クリニカルクエスチョン・推奨一覧

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第1章 診断

まえがき

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1-1 インスリノーマを疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

空腹時の低血糖発作が主要な症状である。
自律神経症状,中枢神経症状がみられる。自律神経機能障害がある場合や,低血糖発作を繰り返す場合は自律神経症状を欠くことがある。また,低血糖症状が自覚されず,非典型的な症状(痙攣発作,認知症など)が初発症状のことがある。

2.検査

下記のステップで低血糖の鑑別診断を行うことが推奨される(アルゴリズム 1 インスリノーマの診断を参照)(合意率 100%)。確定診断は,72 時間絶食試験や混合食試験が推奨される(合意率 100%)。

A
A
局在診断のため,US,CT,MRI,EUS-FNA などの検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2,遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照(合意率 100%)。 A
画像検査で局在が確定診断できない場合にはカルシウム溶液を用いるSASI テスト(COLUMN❷参照)が推奨される(合意率 100%)。 A
COLUMN 1 ❶慢性反復性低血糖の非典型的な症状
COLUMN 2 ❷SASI テスト
COLUMN 3 ❸Non-insulinoma pancreatogenous hypoglycemia syndromes(NIPHS)/成人型 nesidioblastosis
CQ1-2 ガストリノーマを疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

胃酸過剰分泌による消化性潰瘍や逆流性食道炎による症状(腹痛,出血,胸やけ)と膵酵素不活性化による下痢がある。潰瘍は治りにくく,再発しやすい。多発性潰瘍,十二指腸下行脚以降の潰瘍,穿孔もみられる。

2.検査

①空腹時血清ガストリン値と,②胃液pH 測定(胃酸分泌測定検査もしくは24 時間胃内 pH モニタリング)が必須である(合意率 100%)。カルシウム静注試験が有用である(合意率 100%)。MEN 1の合併の診断のために,血中補正カルシウム値とインタクトPTH の測定が推奨される(合意率 100%)。

B
B
A
局在診断のために,MRI,CT,US,内視鏡,EUS-FNA,SASI テスト,SRS などの検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2,遠隔転移に関しては診断 CQ4,SASI テストに関してはCOLUMN❷を参照)(合意率 100%)。 A
CQ1-3 グルカゴノーマを疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

耐糖能異常や糖尿病,体重減少,遊走性壊死性紅斑,貧血,静脈血栓症,精神神経症状がみられる。

2.検査

血漿グルカゴン濃度の測定,血清アルブミン測定,アミノ酸分画測定が推奨される(合意率 100%)。

B
局在診断のためには各種画像検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2, 遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。 A
COLUMN 4 ❹グルカゴン測定法
CQ1-4 VIP 産生腫瘍(VIP オーマ)を疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

大量の水様性下痢と低カリウム血症,低クロール血症,代謝性アシドーシスなどである。また, 低カリウム血症や脱水による疲労感,筋力低下,息切れ,筋肉の痙攣,こむら返り,その他に嘔気,嘔吐,顔面紅潮や高血糖,高カルシウム血症,低マグネシウム血症がある。

2.検査

血漿VIP 濃度測定は有用であるが,現在国内での測定は不可能である。鑑別診断には便のosmotic gap の測定が有用である(合意率 100%)。

B
局在診断のためには各種画像検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2,遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。 A
CQ1-5 ソマトスタチノーマを疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

体重減少や腹痛のほか,糖尿病,胆石症,脂肪便,下痢,低酸症,貧血などを呈する。無症状の場合も多い。

2.検査

血漿ソマトスタチン濃度測定が推奨されるが,国内での測定は現在不可能であるため,臨床的な判断や生検組織の病理所見で診断を行う(合意率 100%)。

B
局在診断のためには各種画像検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2,遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。 A
CQ1-6 カルチノイド症候群の症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

皮膚紅潮(発汗を伴わない),下痢,ペラグラ症状(rough scaly skin,舌炎,口角炎),精神症状(混迷など),心不全(特に右心不全),気管支攣縮,腹腔内の線維症などを同時性,異時性に呈する。

2.検査

セロトニンの代謝産物である5-HIAA の尿中排泄量(24 時間蓄尿)の測定が推奨される(合意率 100%)。

B
局在診断のためには各種画像検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(画像診断に関しては診断 CQ2,遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。 A
COLUMN 5 ❺カルチノイドクリーゼ
CQ2 非機能性膵NEN を疑う症状は何か,次に推奨される検査は何か?
1.症状

