同士を吻合する再建方法は顔面神経の再建に有用である。
B 舌下神経や副神経に力源を求め神経移植により顔面神経断端と吻合する再建方法(神経移行術)は顔面神経の再建に有用である。
C1 血管柄付自家神経移植により顔面神経断端同士を吻合する再建方法は顔面神経の再建に有用である。
解 説

顔面神経の欠損に対しては,約半数の施設で一期的に再建がなされており,種々の方法が考案され実施されているが,症例数が少ないため,各再建方法を体系的に比較・検討した論文はみられない。

顔面神経の再建方法として古くより用いられている方法は,自家神経を採取し欠損部の間に間置する神経移植術である。採取神経としては,腓腹神経,大耳介神経,頸神経,大腿皮神経,大腿神経外側広筋枝,橈骨神経皮枝などが報告されている。顔面神経の枝を複数再建するには,複数の移植神経が必要となる 1)〜6)。なお,術後放射線治療を施行しても神経の回復が阻害されることはないと報告されている 3)4)

また,顔面神経の中枢断端が高位切除などの理由で吻合できないときには,神経の供給源を舌下神経,副神経,三叉神経咬筋枝もしくは健側の顔面神経に求め,これらの神経と顔面神経末梢端を直接吻合するかあるいは断端間に神経移植を行うことがある 7)

なお,近年,神経の端側吻合においても軸索の再生が起こることが証明されており,これを利用して従来の神経断端同士を複数の移植神経で単純に端々吻合する方法に代わり,1 本の移植神経の片端を顔面神経本幹に端々吻合した後,ループ状に置いて顔面神経末梢端をその移植神経に端側吻合する方法 8)や,舌下神経に端側吻合した移植神経を用いて顔面神経末梢端と吻合する方法,さらにこれらを組み合わせた方法 9)などが報告されている。

また,神経の良好な再生を得るために,血管柄付神経移植を行ったとの報告もあり 10),移植床の瘢痕形成が著明な場合や放射線照射の既往がある場合などがその適応として考えられる。血管柄付移植神経としては,外側大腿皮神経,内・外側腓腹皮神経,腓腹神経などが報告されている。

参考文献

1) McGuirt WF, Welling DB, McCabe BF. Facial nerve function following irradiated cable grafts. Laryngoscope. 1989;99:27-34.(レベルⅤ)

2) Malata CM, Camilleri IG, McLean NR, et al. Malignant tumors of the parotid gland:a 12-year review. Brit J Plast Surg. 1997;50:600-8.(レベルⅤ)

3) Kerrebijn JD, Freeman JL. Facial nerve reconstruction:outcome and failures. J Otolaryngol. 1998;27:183-6.(レベルⅤ)

4) Reddy PG, Arden RL, Mathog RH. Facial nerve rehabilitation after radical parotidectomy. Laryngoscope. 1999;109:894-9.(レベルⅤ)

5) Iseli TA, Harris G, Dean NR, et al. Outcomes of static and dynamic facial nerve repair in head and neck cancer. Laryngoscope. 2010;120:478-83.(レベルⅤ)

6) Revenaugh PC, Knott PD, Scharpf J, et al. Simultaneous anterolateral thigh flap and temporalis tendon transfer to optimize facial form and function after radical parotidectomy. Arch Facial Plast Surg. 2012;14:104-9.(レベルⅤ)

7) Malik TH, Kelly G, Ahmed A, et al. A comparison of surgical techniques used in dynamic reanimation of the paralyzed face. Otol Neurotol. 2005;26:284-91.(レベルⅤ)

8) 松田 健,垣淵正男.Bi-directional nerve graft を用いた一期的顔面神経再建について.Nerve Research 30:108-10,2010.(レベルⅤ)

9) 古田 康,大谷文雄,山本有平,他.舌下神経端側吻合を併用した顔面神経再建術における病的共同運動の評価.Nerve Research 29:90-2,2009.(レベルⅤ)

10) Kimata Y, Sakuraba M, Hishinuma S, et al. Free vascularized nerve grafting for immediate facial nerve reconstruction. Laryngoscope. 2005;115:331-6.(レベルⅤ)

検索式

PubMed にて「facial nerve reconstruction」「parotid tumor」で抽出された85 編のうち,報告1 例は除き,顔面神経の再建に直接言及し重要と思われる論文8 編を選択した。また,医中誌で「顔面神経再建」と「耳下腺悪性腫瘍」をキーワードとして検索したところ34 編の論文が抽出され,そのなかから本CQ にマッチすると思われる論文2 編を選択した。


CQ9-2 耳下腺癌で顔面神経麻痺がない場合,顔面神経の温存は推奨されるか?

推奨
グレード
B 術前に顔面神経麻痺が認められない場合で,腫瘍が顔面神経に直接浸潤しておらず,癒着が認められない場合には神経を温存できる。
解 説

顔面神経を合併切除しても生存率の改善に寄与しないとする後ろ向き研究の報告がある。高悪性度の耳下腺癌95 例を含むT1〜3 の耳下腺癌において,顔面神経を温存した群と切除した群での5 年生存率はそれぞれ52%,43%で有意差を認めなかった 1)。T1〜4 の耳下腺癌103 例(低悪性度41 例,中悪性度23 例,高悪性度39 例)において,顔面神経を温存した群と切除した群での10 年生存率はそれぞれ74%,45%であり,多変量解析による独立した予後不良因子は腫瘍径,臨床病期,神経周囲浸潤であった 2)。いずれも後ろ向きな検討であるものの,顔面神経を犠牲にしたより広範な切除を行っても治療成績向上にはつながらないことが示された 3)。以上の理由から,組織学的悪性度によらず顔面神経麻痺が認められない場合は,腫瘍が顔面神経に直接浸潤し癒着していない限り顔面神経を温存することが推奨される 4)

参考文献

1) Magnano M, Gervasio CF, Cravero L, et al. Treatment of malignant neoplasms of parotid gland. Otolaryngol Head Neck Surg. 1999;121:627-32.(レベルⅣ)

2) Renehan AG, Gleave EN, Slevin NJ, et al. Clinico-pathological and treatment-related factors influencing survival in parotid cancer. Br J Cancer. 1999;80:1296-300.(レベルⅣ)

3) Spiro JD, Spiro RH. Cancer of the parotid gland:role of 7th nerve preservation. World J Surg. 2003;27:863-7.(レベルⅣ)

4) National Comprehensive Cancer Network. NCCN Clinical Practice Guideline in Oncology-Head and Neck Cancer-V. 1. 2012. SURG-A. http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/f_guidelines.asp

検索式

PubMed で「parotid gland」「malignant neoplasm」「cancer」「follow-up studies」「surgery」 「survival rate」の組み合わせで抽出した125 編,「parotid gland」「malignant neoplasm」「cancer」「follow-up studies」「facial nerve preservation」「surgery」の組み合わせで抽出した176 編から選択した。


10.原発不明頸部転移癌

CQ10-1 原発不明頸部転移癌症例に対して頸部郭清術を行うことは推奨されるか?

