2009 年版 序

頭頸部癌の診断・治療の流れを標準化するに際しても,エビデンスに基づいたガイドラインの作成が望ましいが,わが国における頭頸部癌の診療に関して評価し得るエビデンスは僅少であり,確立されたガイドラインも存在しない。頭頸部癌治療の基本は集学的治療であり,根治性と機能保持の相反するテーマを満足しなければならず,そこには個々の症例の多様な要求が存在し,それに応じて治療法が開発・改良されているのが現状である。学会として,また本ガイドラインが,各医療者の治療法に制限を加えるものではないが,治療法の選択が多様化している現在,頭頸部癌の治療に要求される基本的レベル,全国の多数の施設において最低限守られるべき治療の内容を,ガイドラインとして全国的に示す必要性は高いといえる。また,診療ガイドラインを公開することは,医療者・患者間の相互理解にも役立つものと思われる。頭頸部癌診療における現状で最も妥当と考えられる診断・治療法について,わが国のエビデンスはなくてもコンセンサスの得られる範囲で採用し,巻末にわが国における頭頸部癌治療の現状を理解する一助となるよう頭頸部悪性腫瘍全国登録のデータを一部掲載した。本ガイドラインが日常診療の参考になれば幸甚である。

2009 年 2 月

日本頭頸部癌学会診療ガイドライン検討委員会

永原 國彦

日本頭頸部癌学会診療ガイドライン検討委員会
永原 國彦,西條  茂,冨田 吉信,西川 邦男,長谷川泰久,林  隆一,
松浦 一登,門田 伸也,吉野 邦俊,北野 博也,北村 守正,舘田  勝,
平野  滋,力丸 文秀,岸本 誠司,鎌田 信悦,甲能 直幸,早川 和重,
藤井 正人,海老原 敏,吉田 雅博