症状としては,特異的なものはない。

2.検査

診断のためには各種画像検査が推奨される。鑑別診断のために組織診または細胞診などの病理診断の施行が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。

A
CQ3 消化管NEN の内視鏡所見の特徴は何か,次に推奨される検査は何か?
1.特徴

消化管NET の特徴的内視鏡所見は,類円形の粘膜下腫瘍様隆起であり,増大すれば中心陥凹や潰瘍形成を伴う。消化管NEC は進行癌の形態をとる場合が多い。

2.検査

内視鏡検査の次に推奨される検査は,内視鏡下生検,EUS-FNA である。遠隔転移除外のために各種画像検査が推奨される。症例ごとに必要な検査を検討し実施する(遠隔転移に関しては診断 CQ4 を参照)(合意率 100%)。

A
CQ4 NEN の転移の検索に推奨される画像検査は何か? US, CT, MRI, FDG-PET/CT, SRS が推奨される。状況に応じて適切な検査を選択し施行する(合意率 100%)。 A

第2章 病理

まえがき

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 膵・消化管NEN の病理診断を得るために推奨される方法は何か? 膵・消化管NEN の病理診断として,生検診断が推奨される(合意率 90%)。膵NEN に対する生検方法としては,EUS-FNA が推奨される(合意率 90%)。消化管NEN に対しては通常の内視鏡下生検で診断可能である(合意率 90%)。
同時性に肝転移を有する場合は,肝腫瘍生検からの診断も可能である。増悪時には Ki-67 指数が上昇しgrade が原発巣と異なる場合があり,増悪時の治療選択にあたっては再生検も考慮される。
B
C1
B
CQ2-1 病理組織診断書に記載することが推奨される項目は何か? NEN の発生した臓器名,組織形態的および免疫組織化学的な所見,WHO 分類(NET G1~3,NEC),Ki-67 指数やTNM 分類を記載する(合意率 100%)。
【推奨される記載項目】
①採取部位,②採取法,③肉眼所見:腫瘍の局在,大きさ,形態(結節型,浸潤型など),④組織型分類:NET G1~3,NEC(小細胞型,大細胞型),MiNEN,⑤細胞増殖動態:核分裂像指数,Ki-67 指数(絶対値を記載),⑥免疫染色像:神経内分泌マーカー(クロモグラニン A,シナプトフィジン),各種ホルモン(インスリン,グルカゴン,ソマトスタチンなど),⑥進展様式・間質量,二次変性(線維化,嚢胞変性,石灰化,壊死など),⑦脈管侵襲(リンパ管侵襲,静脈侵襲),⑧神経浸潤,⑨主膵管内進展(膵NEN の場合),⑩局所進展:T 分類,⑪リンパ節転移:N 分類,⑫遠隔転移の有無:M 分類,⑬切除断端:腫瘍露出の有無,断端までの距離,⑭その他:多発病変の有無,SSTR2 の発現
A
CQ2-2 NEN の主な病理所見は何か? 膵NET の多くは境界明瞭な髄様性腫瘤を形成し,消化管NET は粘膜深部から粘膜下に境界明瞭な腫瘤を形成する。組織学的には神経内分泌分化を示唆する類器官構造パターン(索状,胞巣状,偽腺管状など)を示し(高分化),富血管性(多血性)腫瘍の様相を呈する(図1)(合意率 100%)。 A
NEC は浸潤性の境界不明瞭な広がりを示し,しばしば壊死を伴う。組織学的に小細胞型はN/C 比の高い異型細胞の索状~びまん性浸潤からなり,類器官構造は不明瞭となる(低分化)(図1)。大細胞型は大型な核と広めの細胞質を有する類円形~多稜形細胞の大型胞巣状~充実性の増殖からなる(合意率 100%)。 A
CQ3 病理組織標本の取り扱い方法として何が推奨されるか? 検体採取後は直ちに固定する(合意率 100%)。固定には 10%中性緩衝ホルマリンを使用する(合意率 100%)。固定には十分な固定液を使用し,1 週間を超える長期間の固定は避ける(合意率 100%)。作製されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)は冷暗所で保存し,可及的に新しい検体を検査に使用する(合意率 100%)。核酸をFFPE から抽出する薄切の際は,検体ごとにミクロトーム刃を交換し,コンタミネーションを避ける(合意率 100%)。 A
A
A
A
A
CQ4-1 術中迅速検体の取り扱い方法は? 検体は,固定液や生食水に浸漬せず,乾燥しないように注意し速やかに病理検査室に提出する(合意率 100%)。病理組織学的な評価はHE 染色を基本とする(合意率 100%)。 A
A
CQ4-2 術中迅速診断の目的は何か? 1)腫瘍部が採取されているか否かの確認(合意率 100% B
2)切除断端が肉眼的に病変に近接している場合の断端評価(合意率 100% B
3)リンパ節転移や腹膜播種の有無,随伴病変の確認(合意率 100% B
CQ5 Ki-67 指数の推奨される測定法は? 1. Ki-67 染色を行った標本を鏡顕し,陽性細胞の頻度が最も高い部位を“hot spot”として同定する(合意率 100%)。 A
2. 陽性細胞 /陽性細胞+陰性細胞(検討した細胞の総数)を算出してKi-67 指数(パーセンテージ)を記載する(合意率 100%)。 A
CQ6 NET G3 とNEC の鑑別法は何か? NET G3 とNEC の鑑別は組織学的分化度によってなされる(合意率 90%)。

