2006 年 3 月に第 1 版の『膵癌診療ガイドライン』が出版された。このガイドラインは日 本膵臓学会膵癌診療ガイドライン作成小委員会で,系統的エビデンス検索,明確な推 奨文と推奨度,フローチャート,図表写真,索引,外部評価などを取り入れて作成され, 高い評価を受けた。当初より,出版後 3 年をめどに改訂することが明記されていたので, 最新の文献検索を加え,改訂を行った。
今回,改訂第 2 版を作成出版するにあたり,以下の点が大きく変わった。
1.第 1 版の作成担当母体が日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン作成小委員会であったが,今回は日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会となった。
2.最新のエビデンス追加は,第 1 版出版後の新しいエビデンスの系統的検索を行い,さらに現在の日本の実臨床を勘案して推奨文を作成した。クリニカルクエスチョン も変更や追加がなされた。
1.診断法
CQ1-1,CQ1-2 に変更はないが,CQ1-3,CQ1-4 の診断法はファーストステップとセカンドステップを行うべき検査,次に行うべき検査に変えた。CQ1-5,CQ1-6 の TNM分類と細胞診,組織診は順番を入れ替えた。
2.化学療法
CQ2-4 が,二次化学療法は何か?から,二次化学療法は推奨されるか?になった。
3.放射線療法
CQ3-2,CQ3-3 が追加となった。
CQ3-2 局所進行切除不能膵癌に対し化学放射線療法の標準的な併用化学療法は何か?
CQ3-3 局所進行切除不能膵癌に対する外部放射線治療の臨床標的体積に予防的リンパ節領域を含めるべきか?
4.外科的治療法
CQ4-1〜CQ4 ─ 5 に変更はなかったが,CQ4 ─ 6 が追加となった。
CQ4-6 非切除バイパス,胆管ステント療法は意義があるか?
5.補助療法
変更なし。
エビデンスレベルは旧版の
Ⅰ システマティックレビュー/ メタアナリシス
Ⅱ 1 つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ 非ランダム化比較試験による
Ⅳ 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究による)
Ⅴ 記述研究(症例報告やケースシリーズ)による
Ⅵ 患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見
より
Ⅰ システマティックレビュー/ RCT のメタアナリシス
Ⅱ 1 つ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ 非ランダム化比較試験による
Ⅳa 分析疫学的研究(コホート研究)
Ⅳb 分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)
Ⅴ 記述研究(症例報告やケースシリーズ)
Ⅵ 患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見
に変更された。
旧版の
A 行うよう強く勧められる
B 行うよう勧められる
C 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
D 行わないよう勧められる
より
A 強い科学的根拠があり,行うよう強く勧められる
B 科学的根拠があり,行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが,行うよう勧められる
C2 科学的根拠がなく,行わないよう勧められる
D 無効性あるいは害を示す科学的根拠があり,行わないよう勧められる
に変更となった。
これらの変更は『Minds ガイドライン作成の手引き 2007』に従ったものである。
推奨,明日への提言,構造化抄録の CR─ ROM などは変更なし。また,旧版同様,外部評価委員の各視点からの評価に加え,ガイドライン作成方法論の立場からの評価もいただいた。
今後も医学の進歩に加え,保険診療をはじめとした臨床の医療は変化し続ける。診療ガイドラインは,常に最新のエビデンスと実臨床を反映した推奨診療を提示し続ける必要があるため,改訂委員会はガイドライン改訂作業を継続する必要がある。
本ガイドラインが,臨床医に適切な情報を提供し,何より患者に対し最良の医療が行われることに役立てば幸いである。