クリニカルクエスチョン・推奨一覧

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第2章 初回治療(特殊組織型を含む)

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 術前にⅠ期と考えられる症例に対する子宮摘出術式は?
  1. 単純子宮全摘出術あるいは拡大単純子宮全摘出術(筋膜外術式)を奨める。
B
  1. 準広汎子宮全摘出術も提案できる。
C1
CQ2 術前にⅡ期と考えられる症例に対する子宮摘出術式は? 準広汎子宮全摘出術あるいは広汎子宮全摘出術を提案する C1
CQ3 骨盤リンパ節郭清の意義と適応は?
  1. 正確な手術進行期決定に必要である。
A
  1. 再発中・高リスク群と推定される症例では郭清を提案する。
C1
  1. 再発低リスク群と推定される症例の一部では郭清の省略を考慮する。
C1
CQ4 傍大動脈リンパ節郭清(生検)の意義と適応は?
  1. 正確な手術進行期決定に必要である。
A
  1. 再発中・高リスク群と推定される症例では郭清(生検)を提案する。
C1
  1. 再発低リスク群と推定される症例では郭清(生検)の省略を提案する。
C1
CQ5 大網切除術の適応は?
  1. 正確な手術進行期決定のために全例,慎重な大網の術中検索を行う。
A
  1. 術中に大網転移が疑われる場合には大網切除術を強く奨める。
A
  1. 転移が疑われなくても,特殊組織型や類内膜癌G3,深い筋層浸潤のいずれかが予想される場合,あるいは術中に子宮外病変や腹腔細胞診陽性を認める場合には大網切除術を提案する。
C1
CQ6 卵巣温存は可能か?
  1. 初回治療において原則として両側付属器摘出術を行い,手術進行期を決定する。
A
  1. 類内膜癌(G1 相当)で筋層浸潤の浅い若年症例では,卵巣温存に伴う危険性を十分に説明した上で温存が考慮される。
C1
CQ7 漿液性癌または明細胞癌に対して推奨される手術術式は?
  1. 子宮全摘出術,両側付属器摘出術を行う。
A
  1. 上記術式に加えて,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清(生検)と大網切除術を提案する。
C1
CQ8 進行期推定に有用な画像検査は?
  1. 筋層浸潤・子宮頸部間質浸潤をMRI で評価することを強く奨める。
A
  1. リンパ節転移・遠隔転移をCT, MRI, PET/CT などで評価することを強く奨める。
A
CQ9 子宮摘出標本の術中迅速病理組織学的検査は術式決定に有用か?
  1. リンパ節郭清(生検)や大網切除術を考慮する上で有用な場合もある。
C1
  1. 組織型,組織学的異型度,筋層浸潤の確定診断をする目的では奨められない。
C2
CQ10 センチネルリンパ節生検結果によるリンパ節郭清の省略は可能か? 病理医の協力体制の整った施設で手技に習熟したチームにより試験的位置付けで行う原則のもと,センチネルリンパ節転移陰性例でのリンパ節郭清の省略を考慮する。 C1
CQ11 手術に際して腹腔細胞診を行うべきか? 腹腔細胞診を行うことを強く奨める。 A
CQ12 腹腔鏡下手術の適応は?
  1. 子宮内膜異型増殖症や推定Ⅰ期子宮体癌のうち再発低リスク群に対して奨める。
B
  1. 推定Ⅰ・Ⅱ期症例のうち再発中・高リスク群が疑われる場合にも考慮する。
C1
  1. 進行例に対しては奨めない。
C2
CQ13 子宮摘出術後に子宮体癌と判明した症例の取り扱いは?
  1. 再発中・高リスク群が疑われる症例には,再手術を含む適切な追加治療を奨める。
B
  1. 再発低リスク群と推定できる症例では,慎重な経過観察も可能である。
C1
CQ14 再発低リスク群を推定して行われた手術の後に再発中・高リスク群と判明した症例の取り扱いは? 画像検査による転移検索の上,再手術により正確な手術進行期を決定し,適切な追加治療を提案する。 C1
CQ15 根治的放射線治療の適応は? 高齢や合併症などの理由で手術適応にならない症例に対して放射線治療を提案する。 C1

第3章 術後治療(特殊組織型を含む)

