本ガイドライン改訂のポイントとエビデンス

『膀胱癌診療ガイドライン』2015 年版は初版(2009 年)より6 年目の最初の改定を行ったものである。

改訂では,初版のスタイルを基本的に踏襲している。国際的には NCCN,EAU などのガイドラインが毎年,または 2 年毎に少しずつリニューアルを行っているが,これらを参考にしつつ,この 6 年間に加わったエビデンスや評価が固まりつつある領域などの事項,また最近の診療上における進歩の動向を加味し,記述内容の追加を行い作成したものである。
記述内容では,日本の人口の高齢化に伴い,高齢者の治療に向けた記述を増やしたことや,筋層非浸潤性膀胱癌のリスク分類の考え方をより明確にし,その考え方に基づいた診療上の要点を中心に記述した。また,新しい試みとして,NCCN,EAU などでも参考にし,膀胱癌の診療アルゴリズムを提示するなどを行った。

項目では,最近の診療状況に応じて,筋層浸潤性膀胱癌における膀胱温存治療の内容を増やし,また,筋層非浸潤性膀胱癌における photodynamic diagnosis(PDD)を新しい項目として加えたことなどが特徴としてあげられる。


この膀胱癌診療ガイドライン2015 年版は「日本泌尿器科学会が関与する診療ガイドラインに関する細則」に従って作成された。今回の改訂にあたっては基本的な形式は「膀胱癌診療ガイドライン2009 年版」を踏襲したが,2009 年版では1 つの項目にまとめられていた「疫学」と「診断」を別項目とし,治療全体を俯瞰的に理解することを目的とした「治療学」の項目を設けることでガイドラインをより使いやすいようにと配慮した。

日本医学図書館協会の協力の下に1999 年以降2013 年までの論文を各CQ ごとに文献検索した上で抽出された論文を取捨選択,重要なエビデンスに関しては適宜各委員が追加し,その妥当性を委員会において討議して取り入れた。

本ガイドラインの推奨グレード(表1)とエビデンスレベルの評価(表2)は「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2007」に準拠し記載した。エビデンスレベルが低いエビデンスを用いて判断する場合には委員会の議論およびその合意を反映し推奨グレードを決定した。

表1 クリニカルアンサーの推奨グレード
表1 クリニカルアンサーの推奨グレード
表2 エビデンスレベル(質の高いもの順)
表2 エビデンスレベル(質の高いもの順)

利益相反

本ガイドラインは社会的貢献を目的として作成されたものである。各委員個人と企業間との講演活動等を通じた利益相反は存在する。しかし,本ガイドラインの勧告内容は,科学的根拠に基づくものであり,特定の団体や製品・技術との利害関係により影響を受けたものではない。作成に要した費用は日本泌尿器科学会の診療ガイドライン作成助成金より賄われた。