推奨
グレード
B 頸部郭清術は原発不明頸部転移癌症例の治療として推奨される。
解 説

原発不明頸部転移癌の治療についての前向き比較試験はなく,ほぼすべてが後ろ向き研究である。病巣が頸部リンパ節のみで扁平上皮癌の転移であることが証明された症例の原発巣は頭頸部領域である可能性が高く,治療は頭頸部扁平上皮癌に準じて行われる。組織診断もかねて頸部郭清術を行い術後の病理結果に応じて(化学)放射線治療を行うことが推奨されており 1)2),頸部郭清も含めた集学的治療の有用性が報告されている 1)〜6)。その理由として頸部リンパ節病変の制御の重要性,術後病理組織学的所見(N1 かN2 以上か,被膜外浸潤の有無)の確定による補助療法の選択の重要性などが挙げられている。頸部転移巣が被膜外浸潤のないN1 病変であれば頸部郭清術単独,あるいは放射線治療のみでよいとの報告も多い 7)8)

しかしながら,近年,頸部郭清術は頸部制御率や生存率の向上には寄与しないとの報告も散見される。Balaker ら 9)は原発不明頸部転移癌に関する18 の臨床研究の解析に基づいたメタアナリシスを行い,(化学)放射線療法+手術群と(化学)放射線療法群の間に予後の差はなかったと結論づけている。Aslani ら 10)は(特にN1 症例においては)頸部郭清術の有無にかかわらず,頭頸部領域への放射線治療が原発不明頸部転移癌の治療として有用であると報告している。

原発不明頸部転移癌の予後因子としてリンパ節の被膜外浸潤が挙げられているが,その確定は開放生検か頸部郭清術によるものである。N2 以上,または被膜外浸潤が認められた症例に対しては頸部郭清+広範囲照射によって比較的よい治療結果が得られており,頸部郭清術は治療として重要である。原発不明頸部転移癌に対する頸部郭清範囲は選択的でよいとする意見 8)と全頸部(レベルⅠ〜Ⅴ)がよいとする意見 1)2)があり結論は出ていない。

参考文献

1) Werner JA, Dünne AA. Value of neck dissection in patients with squamous cell carcinoma of unknown primary. Onkologie. 2001;24:16-20.(レベルⅤ)

2) Boscolo-Rizzo P, Gava A, Da Mosto MC. Carcinoma metastatic to cervical lymph nodes from an occult primary tumor:the outcome after combined-modality therapy. Ann Surg Oncol. 2007;14:1575-82.(レベルⅣ)

3) Wallace A, Richards GM, Harari PM, et al. Head and neck squamous cell carcinoma from an unknown primary site. Am J Otolaryngol. 2011;32:286-90.(レベルⅣ)

4) Erkal HS, Mendenhall WM, Amdur RJ, et al. Squamous cell carcinomas metastatic to cervical lymph nodes from an unknown head-and-neck mucosal site treated with radiation therapy alone or in combination with neck dissection. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2001;50:55-63.(レベルⅣ)

5) Beldí D, Jereczek-Fossa BA, D’Onofrio A, et al. Role of radiotherapy in the treatment of cervical lymph node metastases from an unknown primary site:retrospective analysis of 113 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2007;69:1051-8.(レベルⅣ)

6) Nieder C, Gregoire V, Ang KK. Cervical lymph node metastases from occult squamous cell carcinoma:cut down a tree to get an apple? Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2001;50:727-33.(レベルⅠ)

7) Patel RS, Clark J, Wyten R, et al. Squamous cell carcinoma from an unknown head and neck primary site:a “selective treatment” approach. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;133:1282-7.(レベルⅣ)

8) Strojan P, Ferlito A, Langendijk JA, et al. Contemporary management of lymph node metastases from an unknown primary to the neck:U. a review of therapeutic options. Head Neck. 2013;35:286-93.(レベルⅤ)

9) Balaker AE, Abemayor E, Elashoff D, et al. Cancer of unknown primary:does treatment modality make a difference? Laryngoscope. 2012;122:1279-82.(レベルⅡ)

10) Aslani M, Sultanem K, Voung T, et al. Metastatic carcinoma to the cervical nodes from an unknown head and neck primary site:Is there a need for neck dissection? Head Neck. 2007;29:585-90.(レベルⅣ)

検索式

PubMed にて「primary unknown」「neck dissection」で抽出した204 編,および「radiation」「primary unknown」「neck」で抽出した228 編から選択した。


CQ10-2
原発不明頸部転移癌症例に対して頸部郭清術後に放射線治療を行うことは生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
B N2・N3 症例や被膜外浸潤を認める例では生存率の向上に寄与する。
解 説

原発不明頸部転移癌の予後因子として最も重要であるのはN 因子と被膜外浸潤の有無である 1)〜5)。頸部リンパ節がN1 であれば頸部郭清術単独と放射線治療単独の間に治療成績の差はなく,N2 以上であれば頸部郭清術と放射線治療を含めた集学的治療が生存率の向上に寄与するため推奨される 1)3)〜8)

化学療法の併用については十分な解析がないが,特にN2 以上の症例に対しては白金製剤を用いた化学放射線療法が有用であるとの報告がある 9)

参考文献

1) Patel RS, Clark J, Wyten R, et al. Squamous cell carcinoma from an unknown head and neck primary site:a “selective treatment” approach. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007;133:1282-7.(レベルⅣ)

2) Strojan P, Ferlito A, Langendijk JA, et al. Contemporary management of lymph node metastases from an unknown primary to the neck:Ⅱ. A review of therapeutic options. Head Neck. 2013;35:286-93.(レベルⅤ)

