GIST 〜診療アルゴリズム
1. 胃粘膜下腫瘍(SMT)の治療方針

- 内視鏡下生検の病理組織診断により、上皮性病変等を除外する。漿膜側からの生検は禁忌。(エビデンスレベルⅥ、推奨度C1)
- 潰瘍形成、辺縁不整、増大。
- 経口・経静脈性造影剤を使用し、5mm スライス厚以下の連続スライスが望ましい。(エビデンスレベルⅥ、推奨度C1)
- EUS-FNAB 施行が望まれるが,必須ではない。
- CT で壊死・出血、辺縁不整、造影効果を含め実質の不均一性、EUS で実質エコー不均一、辺縁不整、(リンパ節腫大)。(エビデンスレベルⅣa、推奨度C1)
- 術前組織診断が出来ていない場合は、術中病理診断を行うことが望ましい。
2. GIST 治療マニュアル (1)外科治療
- 病理組織診断がついていること。
- 病理組織診断による評価。
- Clinically Malignant とは転移、偽被膜破損、腹膜播種、他臓器浸潤 などを有する場合。
- 中リスクGIST に対するイマチニブアジュバント治療の有効性は確立していない。EORTC/AGITG/FSG/GEIS/ISG 研究から、イマチニブ2 年間のアジュバント治療が、中リスクGIST 全体において全生存を改善するとは言えない。
- Z9001 研究並びにSSGⅩⅧ研究において3 年までの術後イマチニブ投与の安全性が確認されている。 SSGⅩⅧ研究においては3 年の術後イマチニブ投与によりprimary endpointのrelapse-free survival とともに,secondary endpoint である全生存率の改善が示唆された。(エビデンスレベルⅡ、推奨度B)
3. GIST 治療マニュアル (2)内科治療
- ベースラインCT(FDG-PET)を実施。
- 治療開始後 1ヵ月以降で評価。
- CT:造影効果消失,嚢胞変性など。
FDG-PET:取り込み低下ないし消失。 - イマチニブ継続投与では可能な限り400mg/日を維持する。
副作用、忍容性などから減量する場合も300mg/日未満は臨床的なエビデンスは無い。画像上、CR, PR でもイマチニブを中止すると、進行することが報告されている。 - 切除可能なら外科コンサルト/耐性出現抑制目的の外科手術(エビデンスレベルⅣa)
4. GIST 治療マニュアル (3)再発治療
- 完全切除後の再発(イマチニブは未投与)
- 単発または数個までの切除可能肝転移,局所再発のみ(エビデンスレベルⅣa)
5. イマチニブ耐性GIST 治療

- イマチニブ投与開始180 日までの1 次耐性では、GIST 診断の再確認を行う。c-kit やPDGFRA 遺伝子変異の確認を行うことが望ましい。
- 多数ある転移病巣中、1〜2 個の病巣だけがイマチニブ耐性を示した場合
- 少数の病巣の増悪で、すべての耐性部分が切除可能であるイマチニブ耐性GIST に対して、外科切除、TAE、RFA などでイマチニブ耐性病変を治療した後、イマチニブ治療を継続する。PFS の延長は8〜10 ヵ月程度で、全生存期間への影響は未確認である。本治療は肉腫専門分野をもつ病院で臨床試験として行われるべき治療である。(エビデンスレベルⅣa、推奨度C1)
- スニチニブ耐性時、部分耐性病変に対する局所治療とスニチニブ治療(またはイマチニブ治療)の報告はあるがPFS の延長はごく短期間で、全生存期間への影響は未確認である。本治療は肉腫専門分野をもつ病院で臨床試験として行われるべき治療である。(エビデンスレベルⅣa)
- TKI に耐性になった後も、比較的PS が良ければ忍容性の高いTKI を継続或いは再導入すれば、何もしないよりQOL や予後が相対的に良いという報告がある。(エビデンスレベルⅢ、推奨度C1)
TKI: tyrosine kinase inhibitor (例えば、承認薬ではイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ)
BSC: Best Supportive Care
PFS: progression-free survival
PS: performance status
QOL: quality of life
6. GIST の術前治療(臨床試験)
- 術前併存症を持つ切除可能例または多臓器合併切除を要する症例を含む。
- ベースラインCT(FDG-PET)等により早期にイマチニブ治療効果判定等綿密な観察を実施。
- 術前補助療法の安全性に関してはほぼ確認されたが(エビデンスレベルⅢ、推奨度C1)、術前補助療法のみの予後改善効果は必ずしも確立していない。(エビデンスレベルⅣa)
- CRなどで腫瘍が切除不要なレベルまで縮小した場合はイマチニブ投与し経過観察。
- CT:造影効果消失, MRI:腫瘍血流低下ないし消失,FDG-PET:取り込み低下ないし消失。
- 完全切除可能な原発GISTの治療選択は外科切除である。切除後、病理組織診断の再確認を行い、他の癌や肉腫の場合は各ガイドラインに応じた治療とフォローを実施。
- 他の併存症のため手術不能の場合や、インフォームドコンセントが得られない場合など。
- 他の薬剤の国内臨床試験に参加。
BSC:Best Supportive Care
7. 病理組織診断 免疫染色による主な消化管間葉系腫瘍の鑑別
- このようなパターンを示す腫瘍には Solitary fibrous tumor があり,鑑別を要する。
- このようなケースの診断には c-kit や PDGFRA 遺伝子の突然変異検索が有用となる。