2011 年版の作成にあたって

日本泌尿器科学会によりこのたび刊行された『腎癌診療ガイドライン 2011 年版』は2007 年の初版本に新たな改訂を加えたものです。腎癌診療の進歩は目覚ましいものがあり,わずか4 年の間に多くのエビデンスが集積され,今回それに伴って改訂を行いました。

今回新たに改訂を行ったポイントは以下のとおりです。

  1. 予後予測因子
    MSKCC リスク分類を含めた予後予測因子による治療選択の追加
  2. 小径腎癌に対する治療法の選択
    経皮的ラジオ波焼灼術や凍結療法を治療選択肢として追加
  3. 進行性腎癌に対する薬物治療
    本邦で保険適用となった分子標的治療薬に関する情報を追加

本ガイドラインは,あくまでもわが国における現時点での最も標準的と考えられる診療法を示したものであって,強制力を持つものではありません。その使用にあたっては,個々の医療機関の状況,患者の個別性,価値観や希望,社会的背景等を勘案して医師が柔軟に使いこなすべきものと考えます。一方でその効用は,患者に格差のない最良の診療をもたらすとともに,医師に対しても逸脱した診療によるトラブルの回避へと結びつくものです。本ガイドラインが皆様の日常診療に役立つことを期待致します。

今回の改訂版を発刊するにあたり,膨大な量の文献を吟味し,迅速に改訂作業を行っていただいた作成委員の先生方に御礼申し上げます。さらに評価委員の先生方に改めて感謝いたします。また,編集でご苦労をおかけした金原出版編集部の方々に心より感謝申し上げます。

2011 年10 月

腎癌診療ガイドライン 2011 年版・作成委員長
岩手医科大学泌尿器科学教室
藤岡 知昭