『頭頸部癌診療ガイドライン』初版は2009 年に出版された。その後,UICC(Union Internationale Contre le Cancer)の『TNM 悪性腫瘍の分類 日本語版 第7 版』が2010 年に,『頭頸部癌取扱い規約 第5 版』が2012 年に出版され,これを受けて本ガイドラインも第1 回目の改訂を行うこととなった。この4 年の間にも,PET─CT や狭帯領域内視鏡の普及により診断の精度が向上し,内視鏡切除術や経口的切除術など低侵襲な外科的治療を行う施設が増え,分子標的薬が承認されるなど,頭頸部癌の診療においてさまざまな変化がみられている。

本改訂では,現状で最も妥当と考えられる診断・治療法を取り上げ,エビデンスレベルを示すとともに推奨グレードを提示することとした。治療の概要を示した「Ⅲ.治療」は初版を踏襲して簡潔なスタイルとし,「Ⅳ.クリニカルクエスチョン」を充実させた。

頭頸部はヒトが人として生きるために欠かすことができない多くの機能を司っており,癌治療においては根治とQuality of Life の維持の両立が重要な命題である。本ガイドラインは記載した内容と異なる診断法や治療法を施行することを規制するものではないが,ますます多様となった治療法のなかから,個々の症例に適した治療を選択する際の参考にしていただければ幸甚である。また,「Ⅴ.資料」には術後機能評価基準案と頸部郭清指針を掲載した。手術手技の確認,QOL の評価にご利用いただきたい。

最後に,本ガイドライン改訂にあたり多大なご協力をいただいた頭頸部癌診療ガイドライン委員会の先生方,評価委員の皆様に心より御礼を申し上げます。

2013 年6 月

日本頭頸部癌学会診療ガイドライン委員会 委員長

丹生 健一