GIST 〜診療アルゴリズム

1. 胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針

胃粘膜下腫瘍 (SMT) の治療方針のアルゴリズム

  • 内視鏡下生検の病理組織診断により,上皮性病変等を除外する。漿膜側からの生検は禁忌。
  • 潰瘍形成,辺縁不整,急速増大。
  • 経口・経静脈性造影剤を使用し,7 mm スライス厚以下の連続スライスが望ましい。
  • EUS-FNAB 施行が望まれるが,必須ではない。
  • CT で壊死・出血,辺縁不整,血流豊富,EUS で実質エコー不均一,辺縁不整,(リンパ節腫大)。



2. GIST 治療マニュアル (1)外科治療

外科治療のアルゴリズム

  • 病理組織診断がついていること。
  • 病理組織診断による評価。
  • Clinically Malignant とは転移,腹膜播種,他臓器浸潤,偽被膜破損などを有する場合。
  • Z9001 研究において術後 imatinib 1年間投与の安全性が確認されている。同研究においては primary endpoint の relapse-free survival は延長したが,secondary endpoint である全生存率の延長は確認されていない。



3. GIST 治療マニュアル (2)内科治療

内科治療のアルゴリズム

  • ベースラインCT(FDG-PET)を実施。
  • 治療開始後 1ヵ月以降で評価。
  • CT:造影効果消失,嚢胞変性など FDG-PET:取り込み低下ないし消失。
  • イマチニブ継続投与では可能な限り400 mg/日を維持する。副作用,忍容性などから減量する場合も300 mg/日未満は臨床的な意味はほとんどない。また,CR, PR でもイマチニブを中止すると,進行することが報告されている。
  • 切除可能なら外科コンサルト/耐性出現抑制目的の Surgical debulking。



4. GIST 治療マニュアル (3)再発治療

再発治療のアルゴリズム

  • 完全切除後の再発(イマチニブは未投与)。
  • 単発または数個までの切除可能肝転移,局所再発のみ エビデンスレベル3, 推奨度 C。



5. イマチニブ耐性GIST治療

イマチニブ耐性GISTのアルゴリズム

  • イマチニブ投与開始後180日までの進行を一次耐性といい,181日以降の進行を二次耐性という。
  • KIT の発現などにより GIST を確認。他の癌や肉腫の場合は各ガイドラインに応じた治療とフォローアップを行う。
    c-kit や PDGFR 遺伝子変異の確認を行うことが望ましい(genotyping)。
  • イマチニブ増量(600 mg/日,800 mg/日)は 現時点で国内未承認のため,自由診療となる。
    イマチニブ増量で効果がない場合は,スニチニブもしくはBSCを検討する。
  • 他の治療に入れない場合でも,PS や忍容性が許せばイマチニブ400 mg/日投与を継続する。
  • RFA に関しては,効果のエビデンスは未確認であり,また,保険適用外である。
  • スニチニブは2008年6月に薬価収載された。原則50 mg/bodyを 1 日 1 回 4 週間投与し,2 週間休薬する。用法用量については医薬品医療機器総合機構の添付文書(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291018M1029_2_01/)を参照すること。



6. GISTの術前治療(臨床試験)

GISTの術前治療(臨床試験)のアルゴリズム

  • 術前合併症を持つ切除可能例または多臓器合併切除を要する症例。
  • ベースライン CT(FDG-PET)を実施。
  • 術前補助療法の効果および安全性は確認されていない。
  • CR などで腫瘍が切除不要なレベルまで縮小した場合はイマチニブ投与し経過観察。
  • CT:造影効果消失,MRI:腫瘍血流低下ないし消失,FDG-PET:取り込み低下ないし消失。
  • 完全切除可能な原発 GIST の治療選択は外科切除である。切除後,病理組織診断の再確認を行い,他の癌や肉腫の場合は各ガイドラインに応じた治療とフォローを実施。
  • 他の併存症のため手術不能の場合,インフォームドコンセントが得られない場合など。
  • 他の薬剤の国内臨床試験に参加。



7. 病理組織診断 免疫染色による主な消化管間葉系腫瘍の鑑別

免疫染色による主な消化管間葉系腫瘍の鑑別のアルゴリズム

a. このようなパターンを示す腫瘍には Solitary fibrous tumor があり,鑑別を要する。
b. このようなケースの診断には c-kit や PDGFRA 遺伝子の突然変異検索が有用となる。