この度,膀胱癌診療ガイドラインが上梓されることになりました。言うまでもなく膀胱癌は尿路上皮癌のうちでも最も頻度の高いものであり,前立腺癌,腎細胞癌とともに主要な泌尿器科癌の一角を占めるものでもあります。また,膀胱癌の組織像,進展様式は多岐に亘っており,治療方法や予後も相違することから,勤務医,開業医を含めて泌尿器科診療の一つの課題であります。一般的に,肉眼的,顕微鏡的血尿に際して発見され,画像診断,病理組織所見等の病期や悪性度の判定に基づき治療に移行しますが,治療方法の選択を巡って一定の基準が確立されているとは言えません。内視鏡下の腫瘍切除や膀胱全摘除術などの外科手術の他,膀胱内注入治療,放射線治療,薬物治療など治療方針決定にも一定の見解を見出すことの難しい分野と理解しています。これまで NCCN,NCI-PDQ,AUA などの国際的ガイドラインが用いられてきましたが,近年は日本でも国際的に評価され得る臨床試験が行われており,日本独自のガイドラインを制定する意義があると考えてきました。利用者の立場からも「日本人を対象とした EBM に基づく」ガイドラインは画期的であり,今回は,解り易く問題点を的確に指摘し解答する Q & A 方式がとられており,泌尿器科以外の先生方にも活用していただける内容であると理解しています。

本ガイドラインの作成は社団法人日本泌尿器科学会の支援を受け,赤座英之教授 を委員長とした日本泌尿器科学会を中心とする委員の他,評価委員に腫瘍放射線医学や腫瘍内科学を専門とする先生方にご参加いただき,完成されました。編集事務 を担当された方々を含め,作成委員の先生方に深く感謝いたします。

本ガイドラインが皆様の診療にお役立ちできることを期待,確信する次第です。

平成21年3月

社団法人日本泌尿器科学会
理事長 奥山 明彦