3) Balaker AE, Abemayor E, Elashoff D, et al. Cancer of unknown primary:does treatment modality make a difference? Laryngoscope. 2012;122:1279-82.(レベルⅡ)

4) Aslani M, Sultanem K, Voung T, et al. Metastatic carcinoma to the cervical nodes from an unknown head and neck primary site:Is there a need for neck dissection? Head Neck. 2007;29:585-90.(レベルⅣ)

5) Grau C, Johansen LV, Jakobsen J, et al. Cervical lymph node metastases from unknown primary tumours. Results from a national survey by the Danish Society for Head and Neck Oncology. Radiother Oncol. 2000;55:121-9.(レベルⅣ)

6) Beldí D, Jereczek-Fossa BA, D’Onofrio A, et al. Role of radiotherapy in the treatment of cervical lymph node metastases from an unknown primary site:retrospective analysis of 113 patients. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2007;69:1051-8.(レベルⅣ)

7) Nieder C, Gregoire V, Ang KK. Cervical lymph node metastases from occult squamous cell carcinoma:cut down a tree to get an apple? Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2001;50:727-33.(レベルⅠ)

8) Frank SJ, Rosenthal DI, Petsuksiri J, et al. Intensity-modulated radiotherapy for cervical node squamous cell carcinoma metastases from unknown head-and-neck primary site:M. D. Anderson Cancer Center outcomes and patterns of failure. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2010;78:1005-10.(レベルⅣ)

9) Shehadeh NJ, Ensley JF, Kucuk O, et al. Benefit of postoperative chemoradiotherapy for patients with unknown primary squamous cell carcinoma of the head and neck. Head Neck. 2006;28:1090-8.(レベルⅣ)

検索式

PubMedにて「primary unknown」「neck dissection」で抽出した204編,および「radiation」「 primary unknown」「neck」で抽出した228 編から選択した。


11.化学療法 / 放射線治療

CQ11-1
根治切除不能な局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に,化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
A 根治切除不能な局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に,化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与する。
解 説

局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する放射線治療において,照射単独(RT)を対照群として化学療法同時併用放射線治療(concurrent chemoradiotherapy;CRT)を試験群とする第Ⅲ相ランダム化試験は数多くなされてきた。MACH 化学療法併用に関するメタアナリシス 1)では,adjuvant,neoadjuvant 試験では死亡リスクの低減は認められなかったが,CRT 試験群では粗生存率(overall survival;OS)は5 年で8%向上した。しかし試験の治療方法は均一でなく,対象に切除可能症例も含んでいる。対象を根治切除不能頭頸部扁平上皮癌に限定した試験は限られ,このなかにはCDDP + 5-FU の交替療法の報告もみられる。これらすべての試験で有意なOS の改善がみられた 2)〜6)。標準的な化学療法はCDDP + / − 5-FU であるが 3)4)7),投与量はCDDP 20 〜100 mg / m2,5-FU 200 〜1, 000 mg / m2 とばらつきがある。CRT でのOS の向上の理由としては,完全寛解率の増加 2)〜4)6)や局所制御率の改善 4)7)とするものが多く,遠隔転移の頻度はRT とCRT で差がみられていない 3)7)。切除可能,不能症例を含む対象について照射の分割法,対照群と試験群の照射法の相違の有無,単剤 / 多剤併用のサブグループに分類しRT とCRT を比較したシステマティック・レビュー 5)では,すべてのサブグループでCRT の死亡リスクが低減した。またCDDP 併用試験では低いオッズ比が得られたが,ブレオマイシン併用では死亡率の改善は確認できず,MMC,5-FU のデータは十分でなかった。粘膜炎を代表とする急性期有害事象はCRT で高度とする報告が多い 2)3)7)が晩期有害事象には差はみられていない 2)7)

参考文献

1) Pignon JP, Bourhis J, Domenge C, et al. Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous-cell carcinoma:three meta-analyses of updated individual data. Lancet. 2000;355:949-55.(レベルⅠ)

2) Zakotnik B, Smid L, Budihna M, et al. Concomitant radiotherapy with mitomycin C and bleomycin compared with radiotherapy alone in inoperable head and neck cancer:final report. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1998;41:1121-7.(レベルⅡ)

3) Adelstein DJ, Li Y, Adams GL, et al. An intergroup phase Ⅲcomparison of standard radiation therapy and two schedules of concurrent chemoradiotherapy in patients with unresectable squamous cell head and neck cancer. J Clin Oncol. 2003;21:92-8.(レベルⅡ)

4) Merlano M, Benasso M, Corvò R, et al. Five-year update of a randomized trial of alternating radiotherapy and chemotherapy compared with radiotherapy alone in treatment of unresectable squamous cell carcinoma of the head and neck. J Natl Cancer Inst. 1996;88:583-9.(レベルⅡ)

5) Browman GP, Hodson DI, Mackenzie RJ, et al;Cancer Care Ontario Practice Guideline Initiative Head and Neck Cancer Disease Site Group. Choosing a concomitant chemotherapy and radiotherapy regimen for squamous cell head and neck cancer:A systematic review of the published literature with subgroup analysis. Head Neck. 2001;23:579-89.(レベルⅠ)

6) Benasso M, Bonelli L, Numico G, et al. Treatment with cisplatin and fluorouracil alternating with radiation favorably affects prognosis of inoperable squamous cell carcinoma of the head and neck:results of a multivariate analysis on 273 patients. Ann Oncol. 1997;8:773-9.(レベルⅡ)

7) Wendt TG, Grabenbauer GG, Rödel CM, et al. Simultaneous radiochemotherapy versus radiotherapy alone in advanced head and neck cancer:a randomized multicenter study. J Clin Oncol. 1998;16:1318-24.(レベルⅡ)

検索式

PubMed にて「inoperable」「unresectable」「head and neck cancer」「radiotherapy」 「chemotherapy」「clinical trials」「survival」で抽出した271 編,および「radiotherapy」「chemotherapy」「head and neck cancer」「meta-analysis」で抽出した32 編のなかから選択した。


CQ11-2
切除可能局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に,化学療法を併用することは喉頭温存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
B 切除可能局所進行頭頸部扁平上皮癌に対して放射線治療を行う場合に,化学療法を併用することは喉頭温存率の向上に寄与する。
解 説

