2007 年版 序

この度,腎癌診療ガイドラインが刊行されることになりました。

検診や他疾患精査中に発見される小腎癌も含め,近年,腎癌は増加を辿っており,勤務医,開業医を含めて泌尿器科診療の一つの課題であります。しかし,本腫瘍の発生因子は単一の危険因子でなく,後天性嚢胞性疾患や von Hippel Lindau(VHL)病など遺伝性疾患との関連等も注目されています。また赤沈,CRP などは予後に関係する因子と言われていますが,有用な腫瘍マーカーは見い出されていません。

治療法に関しても,放射線療法,薬物療法,免疫療法も試用されているものの,その有効性には限界があり,現時点では外科的手術が唯一の根治的方法と理解されています。

本ガイドラインの作成は,厚生労働省科学研究助成金の交付による日本癌治療学会の診療ガイドラインの一環として,日本泌尿器科学会からの支援のもと,藤岡知昭作成委員長を始めとする約 250 名の関係者の努力で完成されたものであり,診療における疑問・クリニカルクエスチョン(CQ)に回答する形式を採用し,診療上重要なデシジョンメーキング(DM)に寄与することを目ざしています。

本ガイドラインが皆様の診療にお役立ちできることを期待する次第です。

平成19 年9 月

社団法人日本泌尿器科学会
理事長 奥山 明彦