診療ガイドライン

Ⅱ dMMR

2.1 がんとミスマッチ修復機能

DNA 複製の際に生じる相補的ではない塩基対合(ミスマッチ)を修復する(mismatch repair:MMR)機能は,ゲノム恒常性の維持に必須の機能である。MMR 機能が低下している状態をMMR deficient(dMMR),機能が保たれている状態をMMR proficient(pMMR)と表現する。MMR の機能欠損を評価する方法としてMSI 検査,MMR タンパクに対する免疫染色(immunohistochemistry:IHC),NGS による評価法がある(詳細は「2.4 dMMR 判定検査法」を参照)。MMR 機能の低下により,1 から数塩基の繰り返し配列(マイクロサテライト)の反復回数に変化が生じ,この現象をマイクロサテライト不安定性という。マイクロサテライト不安定性により,腫瘍抑制,細胞増殖,DNA 修復,アポトーシスなどに関与する遺伝子群に修復異常による変異が集積し,腫瘍発生,増殖に関与すると考えられている。マイクロサテライト不安定性が高頻度に認められる場合をMSI-High(MSI-H),低頻度に認められるまたは認められない場合をMSI-Low/Microsatellite Stable(MSI-L/MSS)と呼ぶ。

一部のがんでは,MMR 機能の低下が認められる。散発性のdMMR 固形がん(sporadic dMMR tumor)では,主にMLH1 遺伝子のプロモーター領域の後天的な高メチル化3)が原因となることが多い。主には,MMR 遺伝子変異やプロモーター領域の異常メチル化による発現低下などが知られている。一方,先天的に,MLH1,MSH2,MSH6,PMS2 遺伝子の病的バリアントや,MSH2 遺伝子の上流に隣接するEPCAM 遺伝子の欠失4-6)が片アリルに認められる場合をリンチ症候群と呼び,dMMR に起因して発生する腫瘍をリンチ症候群関連腫瘍(Lynch-associated tumor)(「3.リンチ症候群」参照78))と呼ぶ。稀な疾患としてMMR 遺伝子の両アレルに先天的な病的バリアントを認める先天性ミスマッチ修復遺伝子異常症(constitutional mismatch repair deficiency:CMMRD)も報告されており,小児期より大腸がんあるいは小腸がんを発症することが知られている9)。消化器がん以外の合併,特に脳腫瘍の発症頻度が高く,髄芽腫や高悪性度グリオーマを生じるTurcot 症候群として知られている。また,CMMRD には,急性白血病の発症も知られている。

2.2 dMMR 固形がんのがん種別頻度

dMMR 固形がんは様々な臓器に認められ,その頻度は,人種,がん種,病期,遺伝性か散発性かにより大きく異なる。MSI 検査またはIHC 検査(検査法については「2.4 dMMR 判定検査法」参照)によるdMMR 固形がんの頻度は,対象集団や検査法の違いも含め報告によってばらつきが大きく,特にdMMR の頻度が低い固形がんでは実態が把握できていないのが現状である。

また,NGS 法を用いた(検査法については「2.4 dMMR 判定検査法」参照)臓器横断的なdMMR 固形がんの頻度について報告が複数ある。32 種類の固形がん,12,019 例を対象とした頻度が高かった11 のがん種の合計で,MSI-H はStageⅠ-Ⅲで約10%,Stage Ⅳで約5%に認められている(図2-110)。また,スローンケタリング記念がんセンター(MSKCC)で腫瘍部と正常部のDNA をMSK-IMPACT でシーケンスを行っており,dMMR の判定をMSIsensor という,腫瘍部と正常部ペアで比較して検出された不安定なマイクロサテライト領域の割合をcumulative score として報告するコンピュータによる解析アルゴリズムを用いて行っている。このアルゴリズムではMSIsensor score 10 点以上がMSI-H,3 点以上10 点未満がindeterminate(MSI-I),3 点未満をmicrosatellite stable(MSS)としている。50 種以上の固形がん,15,045 例を対象とした解析では,MSI-H/MSI-I とリンチ症候群関連腫瘍の頻度が表2-1 の通り報告されている11)

図2-1 NGS 検査によるMSI-H 固形がん種別頻度10)

2.3 dMMR 固形がんの臨床像

18 種類のdMMR 固形がん(5,930 のがんエクソーム)での検討では,マイクロサテライトの状態と予後との関連性は低かったと報告されている12)。その他にも様々ながんにおいてdMMR 固形がんでの予後解析は行われているが,予後との関連性は未だ明確になっていない。

以下にdMMR 固形がんの臨床像を各がん種別に記載する。

表2-1 がん種別MSI-H,リンチ症候群頻度11)