切除可能局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する放射線治療(RT)の喉頭温存に果たす役割は喉頭癌,下咽頭癌で検討された。喉頭全摘+術後放射線治療を対照として,導入化学療法(induction chemotherapy;ICT)後の根治照射のOS を指標とする非劣性試験が米国 1),欧州(EORTC 24891) 2)で行われ,両試験ともICT + RT は喉頭全摘+術後放射線治療と同様のOS を達成した。この2 つにGETTEC の比較試験も加えたMACH-HN のメタアナリシス 3)でもICT + RT 群は手術+術後照射と比較して5 年生存で6%下回ったが,HR1.19,0.97-1.46,p = 0.1 で有意差を認めず,ICT + RT でのOS は喉頭全摘と同等であった。RTOG91-11 では進行喉頭癌における照射単独(RT),ICT + RT,抗がん薬同時併用放射線治療(CRT)で喉頭温存率が比較された 4)。併用された抗がん薬はICT + RT ではCDDP + 5-FU,CRT ではCDDP 単剤であった。喉頭温存率はCRT の高い局所制御率を反映してICT + RT(p = 0.004),RT(p < 0.001)より良好であったが,OS は3 群に差がなかった。RTOG91-11 と同様の抗がん薬を併用してICT + RT とCRT を比較した無作為比較試験(RCT) 5)でも,CRT は喉頭温存率が有意に(p = 0.03)高かった。しかしこのRCT でもOS には差を認めていない。ICT + RT と化学・放射線交替療法を比較したEORTC 24954 6)では喉頭温存率,OS とも差を認めなかった。ICT + RT での標準化学療法はCDDP + 5-FU(PF)であるが,これにドセタキセル(docetaxel;TXT)を加えた3 剤(TPF)とPF の比較研究 7)では,TPF で有意に喉頭温存率が向上した(p = 0.03)。

参考文献

1) The Department of Veterans Affairs Laryngeal Cancer Study Group. Induction chemotherapy plus radiation compared with surgery plus radiation in patients with advanced laryngeal cancer. N Engl J Med. 1991;324:1685-90.(レベルⅡ)

2) Lefebvre JL, Chevalier D, Luboinski B, et al. Larynx preservation in pyriform sinus cancer:preliminary results of a European Organization for Research and Treatment of Cancer phase Ⅲ trial. EORTC Head and Neck Cancer Cooperative Group. J Natl Cancer Inst. 1996;88:890-8.(レベルⅡ)

3) Pignon JP, Bourhis J, Domenge C, et al. Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous-cell carcinoma:three meta-analyses of updated individual data. MACH-NC Collaborative Group. Meta-Analysis of Chemotherapy on Head and Neck Cancer. Lancet. 2000;355:949-55.(レベルⅠ)

4) Forastiere AA, Goepfert H, Maor M, et al. Concurrent chemotherapy and radiotherapy for organ preservation in advanced laryngeal cancer. N Engl J Med. 2003;349:2091-8.(レベルⅡ)

5) Prades JM, Lallemant B, Garrel R, et al. Randomized phase Ⅲ trial comparing induction chemotherapy followed by radiotherapy to concomitant chemoradiotherapy for laryngeal preservation in T3M0 pyriform sinus carcinoma. Acta Otolaryngol. 2010;130:150-5.(レベルⅡ)

6) Lefebvre JL, Rolland F, Tesselaar M, et al;EORTC Head and Neck Cancer Cooperative Group;EORTC Radiation Oncology Group. Phase 3 Randomized trial on larynx preservation comparing sequential vs alternating chemotherapy and radiotherapy. J Natl Cancer Inst. 2009;101:142-52.(レベルⅡ)

7) Pointreau Y, Garaud P, Chapet S, et al. Randomized trial of induction chemotherapy with cisplatin and 5-fluorouracil with or without docetaxel for larynx preservation. J Natl Cancer Inst. 2009;101:498-506.(レベルⅡ)

検索式

PubMed にて「head and neck」「larynx」「hypopharynx」「cancer」「radiotherapy」「induction chemotherapy」「concurrent chemotherapy」「chemotherapy」「randomized controlled trial」「meta-analysis」「survival」「larynx preservation」で抽出した392 編のなかから選択した。


CQ11-3
頭頸部扁平上皮癌に対する導入化学療法においてPF 療法にドセタキセル(TXT)を併用することは生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
C1 局所進行頭頸部癌で導入化学療法を行う場合,ドセタキセルをPF 療法に追加併用するTPF 療法はPF 療法よりも生存率の向上が認められているが,導入化学療法自体の意義について十分説明したうえで実施すべきである。
解 説

導入化学療法は局所進行頭頸部癌における集学的治療で,根治治療である手術,放射線療法(RT),化学放射線療法(CRT)に先んじて行われるものである。初回治療でのメタアナリシスでは化学放射線療法を上回るものではなく,比較試験においても生存に関する有意な報告は乏しいが,化学放射線療法の機能障害や進行例の遠隔転移再発防止などを目的に選択されている。CDDP + 5-FU(PF)は古くから多くの臨床試験で用いられた標準レジメンである。その後タキサン系抗がん薬が登場し,ドセタキセル(TXT)をPF と併用するTPF が転移・再発例で良好な奏効率・病理学的効果,延命効果が報告され,導入化学療法におけるPF とTPF を導入化学療法の場面で比較する2 つの試験が行われた。

TAX323 1)は,導入PF → RT と,導入TPF → RT の比較である。PF 群:TPF 群で,無増悪生存期間は8.2 ヵ月:11 ヵ月(HR 0.72:p = 0.007),全生存期間は 14.5 ヵ月:18.8 ヵ月(リスク低減 27%:p = 0.02)と有意にTPF 群が優れていた。TPF 群では高度な血液毒性が多かったが,治療関連死は5.5 %:2.3%であった。

TAX324 2)3)は,導入PF → CRT と,導入TPF → CRT の比較で,CRT ではCBDCA が用いられている。PF 群:TPF 群で,全生存期間で30 ヵ月:71 ヵ月(HR 0.70:p = 0.006),無増悪生存期間は13 ヵ月:36 ヵ月(HR 0.71:p = 0.004)と有意にTPF 群が優れていた。TPF 群では高度な好中球・血小板減少が有意に多いも,治療遅延は65%:29%と有意にPF 群に多かった。CRT においては両者に有意差のある毒性項目はなかった。

