食道癌診断・治療ガイドライン【第3 版】
再改訂によせて

食道癌診断・治療ガイドライン委員会では,2002 年の第1 版,2007 年4 月版の第2 版を経て,このたび第3 版として改訂の運びとなった。今回の改訂での1 つのポイントである術前化学療法の位置付けを含め今回の改訂の骨子を以下に示す。

  1. 1)今回「疫学・現況・危険因子」,内視鏡的治療の中の「切除標本の取扱い,治療の完全性の評価法」,「周術期管理とクリニカルパス」,「サルベージ手術」,「バレット食道およびバレット癌に対する診療」,「重複癌に対する診療」,「欧米の治療成績とガイドライン」などを最近の動向と重要性に鑑み,新たに追加した。
  2. 2)附表で予後曲線(全国登録の予後調査)を加えた。
  3. 3)Clinical Question(CQ)形式は継続することとし,推奨度を再検討することとなった。
  4. 4)推奨グレードをA,B,C,D からA,B,C1,C2,D に変更した。
推奨グレード 内 容
A 強い科学的根拠があり,行うよう強く勧められる
B 科学的根拠があり,行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが,行うよう勧められる
C2 科学的根拠がなく,行わないよう勧められる
D 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり,行わないよう勧められる

※尚,CQ の内容によっては推奨グレードを付記しない項目も含まれる。

  1. 5)今回の改訂での1 つのポイントはJCOG9907 の臨床研究の結果に基づいた術前化学療法の位置付けであり,TNM(第6 版)stage Ⅱ,Ⅲ を対象とした5-FU,シスプラチンによる術前化学療法を推奨グレードB として取り扱うこととした。
  2. 6)上記の知見に基づきアルゴリズムの変更を行った。
  3. 7)第2 版から取り上げられている項目には,新たに報告されたエビデンスが検証された内容を加えて,必要に応じてリニューアルした。

本改訂に対しても案の段階で様々の意見や見解を寄せていただいた。それらも十分に勘案した上で,委員を中心に幾度となく議論を繰り返し,本改訂の発刊に至った次第であり,ご尽力をいただいた多くの方々に深甚なる感謝の意を表したい。

今後も新たな知見や議論にもとづき適切な継続的改訂に努めてゆきたい。

2012 年3 月

食道癌診断・治療ガイドライン検討委員会

委員長 桑野博行