2.3.1 dMMR 消化管がんの臨床像(表2-2

大腸がん全体におけるdMMR の頻度は欧米では13%13),本邦では6-7%1415)であるものの,Stage Ⅳではその頻度は低く,本邦では1.9-3.7%とされている1617)。dMMR 大腸がんの中でリンチ症候群が約20-30%,散発性が約70-80%を占め,ともにpMMR 大腸がんに比べて右側結腸に好発し,低分化腺がんの割合が高い。予後との関連については,StageⅡでは予後良好,治癒切除不能例では予後不良と報告されている。また,dMMR 大腸がんの35-43%にBRAF V600E 遺伝子変異を認めるが18),リンチ症候群関連大腸がんはdMMR を示しても,BRAF V600E遺伝子変異を認めることは稀である3)表2-2,詳細は「大腸癌治療ガイドライン2019 年版(大腸癌研究会)」「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016 年版(大腸癌研究会)」「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス第4.1 版(日本臨床腫瘍学会)」を参照)。

胃がん全体におけるdMMR の頻度は欧米では約20-25%,アジア諸国では約8-19%と高い19)。高齢女性に多く,遠位部の腸型腺癌が多く,リンパ節転移やTP53 変異は稀とされている20)。MSI-H 胃がんではMSI-L/MSS 胃がんと比較し予後良好であることが報告されている(HR 0.76)21)

小腸がん全体におけるdMMR の頻度は5-45%と報告されており,比較的高頻度である22)

食道がんについては報告が少なく,頻度や予後について定まった見解は得られていない。

表2-2 dMMR 大腸がんの臨床的特徴

2.3.2 dMMR 肝胆膵がんの臨床像(表2-3

肝胆膵がんでは,dMMR を呈する頻度が少なく,まとまった報告も限られている。肝細胞がんでは,dMMR の頻度が1-3%で,進行がんのみならず,早期がんでも認められる5)。また,悪性度が高く,再発までの期間が短いことが報告されている23)。胆道がんでは散発性のMSI-H の頻度が1.3%という報告がある24)。若年での発症が多く24),早期がんや進行がんともに認められる25)。また,MSS と比べて,予後良好との報告26)や,予後は変わらないとの報告25)があり,一定の見解が得られていない。

表2-3 dMMR 肝胆膵がんの臨床的特徴

膵がんにおけるdMMR を呈する頻度は本邦から13%27)との報告があるが,近年の海外からの報告では0.8-1.3%28-31)あり,1%前後と考えられている。予後は良好との報告が散見され2930),免疫チェックポイント阻害薬が奏効しやすい30)と言われている。また,術後補助療法の施行群と未施行群で再発までの期間が変わらなかったという報告32)や,低分化で,KRAS野生型が高率であったという報告27)もあるが,まだその臨床的意義は明らかではない。

2.3.3 dMMR 婦人科がんの臨床像(表2-4

dMMR を示す婦人科がんの種類としては,子宮内膜がんが最も多い。一般集団の子宮内膜がんの生涯リスクは3%であるがリンチ症候群では27-71%であり33),内膜がんにおいてはdMMR の頻度は20-30%,そのうちMMR 遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントが見つかる症例が約5-20%,散発性が約80-90%である3435)。リンチ症候群関連婦人科がんと散発性婦人科がんの臨床的特徴を比較すると表2-4 のようになる。173 例の子宮内膜がんにおける解析では,pMMR と比較し,dMMR では無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)および全生存期間(overall survival:OS)が不良である傾向が認められたものの(PFS:p=0.057,OS:p=0.076),リンチ症候群においては予後に関連性はなかった(PFS:p=0.357,OS:p=0.141)と報告されている36)

卵巣がんについては,一般集団における生涯発症リスクが1.5%であるのに対して,リンチ症候群では3-20%である333738)。最近の本邦の報告では,上皮性卵巣がん約2.6%にMMR遺伝子の病的バリアントを認めたと報告されている39)

なおリンチ症候群の発生リスクは遺伝子により異なり,MSH6 病的バリアント保持者では比較的子宮内膜がん発生リスクが高いことが知られている4041)