導入化学療法のレジメンを比較した2 つの試験のいずれも,生存率においてTPF が従来のPF に有意に勝っている。どちらの試験も局所進行頭頸部癌で行われたが,現在この対象における標準治療はCRT であり,導入化学療法での治療を選択する場合初めてTPF が推奨される。有効な方法ではあるも実施に関しては十分な配慮が必要である。

参考文献

1) Vermorken JB, Remenar E, van Herpen C, et al;EORTC 24971 / TAX 323 Study Group. Cisplatin, fluorouracil, and docetaxel in unresectable head and neck cancer. N Engl J Med. 2007;357:1695-704.(レベルⅡ)

2) Posner MR, Hershock DM, Blajman CR, et al;TAX 324 Study Group. Cisplatin and fluorouracil alone or with docetaxel in head and neck cancer. N Engl J Med. 2007;357:1705-15.(レベルⅡ)

3) Lorch JH:Induction chemotherapy with cisplatin and fluorouracil alone or in combination with docetaxel in locally advanced squamous-cell cancer of the head and neck:long-term results of the TAX 324 randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2011;12:153-9.(レベルⅡ)

検索式

PubMedにて「head and neck squamous cell carcinoma」「induction chemotherapy」「 docetaxel」「cisplatin」「5-fluorouracil」で抽出した39 編のなかから選択した。また二次資料として『NCCN clinical Practice Guidelines in Oncology:Head Neck Cancers Version T. 2012』,『Squamous cell carcinoma of the head and neck:EHNS-ESMO-ESTRO Clinical Practice Guidelines for diagnosis,treatment and follow-up:Ann Oncol 21,2010』を参考とした。


CQ11-4
進行頭頸部扁平上皮癌の術後放射線治療において化学療法を同時併用することは生存率の向上に寄与するか?

推奨
グレード
B 進行頭頸部扁平上皮癌の再発高リスク群に対する術後補助療法として,CDDP を放射線療法と同時併用することは生存率の向上に寄与する。
解 説

頭頸部扁平上皮癌では手術が標準治療のひとつであるが,進行例では局所制御に限界があり,術後放射線療法の追加効果も十分なものではなかった。予後因子として切除断端陽性,リンパ節転移の個数・大きさ・節外浸潤・転移レベルなどがあり,これらの予後因子を有する再発高リスク群での治療成績の向上が目指された。そこで,切除不能進行例で有用性が示された化学放射線療法を術後に応用し 1),口腔,中咽頭,下咽頭,喉頭原発症例に対して放射線治療単独群と化学放射線療法群を比較する2 つの試験が欧米から報告された。

RTOG95-01 試験 2)は,リンパ節転移2 個以上,節外浸潤陽性,顕微鏡的断端陽性をリスク因子として対象とした。2 年局所制御率は放射線治療単独群:化学放射線療法群で72%:82%(p = 0.003),無病生存のHR 0.78(0.65-0.99:p = 0.04)と有意であるも,全生存はHR 0.84(0.65-1.09:p = 0.19)と有意差は認めなかった。EORTC22931 試験 3)は,病期Ⅲ・Ⅳ,節外浸潤陽性,顕微鏡的断端陽性,傍神経浸潤,血管内腫瘍栓,口腔・中咽頭癌で転移リンパ節レベルⅣ・Ⅴをリスク因子とした。無増悪生存のHR は0.75(0.56-0.99:p = 0.04),5 年無増悪生存率は放射線治療単独群:化学放射線療法群で36%:47%,5 年全生存率は40%:53%と化学放射線療法の有用性が示された。これらを含めた術後化学放射線療法のメタアナリシス 4)においても生存率相対危険度の有意な低下が報告されている。両試験の統合解析では共通の節外浸潤陽性,顕微鏡的断端陽性に化学放射線療法の利点が示されている 5)。CDDP は100 mg / m2 を3 週毎投与で本邦でも安全性が確認されているが,施行にあたっては十分な注意が必要である 6)

参考文献

1) Al-Sarraf M, Pajak TF, Byhardt RW, et al. Postoperative radiotherapy with concurrent cisplatin appears to improve locoregional control of advanced, resectable head and neck cancers:RTOG 88-24. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1997;37:777-82.(レベルⅡ)

2) Cooper JS, Pajak TF, Forastiere AA, et al;Radiation Therapy Oncology Group 9501 / Intergroup. Postoperative concurrent radiotherapy and chemotherapy for high-risk squamous- cell carcinoma of the head and neck. N Engl J Med. 2004;350:1937-44.(レベルⅡ)

3) Bernier J, Domenge C, Ozsahin M, et al;European Organization for Research and Treatment of Cancer Trial 22931. Postoperative irradiation with or without concomitant chemotherapy for locally advanced head and neck cancer. N Engl J Med. 2004;350:1945-52.(レベルⅡ)

4) Winquist E, Oliver T, Gilbert R. Postoperative chemoradiotherapy for advanced squamous cell carcinoma of the head and neck:a systematic review with meta-analysis. Head Neck. 2007;29:38-46.(レベルⅠ)

5) Bernier J, Cooper JS, Pajak TF, et al. Defining risk levels in locally advanced head and neck cancers:a comparative analysis of concurrent postoperative radiation plus chemotherapy trials of the EORTC(#22931)and RTOG(#9501). Head Neck. 2005;27:843-50.(レベルⅠ)

6) Kiyota N, Tahara M, Okano S, et al. Phase Ⅱ feasibility trial of adjuvant chemoradiotherapy with 3-weekly cisplatin for Japanese patients with post-operative high-risk squamous cell carcinoma of the head and neck. Jpn J Clin Oncol. 2012;42:927-33.(レベルⅢ)

検索式

PubMed において「head and neck squamous cell carcinoma」「postoperative concurrent chemotherapy」「clinical trial」「meta-analysis」で抽出した162 編のなかから選択した。また二次資料として『NCCN clinical Practice Guidelines in Oncology:Head Neck Cancers Version Ⅰ. 2012』,『Squamous cell carcinoma of the head and neck:EHNS-ESMO-ESTRO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up:Ann Oncol 21, 2010』を参考とした。


CQ11-5
進行頭頸部癌に対して強度変調放射線治療を適応することにより晩期有害事象は減少するか?

