第3 版 理事長 序

食道癌治療ガイドライン(初版2002 年12 月版),食道癌診断・治療ガイドライン(第2 版 2007 年4 月版)に続く改訂第3 版を出版する運びとなりました。初版以来10 年が経過し,この間に診療ガイドラインを取り巻く状況も大きく変化してきました。初版当時は食道疾患研究会から日本食道学会への移行直前で,作成委員会は論文,書籍などエビデンスになりえる資料を渉猟し,エビデンスレベルごとにランク付けするという初めての作業を,なかば手探りで行いました。第2 版改訂時には初版に対するアンケート結果や要望も取り入れ,Clinical Question や治療アルゴリズムなどの導入により,診療現場での使いやすさをより意識した構成に進化してまいりました。それだけ医療の場で癌のみならず多くの疾患に関する診療ガイドラインが認知され,そのニーズが高まってきた結果です。またエビデンスを発信する臨床試験の必要性が,臨床試験後進国の本邦でも認知されるようになりました。行政主導の指針も提案され,診療ガイドライン作成に携わる各学会は,より良質のガイドライン作りに勤しんでいます。そのような背景のなかでの今回の改訂第3 版です。改訂作業に多くの時間と労力を注がれた桑野博行ガイドライン検討委員会委員長,平井敏弘ガイドライン評価委員会委員長をはじめ委員各位,ご意見をお寄せ頂いた理事各位に敬意を表します。

さて食道癌取扱い規約は,ガイドラインが作成されるまでの30 年以上にわたり,食道癌診療の唯一の拠りどころとして広く活用されてきました。そのために多くの診断・治療項目も収載されています。またガイドラインにも取扱い規約の項目が重複収載されています。1 冊で用が足りるようにとの配慮がうかがえますが,本来はこの2 冊(取扱い規約とガイドライン)の能率的な使い分けが求められます。したがって収載項目をより合理的に棲み分ける作業が,今後必要になるものと考えます。

日進月歩の食道癌診療において診断・治療ガイドライン改訂は,今後これまで以上に短期間での施行が求められます。第3 版出版時には次の第4 版改訂作業が始まっていると心掛けたいと思います。

2012 年3 月

日本食道学会

理事長 安藤暢敏