〈PanNET G3 とPanNEC の免疫組織学的および遺伝子学的所見の相違〉

文献 45 より抜粋,一部改変)
A
COLUMN 1 ❶MiNEN(mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm)
COLUMN 2 ❷遺伝性腫瘍症候群に合併するNET の特徴的な病理所見
COLUMN 3 ❸虫垂 goblet cell adenocarcinoma(GCA)

第3章 外科治療

まえがき

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 非機能性膵NET の手術適応と推奨される術式は何か? 原則として診断がついた全例に切除を行うことを推奨する(合意率 100%)。 術式は局在やリンパ節転移のリスクを考慮して,核出術(+リンパ節サンプリング)やリンパ節郭清を伴う膵切除術を選択する(合意率 100%)。 B
B
CQ2 インスリノーマの手術適応と推奨される術式は何か? インスリノーマと診断された場合は手術を推奨する(合意率 100%)。術式は核出術や膵部分切除術などの局所切除術を推奨する(合意率 100%)。悪性度が高く浸潤所見がある場合は,リンパ節郭清を伴う膵切除術を推奨する(合意率 100%)。 B
B
B
CQ3 膵および十二指腸ガストリノーマの手術適応と推奨される術式は何か? 膵および十二指腸ガストリノーマに対してはリンパ節郭清を伴う切除術が推奨される(合意率 100%)。 B
MEN1 に伴う膵,十二指腸ガストリノーマは異時性に多発するため,散発性と異なった治療方針が必要となる(MEN1/VHL CQ4 を参照,合意率 100%)。
CQ4 稀な機能性膵NET の手術適応と推奨される術式は何か? 治癒切除が可能な場合には,リンパ節郭清を伴う膵切除術が推奨される(合意率 100%)。治癒切除が不可能な場合には,症状の緩和目的で腫瘍減量手術が考慮され得る(合意率 100%)。 B
C1
CQ5 膵NET G3 および膵NEC の手術適応は何か? 膵NET G3 に対してはNET G1,NET G2 に準じ,肉眼的治癒切除可能であれば切除を行うことが推奨される(合意率 100%)。 C1
膵NEC の手術適応は明らかでない(合意率 100%)。 推奨なし
CQ6 食道NEN の切除適応と推奨される術式は何か? 病理診断を含む正確な治療前診断のもと,進行度や全身状態などを考慮して総合的に治療方法を判断する(合意率 100%)。
〈食道NET〉

〈食道NEC〉
C1
COLUMN 切除可能食道NEC に対して手術を行う場合,術前・術後の補助療法は推奨されるか?
CQ7 胃NET の手術適応と推奨される術式は何か?

Rindi 分類(内科・集学的治療 COLUMN❶参照)に応じた手術適応と術式選択が推奨される(合意率 100%)。
〈Rindi 分類に応じた術式選択〉
内視鏡的切除適応→内科・集学的治療 CQ1-1 を参照

MEN1/VHL CQ4 内科・集学的治療 CQ3
B
CQ8 ガストリノーマ以外の十二指腸 NET の手術適応と推奨される術式は何か?