推奨
グレード
B 強度変調放射線治療の適応で晩期唾液腺障害は軽減する。
解 説

放射線治療後の口腔乾燥などの有害事象は治療後のQOL を大幅に低下させる。強度変調放射線治療は標的体積の高い線量集中性を保ち,正常臓器の線量を大幅に低減する技術で有害事象軽減に有効である。比較試験で強度変調放射線治療を通常照射法と比較した報告が3 編ある 1)〜3)。2 編は単施設の51 〜60 例の早期上咽頭癌を対象に唾液量,主観・客観的口腔乾燥症状を比較し,1 編ではQOL スコアも評価した 1)2)。治療後1 年時点で唾液量と客観的口腔乾燥症状は両試験で,主観的口腔乾燥症状とQOL スコアは1編で強度変調放射線治療が有意に良好だった。また,英国6 施設から94 例の中下咽頭癌を対象とした同様の報告が1 編ある。主観的・客観的口腔乾燥症状は有意に強度変調放射線治療群で良好だが,QOL スコアに差はなかった 3)。まとまった例数の後ろ向き研究は強度変調放射線治療と通常照射法を含む221 例の検討で,唾液腺平均線量と唾液腺機能に負の相関関係を認めた 4)。強度変調放射線治療のランダム化,非ランダム化試験を含む2 編の総論がある 5)6)。両群で治療効果の差はなく,多数例の非ランダム化試験の比較は強度変調放射線治療が口腔乾燥症状のほかに疼痛,意欲,コミュニケーション,会話,摂食で良好な結果だった。以上より進行頭頸部癌での強度変調放射線治療は,唾液腺線量を下げ唾液腺機能温存に優れ推奨される方法である。

放射線治療と放射線増感剤併用の比較試験の付随研究で,放射線治療のプロトコル逸脱群では治療結果が有意に不良であった 7)。強度変調放射線治療は治療計画内容が効果に大きく影響し,治療計画精度や物理検証の品質管理が極めて重要で,治療の標準化や物理精度管理の状況は治療効果に大きな影響がある 8)

参考文献

1) Pow EH, Kwong DL, McMillan AS, et al. Xerostomia and quality of life after intensity-modulated radiotherapy vs. conventional radiotherapy for early-stage nasopharyngeal carcinoma:initial report on a randomized controlled clinical trial. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006;66:981-91.(レベルⅡ)

2) Kam MK, Leung SF, Zee B, et al. Prospective randomized study of intensity-modulated radiotherapy on salivary gland function in early-stage nasopharyngeal carcinoma patients. J Clin Oncol. 2007;25:4873-9.(レベルⅡ)

3) Nutting CM, Morden JP, Harrington KJ, et al;PARSPORT trial management group. Parotid-sparing intensity modulated versus conventional radiotherapy in head and neck cancer(PARSPORT):a phase 3 multicentre randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2011;12:127-36.(レベルⅡ)

4) Dijkema T, Terhaard CH, Roesink JM, et al. Large cohort dose-volume response analysis of parotid gland function after radiotherapy:intensity-modulated versus conventional radiotherapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2008;72:1101-9.(レベルⅢ)

5) Staffurth J;Radiotherapy Development Board. A review of the clinical evidence for intensity-modulated radiotherapy. Clin Oncol(R Coll Radiol). 2010;22:643-57.(レベルⅡ)

6) Tribius S, C Bergelt. Intensity-modulated radiotherapy versus conventional and 3D conformal radiotherapy in patients with head and neck cancer:is there a worthwhile quality of life gain? Cancer Treat Rev. 2011;37:511-9.(レベルⅢ)

7) Peters LJ, O’Sullivan B, Giralt J, et al. Critical impact of radiotherapy protocol compliance and quality in the treatment of advanced head and neck cancer:results from TROG 02.02. J Clin Oncol. 2010;28:2996-3001.(レベルⅡ)

8) Johansson KA, Nilsson P, Zackrisson B, et al. The quality assurance process for the ARTSCAN head and neck study - a practical interactive approach for QA in 3DCRT and IMRT. Radiother Oncol. 2008;87:290-9.(レベルⅡ)

検索式

PubMed にて「IMRT」「head and neck cancer」「clinical trial phase Ⅱ/Ⅲ」で抽出した133 編のなかから選択した。また二次資料として『NCCN ガイドライン日本語版 2012』と,『放射線治療計画ガイドライン2012 年版』(金原出版)を参考とした。


CQ11-6
根治切除が困難な頭蓋底腫瘍ならびに鼻・副鼻腔腫瘍に対して粒子線治療(陽子線治療ならびに炭素イオン線治療)は推奨されるか?

推奨
グレード
C1 強度変調放射線治療などの線量集中性の高い照射法とともに治療選択肢となり得る。特にX 線による放射線治療では根治線量が照射できない場合にも,粒子線治療は有効な治療選択肢である。
解 説

切除不能な頭蓋底腫瘍や局所進展鼻・副鼻腔腫瘍の治療は化学療法の奏効率からも,治療選択肢は限られる。全身状態,組織型ならびに腫瘍の進展部位によるが,動注療法を含む化学療法併用または放射線治療単独療法が治療選択肢となることが多い。これらの腫瘍の周囲には脳幹や視神経などのリスク臓器が近接しているため,強度変調放射線治療などの線量集中性の高い照射法を用いても,X 線による放射線治療では根治的な線量が投与できない場合も少なくない。粒子線治療はブラッグピークという物理学的な特性から線量集中性が高いため,切除不能な頭蓋底腫瘍や鼻・副鼻腔腫瘍を対象に治療がなされてきた 1)2)。切除不能頭蓋底腫瘍に対して陽子線治療(+化学療法)を行い,3 年局所制御率49.1%,3 年全生存率59.3%と良好な成績が報告されている。晩期有害事象に関しても,国立がん研究センター東病院で治療された91 例の追跡調査では,grade 3 以上の視力低下ならびに脳壊死がそれぞれ5.5%,1.1%と軽微であった 3)。単施設の遡及的報告であるが,有用な治療選択肢と考えられる。

