がん診療ガイドラインについて

将来計画について

我が国で癌診療ガイドライン作りが始まってほぼ20年が経過し,がん診療ガイドラインの普及は我が国におけるがん医療の質の向上と均霑化に大きな役割を果たしてきた。現在,日本癌治療学会では(jsco-cpg.jp ホームページ),26 領域の臓器別がん診療ガイドライン,6 領域の支持療法ガイドラインを公開している。さらに,がん診療ガイドラインは,治療法の進歩,新規治療方法の確立とともに改訂作業が実施され,また,利用者の視点に沿ったClinical Question 形式が採用されるなど,その形態においても進化を遂げてきている。一方,AGREEII などの評価基準に沿って第三者評価されるなど,ガイドライン作成過程においても進化,成熟が認められつつある。このような背景のもと,日本癌治療学会が関わるがん診療ガイドラインの公開事業については,次の3 点において重要な方向性があると考える。

まず,第一点目は利用者の視点でのガイドライン。ガイドラインを使用するのは専門医に限らず,専門外の医師,看護師,薬剤師などの医療従事者,患者および患者家族,さらに医療行政に関わる者など多岐にわたる。通常,各種ガイドラインは専門の学会によって作成され,各学会で公開されるが,多岐にわたる利用者の視点を考えると,日本癌治療学会のような臓器横断的な学会がガイドライン公開の窓口となって,さらに,詳細な,専門的情報は各学会のコンテンツにあたっていただくのが効率的と考えられる。したがって,現状のスタイルを継承し,改訂され進化するがん診療ガイドラインを,新たなコンテンツとしてアップデートしていく作業を継続していく計画である。

第二点目は,第三者評価である。現在,日本癌治療学会には,ガイドライン評価委員会が設置され,各学会が主導でガイドラインの改訂作業を行う上で,その内容を第三者評価する機能を担っている。すなわち,各学会が膨大な仕事量を費やすガイドラインの改訂を,よりよい内容にしていただくため,AGREEII などの評価基準を用いて,客観的なQuality Indicator を用いた第三者評価を実施している。この作業をさらに継続し,ガイドラインの内容の向上に寄与し,公開していくことを推進していく計画である。

第三点目は,臓器横断的な本学会の特徴による,「G-CSF 支持療法」「制吐療法」といった支持療法のガイドラインや,「希少がん診療ガイドライン」など,臓器横断的なガイドラインの作成作業である。これらは,本学会が主導して,ガイドラインの作成,評価,公開作業を継続していく計画である。

日本癌治療学会としては,今後も以上のようなスタンスを継続してがん診療ガイドライン作成,第三者評価,公開事業を継続していく計画である。公開体制に関しては,独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター,MINDS などとも共同して効率的に行う方向で考えている。

2018 年6 月23 日
日本治療学会 がん診療ガイドライン統括・連絡委員会幹事委員会