1.非乳頭部NET は次の場合に手術が推奨される(合意率 100%)。
術式は,リンパ節郭清を伴う切除術が推奨される(合意率 100%)。

  • 腫瘍径が1 cm 以上の場合(1 cm 未満の場合は内視鏡的切除も考慮)
  • 固有筋層以深の腫瘍浸潤を伴う(疑う)場合
  • リンパ節転移を伴う(疑う)場合
  • 内視鏡的切除標本で切除断端陽性所見や脈管侵襲所見を認める場合
  • Ki-67 が高値の場合
B
B

2.乳頭部NET は基本的に手術が推奨される(合意率 100%)。
術式はリンパ節郭清を伴う切除術が推奨される(合意率 100%)。

十二指腸NET の内視鏡的切除適応については内科・集学的治療 CQ1-2 を参照。

B
B
CQ9 小腸NET の手術適応と推奨される術式は何か? 小腸NET は根治的切除が可能な場合,切除術が推奨される(合意率 100%)。 B
術式はリンパ節郭清を伴う小腸切除術が推奨される(合意率 100%)。 B
CQ10 虫垂NET の手術適応と推奨される術式は何か? 虫垂NET はすべて手術適応である(合意率 100%)。 B
①虫垂先端・体部に存在するもので,腫瘍径が2 cm 未満かつ脈管侵襲,NET G2 以上,虫垂間膜への浸潤のいずれもない場合は,虫垂切除術が推奨される(合意率 100%)。 B
②虫垂先端・体部に存在するもので,腫瘍径が2 cm 以上,あるいは2 cm 未満で脈管侵襲,NET G2 以上,虫垂間膜への浸潤のいずれかがあるまたは疑われる場合は,回盲部を含む切除術と領域リンパ節郭清が推奨される(合意率 100%)。 B
③虫垂根部に存在するものは,腫瘍径によらず,回盲部を含む切除術と領域リンパ節郭清が推奨される(合意率 100%)。 B
CQ11 結腸NET の手術適応と推奨される術式は何か?

結腸NET は以下の場合に,切除術が推奨される(合意率 100%)。

  • 腫瘍径が1 cm 以上,G2 以上,固有筋層浸潤または局所リンパ節転移のいずれかが疑われる場合
  • 内視鏡的切除標本において脈管侵襲,固有筋層浸潤,切除断端陽性またはG2 以上のいずれかが存在する場合
B
術式は,リンパ節郭清を伴う結腸切除術が推奨される(合意率 100%)。 B
CQ12 直腸NET の手術適応と推奨される術式は何か?

直腸NET は以下の場合に,切除術が推奨される(合意率 100%)。

  • 腫瘍径が1 cm 以上,G2 以上,固有筋層浸潤または局所リンパ節転移のいずれかが疑われる場合
  • 内視鏡的切除標本において追加治療要因のいずれかが存在する場合
B
術式は,リンパ節郭清を伴う直腸切除術 /直腸切断術が推奨される(合意率 100%)。 B
CQ13 食道以外の消化管NEC の手術適応と推奨される術式は何か? 手術適応は明らかでない(合意率 100%)。 推奨なし
手術を選択する場合は,リンパ節郭清を伴う根治的切除術を基本とし,集学的治療の一環として行うことを推奨する(合意率 100%)。 C1
COLUMN 1 ❶NEN における根治切除術後の経過観察法
COLUMN 2 ❷NEN に対する腹腔鏡手術の現状
COLUMN 3 ❸NEN における病理学的脈管侵襲の意義
COLUMN 4 ❹胆道に発生するNEN の病態と手術適応

