本ガイドラインにおけるエビデンスについて

この膀胱癌診療ガイドラインは「日本癌治療学会・がん診療ガイドライン作成の 手引きVer4」に従って作成した。
まず作成委員によって,「疫学,診断」,「筋層非 浸潤性膀胱癌」,「CIS」,「StageⅡ,StageⅢ」,「StageⅣ」,「全身化学療法」,「放 射線療法」の7項目ごとにクリニカルクエスチョン(CQ)を列挙し49のCQを設 定した。日本医学図書館協会の協力の下,PubMedと医学中央雑誌を対象に過去 10年間の論文を,各CQごとに文献検索した。その結果「疫学,診断」175論文, 「筋層非浸潤性膀胱癌」368論文,「CIS」168論文,「StageⅡ,StageⅢ」1215論文, 「StageⅣ」87論文,「全身化学療法」156論文,「放射線療法」120論文,合計 2289論文を抽出した。

抽出された論文を取捨選択し,かつ本ガイドライン作成中に公表されたレベルの高いエビデンスを追加,またASCO annual meetingのアブストラクトなどPubMedに収載されない重要なエビデンスに関しては適宜各委員が追加し,その妥当性を委員会において討議して取り入れた。

エビデンスレベルの評価は,レベルⅠ:システマティック・レビュウー/メタアナリシス,レベルⅡ:1つ以上のランダム化比較試験による,レベルⅢ:非ランダム化比較試験による,レベルⅣa:分析疫学的研究:コホート研究,レベルⅣb:分析疫学的研究:症例対照研究,横断研究,レベルX:記述研究(症例報告やケースシリーズ),レベル蠧:患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見,として個々の論文を評価した。その結果をまとめた形で各CQごとのアンサーには「推奨グレード」(A:強く勧められる,B:勧められる,C:勧められるだけの根拠が明確ではない,D:行わないよう勧められる)を記載した。「推奨グレード」の決定は,基本的には「ガイドライン作成の手引き」に準じて評価を行ったが,エビデンスが少ない場合や,エビデンスレベルの低いエビデンスを用いて判断する場合は,委員会の議論およびその合意を反映する“Consensus recommendation”の手続きに従った。

京都大学薬剤疫学
樋之津史郎