炭素イオン線に関しても,69 例の頭頸部腺様嚢胞癌に対する局所制御率および5 年疾患特異的生存率が,73%,68%と良好な治療成績が報告されている 4)。炭素イオン線は線量集中性に加えて生物学的効果比(relative biological effect;RBE)が通常の放射線の約3 倍と高いことから,悪性黒色腫などの放射線抵抗性腫瘍に対しても有効性が高い。粒子線治療施設の施設数が限られていることや粒子線治療が先進医療(治療費:240 万〜330 万円)に指定されているため,大規模な前向き臨床試験はこれまでなされていない。しかし,切除不能な頭蓋底腫瘍や局所進展鼻・副鼻腔腫瘍の疾患特徴を考慮すると,これまでの遡及的な報告に基づいた有効性から有効な治療選択肢として提示されることは妥当な範囲と考えられる 5)。治療施設が限られることや高額な治療費が現状では治療の一般化の障壁になっている。

参考文献

1) Nishimura H, Ogino T, Kawashima M, et al. Proton-beam therapy for olfactory neuroblastoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2007;68:758-62.(レベルⅢ)

2) Yanagi T, Mizoe JE, Hasegawa A, et al. Mucosal malignant melanoma of the head and neck treated by carbon ion radiotherapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2009;74:15-20.(レベルⅢ)

3) Zenda S, Kohno R, Kawashima M, et al. Proton beam therapy for unresectable malignancies of the nasal cavity and paranasal sinuses. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2011;81:1473-8.(レベルⅢ)

4) Mizoe JE, Hasegawa A, Jingu K, et al;Organizing Committe for the Working Group for Head Neck Cancer. Results of carbon ion radiotherapy for head and neck cancer. Radiother Oncol. 2012;103:32-7.(レベルⅢ)

5) Glimelius B, Montelius A. Proton beam therapy - do we need the randomised trials and can we do them? Radiother Oncol. 2007;83:105-9.(レベルⅥ)

検索式

PubMed にて「proton bean therapy」「nasal cavity」で抽出した21 編,および「carbon-ion therapy」「head and neck cancer」で抽出した80 編のなかから選択した。


CQ11-7 頭頸部癌治療においてセツキシマブの併用は治療成績の改善に寄与するか?

推奨
グレード
C1 抗EGFR 抗体薬であるセツキシマブ(Cmab)は放射線療法への上乗せ効果は認められるが,標準治療である化学放射線療法との比較がないため,適応を考慮する必要がある。
C1 セツキシマブ(Cmab)は未治療転移再発症例に対する化学療法(Pt + 5-FU)への上乗せ効果が認められている。
解 説

頭頸部扁平上皮癌ではヒト上皮成長因子受容体のERB-B family のひとつであるEGFR の高発現があり予後不良因子で,これに結合するIgG1 モノクローナル抗体であるCmab が開発され保険承認された。単剤では有効性が乏しく,他治療への上乗せ効果の有無が検討された。

放射線療法での検討では 1),局所進行頭頸部扁平上皮癌を対象に,放射線治療単独とCmab 併用放射線療法で比較されている。照射法は,通常照射,多分割照射,同時追加照射の3 種類から選択され,治療期間中のみCmab を併用した。全生存期間において,放射線単独:Cmab 併用で29.3:49 ヵ月(HR 0.74:0.57-0.97,p = 0.03)と有意な上乗せ効果が示され,毒性はCmab 併用群で皮膚症状,発熱,頭痛などがあるが,照射野内での毒性には差がなかった。しかし,現在この対象における標準治療は化学放射線療法であり,これとの比較試験がなくデータも乏しいことから,化学放射線療法が不適の場合に考慮されるべきである。一方で,化学放射線療法におけるCmab の上乗せ効果を検討したRTOG0522 では有効性が示されていない 2)

化学療法での検討では 3),未治療再発転移頭頸部扁平上皮癌を対象に,化学療法単独とCmab 併用化学療法で比較されている。Pt(CDDP or CBDCA)+ 5-FU を3 週毎に6 コースまで行い,Cmab 併用群はその後も投与継続した。全生存期間において,化学療法単独:Cmab 併用で7. 4:10. 1 ヵ月(HR 0.80:0.64-0. 99,p = 0.04)と有意な上乗せ効果が示され,毒性はCmab 併用群で皮膚症状が有意に高率であった。この対象における標準治療であったPt + 5-FU を凌駕するものであり標準治療と判断される。

本邦においてもこれら治療の安全性は確認されているが 4)5),高額であり治療の利益と不利益を十分に考慮して適正に使用すべきである。

参考文献

1) Bonner JA, Harari PM, Giralt J, et al. Radiotherapy plus cetuximab for squamous-cell carcinoma of the head and neck. N Engl J Med. 2006;354:567-78.(レベルⅡ)

2) Ang KK, Zhang QE, Rosenthal DI, et al. A randomized phase Ⅲ trial(RTOG 0522)of concurrent accelerated radiation plus cisplatin with or without cetuximab for stage Ⅲ-Ⅳ head and neck squamous cell carcinomas(HNC). J Clin Oncol. 2011;29:suppl;abstr 5500.(レベルⅡ)

3) Vermorken JB, Mesia R, Rivera F, et al. Platinum-based chemotherapy plus cetuximab in head and neck cancer. N Engl J Med. 2008;359:1116-27.(レベルⅡ)

4) Okano S, Yoshino T, Fujii M, et al. Phase Ⅱ Study of Cetuximab Plus Concomitant Boost Radiotherapy in Japanese Patients with Locally Advanced Squamous Cell Carcinoma of the Head and Neck. Jpn J Clin Oncol. 2013;43:476-82.(レベルⅢ)

5) Yoshino T, Hasegawa Y, Takahashi S, et al. Platinum-based Chemotherapy Plus Cetuximab for the First-line Treatment of Japanese Patients with Recurrent and / or Metastatic Squamous Cell Carcinoma of the Head and Neck:Results of a Phase Ⅱ Trial. Jpn J Clin Oncol. 2013;43:524-31.(レベルⅢ)

検索式

PubMed にて「head and neck squamous cell carcinoma」「cetuximab」「radiotherapy」「chemotherapy」の組み合わせで抽出した結果に,ASCO2011 の抄録を加えた。


12.支持療法

CQ12-1 頭頸部癌の治療において口腔ケアは有効か?

