ガイドライン改訂にあたって

2009 年1 月に「口腔癌診療ガイドライン2009 年度版」が発刊され,はや4 年が経過いたしました。その間,口腔癌や頭頸部癌の診療に日々あたっている多くの臨床医の先生方から高い評価をいただいたのみならず,看護師,言語療法士,歯科衛生士などの医療関係者の方々からも多くの支持を寄せていただき,日々の臨床にお役立ていただいていることは,委員のひとりとしてこの上ない喜びであると思っております。

好評を得ました2009 年度版ですが,日々進歩していく医療においては,最新の知見をふまえたより新しい内容に改訂していく必要があることは言うまでもありません。この4 年間には,治療の分野においては,新しい放射線治療法の応用や化学放射線療法の発達とそれに伴う治療選択肢の増加,また分子標的治療薬の開発と承認など数々の新しい進歩がみられました。それら最新知見をふまえ改訂した2013 年版を今回刊行させていただきました。

今回の改訂では,既存のCQ については,最新の文献を加えて再評価し内容を一新するとともに,2009 年度版では掲載していませんでしたが臨床上重要なCQ を追加CQ として新たに評価いたしました。内容的には大幅ではありませんが,的確な改訂ができたものと思っております。

前回からの問題点といたしましては,口腔癌のみを対象としたエビデンスの高い文献が未だ少なく,口腔癌を含んだ頭頸部癌のデータからエビデンスを求めざるを得なかった点があります。また,エビデンスレベルの高い論文は海外のものが主体である点も同様でした。それを解消するために本邦においてもいくつかの臨床研究グループができ,質の高い臨床研究がなされようとしています。しかし,一方では膨大な研究費や専門的な統計処理および長期間の検討期間が必要であるなど,ハードルが高いものとなっているのも事実です。口腔癌診療にあたっている臨床医が高いエビデンスレベルの臨床研究を行い,海外に負けない本邦発の良質な研究成果が出せるような努力と協力体制が必要です。これが治療成績の向上に役立つものになり,患者さんへの大きな貢献となると考えます。

本ガイドラインに対し,多くのご意見,ご教示を賜れば幸いです。皆様方の貴重なご示唆がさらなる良いガイドラインの作成につながるものと確信いたします。

「科学的根拠に基づく口腔癌診療ガイドライン2013 年版」が今後も変わらずお役に立てることを祈念する次第です。

2013 年5 月

日本口腔腫瘍学会学術委員会 口腔癌治療ガイドライン改訂委員会
委員長:桐田 忠昭

日本口腔外科学会学術委員会 口腔癌診療ガイドライン策定委員会
委員長:佐々木 朗