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ16 術後補助療法の適応と推奨される治療法は?
  1. 再発高リスク群に対して術後化学療法を奨める。
B
  1. 再発中リスク群に対して術後化学療法を提案する。
C1
  1. 再発低リスク群に対して術後補助療法は奨めない。
D
CQ17 術後化学療法に推奨される薬剤は?
  1. 再発高リスク群に対してAP 療法を奨める。
B
  1. 再発高リスク群に対してタキサン製剤とプラチナ製剤の併用療法も提案できる。
C1
  1. 再発中リスク群に対しては再発高リスク群と同様の薬剤を提案する。
C1
CQ18 術後補助療法として黄体ホルモン療法は奨められるか? 術後補助療法としての黄体ホルモン療法は奨められない。 D
CQ19 術後放射線治療の適応は? 骨盤内再発を減少させるための選択肢の一つとして考慮される。 C1

第4章 治療後の経過観察

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ20 治療後の経過観察の間隔は? 治療後の経過観察の間隔は,初回治療開始日を起点として
 1〜3 年目 :1〜4 カ月ごと
 4〜5 年目 :6 カ月ごと
 6 年目以降 :1 年ごと
を目安とする。
C1
CQ21 治療後の経過観察に内診や腟断端細胞診を行うべきか?
  1. 骨盤内再発の診断のために内診を奨める。
A
  1. 腟断端再発の診断のために細胞診が考慮される。
C1
CQ22 治療後の経過観察に血清腫瘍マーカーの測定や画像検査を行うべきか?
  1. 血清腫瘍マーカーとしてCA125 やCA19-9 の測定を考慮する。
C1
  1. 個々の症例の再発リスクを勘案した上で,適宜胸部X 線検査やCT などの画像検査を考慮する。
C1
  1. 再発が疑われた場合の病巣の検索にはCT,MRI やPET/CT などの画像検査を奨める。
B
CQ23 治療後のホルモン補充療法(HRT)は奨められるか? ベネフィットとリスクを十分に説明した上でHRT を行うことを考慮する。 C1

第5章 進行・再発癌の治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ24 術前にⅢ・Ⅳ期と考えられる症例に対して手術療法は奨められるか?
  1. 推定Ⅲ期症例に対しては,手術療法を奨める。
B
  1. 推定Ⅳ期症例に対しては,子宮全摘出術と可及的腫瘍減量術が可能であれば,手術療法を提案する。
C1
CQ25 切除困難または病巣残存が予想される進行癌に対して術前治療は奨められるか? 周辺臓器への浸潤があり切除困難な症例や,遠隔転移があり病巣残存が予想される症例に対して,術前化学療法を提案する。 C1
CQ26 腟断端再発に対する治療法は?
  1. 放射線治療を奨める。
B
  1. 手術療法も考慮できる。
C1
CQ27 腟断端以外に再発した症例に対して手術療法は奨められるか?
  1. 孤発再発症例で完全切除が可能であれば,手術療法を提案する。
C1
  1. 肺転移症例に対しては,腫瘍径が小さく,転移数が少数であれば,手術療法を提案する。
C1
CQ28 切除不能または残存病巣を有する進行・再発癌に対して化学療法は奨められるか?
  1. 進行症例にはAP 療法を奨める。
B
  1. 進行症例には有効性・安全性からはTAP 療法,あるいはTC 療法も考慮する。
C1
  1. 再発癌には,患者の状況および前治療で用いられた薬剤を勘案して,AP 療法,TC 療法あるいは単剤療法を提案する。
C1
CQ29 切除不能または残存病巣を有する進行癌,腟断端以外の再発癌に対して放射線治療は奨められるか?
  1. 切除不能または残存病巣を有する進行癌に対し,局所制御あるいは症状緩和を目的として考慮する。
C1
  1. 腟断端以外の再発癌に対し,局所制御あるいは症状緩和を目的として考慮する。
C1
CQ30 進行・再発癌に対してホルモン療法は奨められるか? 黄体ホルモン療法は,類内膜癌G1 あるいはエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体陽性の進行・再発癌に対し考慮する。 C1

第6章 妊孕性温存療法(子宮内膜異型増殖症または類内膜癌G1相当)