推奨
グレード
B 術前後の口腔ケアは,創部感染,肺炎など頭頸部癌における術後合併症のリスクを減少させる可能性がある。
解 説

口腔ケアは,高齢者の誤嚥性肺炎予防に有効であり 1),人工呼吸器関連性肺炎(ventilator-associated pneumonia;VAP)の発生率を低下させる 2)。また,頭頸部癌 3)〜8),食道癌 9)において術後合併症予防の有用性が報告されている。

頭頸部癌手術における創部感染の起因菌の多くは口腔常在菌と考えられ 3),術後嚥下障害は肺炎のリスクを高めると考えられる。Sato ら 4)は口腔癌の術後創部感染の有意な独立リスク因子として組織移植術と口腔ケアを挙げており,口腔ケア群では非口腔ケア群に比べ,創部感染,瘻孔形成,術後肺炎,経管栄養期間などが減少したとする比較研究報告がある 5)〜7)

頭頸部癌に対する化学放射線療法では口腔合併症が頻発する。口内炎,口腔乾燥症,味覚障害,多発性う蝕などにより,口腔衛生状態は悪化し,時に経口摂取が困難となる。特に放射線性顎骨の壊死は難治性の合併症であるが,良好な口腔衛生状態を維持することが骨壊死の発生リスクを減らすと報告されている 8)

口腔ケアとは,狭義には「口腔衛生管理に主眼をおいた口腔保健指導,口腔清掃,義歯清掃を中心としたケア」,広義には狭義の口腔ケアに加え「口腔機能(摂食,咀嚼,嚥下,構音,唾液分泌など)の維持・回復に主眼をおいた予防,歯科治療,リハビリテーションのあらゆる段階を包括したケア」とされている 10)。頭頸部癌治療における口腔ケアの具体的内容,役割分担については今後検討の必要があるが,口腔ケアは術後合併症予防のみでなくQOL 維持のうえでも重要であると考えられる。

参考文献

1) Yoneyama T, Yoshida M, Ohrui T, et al;Oral Care Working Group. Oral care reduces pneumonia in older patients in nursing homes. J Am Geriatr Soc. 2002;50:430-3.(レベルⅡ)

2) Chan EY, Ruest A, Meade MO, et al. Oral decontamination for prevention of pneumonia in mechanically ventilated adults:systematic review and meta-analysis. BMJ. 2007;334:889.(レベルⅠ)

3) 石川 徹,門田伸也,滝下照章,他.頭頸部がん患者の口腔内細菌叢についての検討.頭頸部癌 36:26-31, 2010.(レベルⅤ)

4) Sato J, Goto J, Harahashi A, et al. Oral health care reduces the risk of postoperative surgical site infection in inpatients with oral squamous cell carcinoma. Support Care Cancer. 2011;19:409-16.(レベルⅣ)

5) 大田洋二郎:がん治療による口腔内合併症の実態調査及びその予防法の確立に関する研究.平成16 年度厚生労働省がん研究助成金15-23(レベルⅣ)

6) 山崎宗治,松浦一登,加藤健吾,他.口腔ケアと再建手術術後合併症の検討.頭頸部外科 19:105-10, 2009.(レベルⅣ)

7) 古井戸春吾,元村昌平,服部真季,他.血管柄付き遊離皮弁を用いた口腔癌即時再建症例の術後感染に対する口腔ケアの効果.日口感染症会誌 14:19-26, 2007.(レベルⅣ)

8) Katsura K, Sasai K, Sato K, et al. Relationship between oral health status and development of osteoradionecrosis of the mandible:a retrospective longitudinal study. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2008;105:731-8.(レベルⅣ)

9) Yoneda S, Imai S, Hanada N, et al. Effects of oral care on development of oral mucositis and microorganisms in patients with esophageal cancer. Jpn J Infect Dis. 2007;60:23-8.(レベルⅡ)

10) 「入院患者に対する包括的口腔管理システムの構築に関する研究」研究班:入院患者に対する包括的口腔管理システムの構築に関する研究-口腔ケアの標準化に向けての試行研究ならびに先駆的取り組み.財団法人8020 推進財団,2008, pp6-7.(レベルⅥ)

検索式

医中誌にて「頭頸部癌」「口腔ケア」として抽出した197 編,およびPubMed にて「head and neck cancer」「oral hygiene」として抽出した270 編,追加論文から選定した。


CQ12-2 頸部郭清術後のリハビリテーションは有用か?

推奨
グレード
B 頸部郭清術後には早期からのリハビリテーションが肩関節および上肢運動機能の維持・回復に有用である。
解 説

頸部郭清後のリハビリテーションが上肢機能の維持・回復に有用であるという前向き観察研究の報告がある。頸部郭清術を施行した224 例を対象として術後上肢機能を前向きに検討した多施設研究において,副神経を切除しレベルXまでの郭清後にリハビリテーションを行った45 側で上肢挙上テスト(arm abduction test;ATT)による上肢運動機能の評価を行った結果,行わなかった対照群(50 側)に比較して有意に上肢運動機能は良好であった。副神経を保存しレベルXまでの郭清を行った症例では有意差はないものの,術後リハビリテーションを行うことにより上肢機能が良好である傾向がみられた 1)。また,後ろ向き研究として根治的頸部郭清術後の副神経麻痺患者に対して術後リハビリテーションを行った38 例において,術後リハビリテーションを行わなかった対照群(9 例)に比較して有意に上肢機能が有効であったとの報告がある 2)

参考文献

1) Nibu K, Ebihara Y, Ebihara M, et al. Quality of life after neck dissection:a multicenter longitudinal study by the Japanese Clinical Study Group on Standardization of Treatment for Lymph Node Metastasis of Head and Neck Cancer. Int J Clin Oncol. 2010;15:33-8.(レベルⅣ)

2) Shimada Y, Chida S, Matsunaga T, et al. Clinical results of rehabilitation for accessory nerve palsy after radical neck dissection. Acta Otolaryngol. 2007;127:491-7.(レベルⅣ)

検索式

PubMed で「neck dissection」と「shoulder and rehabilitation」の組み合わせで検索して42 編,「neck dissection」「accessory nerve」「quality of life」の組み合わせで検索して37 編が得られた。