第4章 内科・集学的治療

まえがき

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 消化管NET に対する内視鏡的切除の適応および推奨される手技は何か?
CQ1-1 胃NET に対する内視鏡的切除の適応および推奨される手技は何か? Rindi 分類Ⅰ型で腫瘍径1 cm 未満,かつ深達度が粘膜下層までにとどまる胃NET は経過観察または内視鏡的切除術を推奨する(合意率 100%)。Rindi 分類Ⅱ型で腫瘍径1 cm 未満,かつ深達度が粘膜下層までにとどまる胃NET は内視鏡的切除を推奨する(合意率 100%)。Rindi 分類Ⅲ型胃NET は基本的に内視鏡的切除の適応とはならない(合意率 100%)。 B
C1
C2
胃NET に対する内視鏡的切除術として推奨されるのは,吸引法,2 チャンネル法などの内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)である(合意率 100%)。 B
COLUMN 1 ❶Rindi 分類
CQ1-2 十二指腸NET に対する内視鏡的切除の適応および推奨される手技は何か? 十二指腸NET に対する内視鏡的切除術の有効性は確立していない。内視鏡的切除術としては内視鏡的粘膜切除術(EMR)が推奨される(合意率 100%)。十二指腸ガストリノーマに対しては内視鏡的治療は推奨されない(合意率 92%)。 C1
D
CQ1-3 直腸・結腸NET に対する内視鏡的切除の適応および推奨される手技は何か? 腫瘍径1 cm 未満,深達度が粘膜下層までにとどまる直腸NET は内視鏡的切除が推奨される(合意率 100%)。 B
内視鏡的切除術として,吸引法,2 チャンネル法などの内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD),経肛門的内視鏡下マイクロサージャリー(TEM)が推奨される(合意率 100%)。 B
結腸NET の内視鏡的切除は直腸NET に準じる(合意率 100%)。 C1
CQ2 膵・消化管NEN の内分泌症状に対して推奨される薬物療法は何か? 膵・消化管NEN の内分泌症状の治療にはソマトスタチンアナログなどの薬物療法が推奨される(合意率 100%)。 A
CQ3 同時性遠隔転移を伴う膵・消化管NEN に行われる治療法は何か? 同時性遠隔転移を伴う膵・消化管NEN に対しては集学的治療を行うことが推奨される(合意率 100%)。 B
治癒切除可能病変に対しては切除を中心とした集学的治療を行うことを推奨する(術前・術後補助療法については内科・集学的治療 CQ8 を参照)(合意率 100%)。 B
治癒切除不能病変に対しては各種モダリティを駆使した集学的治療を行うことを推奨する(内科・集学的治療 CQ5-1, 5-2 参照)(合意率 100%)。 B
膵・消化管NEC の手術適応は明らかでない(合意率 100%)。薬物療法が推奨される(合意率 100%)。 推奨なし
B
CQ4 膵・消化管NEN の再発病巣に行われる治療法は何か? 治癒切除可能病変に対しては切除を中心とした集学的治療を行うことを推奨する(術前・術後補助療法については内科・集学的治療 CQ8 を参照)(合意率 100%)。 B
治癒切除不能病変に対しては各種モダリティを駆使した集学的治療を行うことを推奨する(内科・集学的治療 CQ5-1, 5-2 参照)(合意率 100%)。 B
膵・消化管NEC の手術適応は明らかでない(合意率 100%)。薬物療法が推奨される(合意率 100%)。 推奨なし
B
CQ5 膵・消化管NET に対して推奨される抗腫瘍薬は何か?
CQ5-1 膵NET に対して推奨される抗腫瘍薬は何か? ソマトスタチンアナログ(ランレオチド),エベロリムス,スニチニブの使用が推奨される(合意率 100%)。ストレプトゾシンを用いた化学療法も選択肢の一つである(合意率 100%)。カペシタビン・テモゾロミド併用療法は有用な治療法の一つであるが,本邦では保険未承認である(合意率 100%)。 A
B
推奨なし
COLUMN 2 ❷カペシタビン+テモゾロミド療法
CQ5-2 消化管NET に対して推奨される抗腫瘍薬は何か? ソマトスタチンアナログ(オクトレオチドLAR・ランレオチド),エベロリムスの使用が推奨される(合意率 100%)。上記の薬剤が適応とならない場合には,ストレプトゾシンが選択肢となる(合意率 100%)。 A
C1
CQ6 膵・消化管NEC に対して推奨される抗腫瘍薬は何か? 小細胞肺癌の治療に用いるプラチナ系薬剤とエトポシドまたはイリノテカンの併用療法を推奨する(合意率 100%)。 C1
CQ7 膵・消化管NEN の切除不能肝転移に対して推奨される局所療法は何か? TAE/TACE は肝転移の局所治療として推奨される(合意率 100%)。また,切除不能の肝転移巣を有するが,腫瘍量が少ない場合には腫瘍焼灼術も選択できる(合意率 100%)。 C1
C1
CQ8 膵・消化管NEN に対して術前・術後の補助療法は推奨されるか? 膵・消化管NET に対する術前・術後の補助療法の有効性は明らかでない(合意率 100%)。 推奨なし
膵・消化管NEC に対して切除を施行した場合にはプラチナ系薬剤を用いた術後補助療法を行うことを推奨する(合意率 100%)。術前治療の有効性は明らかではな(合意率 100%)。 C1
推奨なし
CQ9 膵・消化管NEN に対して放射線治療は推奨されるか? 原発巣に対する外照射治療については,推奨できるだけの十分なエビデンスがない(合意率 100%)。 推奨なし
骨転移に対して疼痛緩和目的の外照射が推奨される(合意率 100%)。 A
COLUMN 3 ❸Peptide receptor radionuclide therapy(PRRT)

第5章 MEN1/VHL

まえがき

No. クリニカルクエスチョン 推奨 グレード
CQ1 どのような膵・消化管NET でMEN1/VHL を疑うべきか ?