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ31 子宮内膜異型増殖症または類内膜癌G1 相当で妊孕性温存を希望する場合の治療は?
  1. 子宮内膜異型増殖症には黄体ホルモン療法を提案する。
C1
  1. 子宮内膜に限局した類内膜癌G1 相当の症例には黄体ホルモン療法を提案する。
C1
CQ32 妊孕性温存療法後の経過観察の間隔と検査は? 3 カ月に一度の子宮内膜組織検査や経腟超音波断層法検査を行うことを提案する。 C1
CQ33 妊孕性温存療法施行時の病変遺残例あるいは再発例に推奨される治療法は?
  1. 子宮全摘出術を奨める。
B
  1. 再発例で妊孕性温存を強く希望する場合には,厳重な管理のもとに再度の黄体ホルモン療法を考慮する。
C1
CQ34 妊孕性温存例に対して排卵誘発を行ってもよいか? 妊娠成立のために必要な排卵誘発を考慮する。 C1

第7章 癌肉腫・肉腫の治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ35 子宮癌肉腫に対して推奨される手術術式は?
  1. 子宮体癌に準じて子宮全摘出術および両側付属器摘出術を奨める。
B
  1. 上記術式に加えて,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清(生検),大網切除術を行うことを提案する。
C1
CQ36 子宮癌肉腫に対して推奨される術後治療は?
  1. 術後化学療法を選択する場合は,イホスファミド,プラチナ製剤,パクリタキセルなどを含む治療を提案する。
C1
  1. 放射線治療(全骨盤照射)も提案できる。
C1
CQ37 子宮癌肉腫の進行・再発例に対する治療法は?
  1. 進行例に対しては,子宮全摘出術と可及的腫瘍減量術が可能であれば,手術療法を提案する。
C1
  1. 進行・再発例の化学療法としては,イホスファミド,プラチナ製剤,パクリタキセルなどを含む薬剤を提案する。
C1
  1. 孤発再発例で完全切除が可能であれば,手術療法を提案する。
C1
CQ38 子宮平滑筋肉腫に対して推奨される手術術式と術後治療は?
  1. 腹式単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を含めた完全摘出を目的とした手術を奨める。
B
  1. 追加治療が必要と考えられる場合には,化学療法を提案する。
C1
CQ39 子宮内膜間質肉腫に対して推奨される手術術式と術後治療は?
  1. 腹式単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を奨める。
B
  1. 骨盤・傍大動脈リンパ節郭清(生検)や腫瘍減量術も提案する。
C1
  1. Ⅰ期の低異型度子宮内膜間質肉腫では術後治療を奨めない。
D
  1. 未分化子宮肉腫・高異型度子宮内膜間質肉腫に対して追加治療が必要と考えられる場合には,化学療法を提案する。
C1
CQ40 子宮平滑筋肉腫・子宮内膜間質肉腫の切除不能進行例や再発例に対して推奨される治療法は?
  1. 再発例で完全切除が可能な場合は手術療法を提案する。
C1
  1. 化学療法も考慮する。
C1
  1. 低異型度子宮内膜間質肉腫ではホルモン療法を提案する。
C1
  1. 症状緩和を目的とする放射線治療も考慮する。
C1

第8章 絨毛性疾患の治療

総説

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ41 侵入奇胎,臨床的侵入奇胎,および奇胎後hCG 存続症に対して推奨される化学療法は? メトトレキサートあるいはアクチノマイシンD による単剤療法を奨める。 B
CQ42 絨毛癌に対して推奨される化学療法は? メトトレキサート,アクチノマイシンD,エトポシドを含む多剤併用療法を奨める。 B
CQ43 絨毛癌に対する手術療法の適応は?
  1. 化学療法抵抗性の子宮病巣や転移病巣に対して,手術療法を提案する。
C1
  1. 出血の制御が困難な子宮病巣,あるいは脳圧亢進症状を伴う脳転移に対しては,手術療法を提案する。
C1
CQ44 絨毛癌に対して放射線治療は有用か? 脳転移例に対しては,適応を慎重に検討し放射線治療を提案する。 C1
CQ45 PSTT,ETT に対して推奨される治療法は?
  1. 病巣が子宮に限局した症例に対しては,子宮全摘出術を提案する。
C1
  1. 転移のある症例では,子宮全摘出術を含む手術療法および化学療法の併用を提案する。
C1
CQ46 hCG 低単位持続例の取り扱いは?
  1. 病巣検索およびreal hCG であることの確認を奨める。
B
  1. 検索の結果,病巣を認めず,低単位real hCG が長期間にわたり持続する場合,厳重な経過観察を提案する。
C1