下記の症例でMEN1/VHL を疑うことを推奨する。

  • 多発性膵NET(合意率 100%
B
  • 再発性膵NET(合意率 100%
B
  • ガストリノーマ(合意率 100%
B
  • 若年のインスリノーマ(合意率 86%
B
  • 高カルシウム血症の併発(合意率 100%
A
  • MEN1 およびVHL 関連腫瘍の存在と既往(合意率 100%
A
  • MEN1 およびVHL 関連腫瘍の家族歴(合意率 100%
A
CQ2 膵・消化管NET 患者に対して推奨されるMEN1/VHL のスクリーニング検査は何か ?
  • MEN1/VHL ともに,家族歴聴取が推奨される(合意率 100%)。
A
  • MEN1 では,原発性副甲状腺機能亢進症の検索(アルブミン補正血清カルシウム・血清リン・血漿インタクト PTH の同時測定)を実施する(合意率 100%)。さらに,下垂体腫瘍(血清プロラクチン・下垂体 MRI)を中心に関連病変の検索を進める(合意率 100%)。
A
A
  • VHL では既に病態が判明している場合が多く,スクリーニング検査として推奨されるものはない(合意率 86%)。
推奨なし
  • MEN1/VHL の遺伝学的検査についてはMEN1/VHL CQ6 を参照。
CQ3 MEN1/VHL を疑う場合に推奨される局在診断法は何か? MEN1/VHL では多発性の小さな膵NET を伴うことがあり,CT,MRI のほかにEUS,EUS-FNA を行うことが推奨される(合意率 100%)。 B
機能性膵・消化管NET が疑われる場合は SASI テストが推奨される(合意率 100%)。 B
ソマトスタチン受容体シンチグラフィが有効である場合がある(合意率 100%)。 C1
CQ4 MEN1/VHL に伴う膵・消化管NET の手術適応と推奨される術式は何か?
1.MEN1 に伴う膵・消化管NET
  • 多発性の小NET が多く,手術の適応と術式の決定には腫瘍の数と局在および内分泌症状の有無を考慮することが推奨される(合意率 100%)。
A
  • 機能性NET は外科的治療が推奨される(合意率 100%)。
A
  • 非機能性膵NET は腫瘍径2 cm 以上で手術を考慮する(合意率 100%)。
B
  • 膵切除術式は可能な限り膵機能を温存する術式を考慮する(合意率 86%)。
B
2.VHL に伴う膵・消化管 NET
  • 最大腫瘍径2 cm 以上かつ腫瘍のダブリングタイム(倍加時間)500 日以下を目安として切除適応を決定する(合意率 100%)。
B
  • 膵切除術式は可能な限り膵機能を温存する術式を考慮する(合意率 86%)。
B
CQ5 MEN1/VHL の膵・消化管 NET に推奨される経過観察法は何か? MEN1 症例においては少なくとも 1 年ごとに診察,CT またはMRI による画像検査,機能性NET を念頭においたホルモン測定が推奨される(合意率 86%)。
VHL についてはMEN1/VHL CQ4 を参照。
C1
CQ6 MEN1/VHL の遺伝学的検査は推奨されるか? 以下に示す臨床像もしくは家族歴を有する患者に対しては,遺伝学的検査を実施することが推奨される(合意率 100%)。

MEN1 遺伝学的検査

  • 副甲状腺機能亢進症もしくは下垂体腫瘍の合併
  • 膵・消化管 NET の多発
  • ガストリノーマ,特に十二指腸粘膜領域に発生した場合
  • 若年で発症したインスリノーマ
  • MEN1 もしくはMEN1 関連病変の家族歴

VHL 遺伝学的検査

  • 網膜血管腫,中枢神経血管芽腫,腎癌,褐色細胞腫,多発性膵嚢胞,精巣上体嚢胞腺腫,内耳リンパ嚢腫などの合併
  • VHL もしくはVHL 関連病変の家族歴
B
CQ7 膵・消化管NET は MEN1/VHL の予後因子か?
  • MEN1 の予後因子は膵・消化管NET と胸腺腫瘍である(合意率 100%)。
B
  • VHL の予後因子は腎癌である(合意率 100%)。
B
COLUMN 1 ❶MEN1/VHL 関連腫瘍の治療の優先順位について
COLUMN 2 ❷膵・消化管NET 未発症者に対するサーベイランス法
COLUMN 3 ❸遺伝学的検査の実施にあたって