表2-4 dMMR 子宮内膜がんの臨床的特徴

42) 43)
2.3.4 dMMR 泌尿器がんの臨床像(表2-5

泌尿器科においてdMMR を示すがん種として,腎盂・尿管がんが最も多く,前立腺がん・胚細胞腫瘍・膀胱がんにおいても認められる。腎盂・尿管がんにおけるdMMR の頻度は5-11.3%と報告されている44)。dMMR を示す腎盂・尿管がんは,組織学的にはinverted growth pattern やlow stage という特徴が認められるが,腫瘍発生部位は特徴がない45)。リンチ症候群関連腎盂・尿管がんは,一般的な腎盂・尿管がんに比し,発症年齢が若く,女性の発症リスクが男性と同等レベルにまで増加する46)。また,リンチ症候群関連腎盂・尿管がんの半数以上はMSS/MSI-L であるという報告もある46)。リンチ症候群関連腫瘍としては,腎盂・尿管がん以外には前立腺がん,胚細胞腫瘍,膀胱がんが関連する可能性が報告されている44)。散発性dMMR 泌尿器科がんの臨床的特徴は不明である。

表2-5 dMMR 泌尿器科がんの臨床的特徴

2.4 dMMR 判定検査法

dMMR 判定検査には下記に示すMSI 検査,MMR タンパク質(MLH1,MSH2,MSH6,PMS2)に対する免疫染色(IHC)検査,NGS 検査がある。

2.4.1 MSI 検査

MSI 検査は,正常組織および腫瘍組織より得られたDNA からマイクロサテライト領域をPCR 法で増幅し,マイクロサテライト配列の反復回数を測定・比較判定する方法である。実際には,反復回数の違いをPCR 産物の長さの差として,電気泳動にて比較する。古典的なベセスダパネルを用いた方法では,5 つのマイクロサテライトマーカー(BAT25,BAT26,D5S346,D2S123,D17S250)の長さを腫瘍組織と正常組織で比較し,長さが異なる場合をMSI 陽性として,MSI 陽性が2 つ以上のマーカーで認められる場合をMSI-H,1 つのマーカーでのみ認められる場合をMSI-L(low-frequency MSI),いずれのマーカーにおいても認められない場合をMSS(microsatellite stable)と判定する。MSI-H では腫瘍におけるMMR 機能が欠損(dMMR),MSI-L/MSS では保持されている(pMMR)と判断する。ベセスダパネルは,1 塩基の繰り返しマーカーと比較しMSI の感度および特異度が劣ると報告されている2 塩基の繰り返しマーカーが3 つ含まれている。近年,dMMR 判定検査には,1 塩基の繰り返しマーカーのみで構成されるパネル(ペンタプレックスやMSI 検査キット(FALCO))が使用されることが多い。なお,多くのパネルに使用されている1 塩基の繰り返しマーカーであるBAT25,BAT26 はMSI の感度・特異度がともに高い47)

2018 年9 月,本邦において「MSI 検査キット(FALCO)」がペムブロリズマブのコンパニオン診断薬として薬事承認された。この検査キットには,1 塩基の繰り返しマーカーのみで構成されるパネル(BAT25,BAT26,MONO27,NR21,NR24)(表2-6)が用いられている。これらのマーカーは,準単型性を示し,それぞれのマーカーのQuasi-Monomorphic Variation Range(QMVR)は人種によらず一定の範囲になる(表2-748)。MSI 検査キット(FALCO)では正常組織のマイクロサテライトマーカーの長さが各マーカーで平均値±3 塩基の範囲(QMVR)に収まることから,そのQMVR から外れるマーカーをMSI 陽性とすれば(図2-2),腫瘍組織のみでMSI を評価することが可能である。実際,多くの固形がんにおいて腫瘍組織のみを用いたMSI-H の判定と正常組織とのペアで測定したMSI-H の判定とが一致した。

表2-6 MSI 検査で使用されるマイクロサテライトマーカー

表2-7 健常日本人とアメリカ人の正常組織における各マーカーのQMVR48)

図2-2 マーカー(BAT26)の泳動波形例

大腸がんでは,MSI 検査とMMR タンパク質に対する免疫染色(IHC)検査(「2.4.2 MMR タンパク質免疫染色検査」参照)によるdMMR 判定の一致率は90%以上であることが報告されているが,大腸がん以外の固形がんにはやや一致率が低いものもある。その背景には,臓器により繰り返し配列異常の程度に違いがある可能性が指摘されており,大腸がんでは平均して6 塩基の違いが生じるのに対し(図2-3),他の固形がんでは3 塩基の移動しかみられない(図2-450)。MSI 検査キット(FALCO)では各マーカーで平均値±3 塩基のQMVR 幅を基準としマーカー評価を行うため,移動が少ない場合にはMSI 検査が偽陰性となる。脳腫瘍・尿管がん・子宮内膜がん・卵巣がん・胆管がん・乳がんではそのような偽陰性症例が報告されており,MSI 検査の判定に注意が必要である。特に腫瘍組織のみを用いたMSI 検査を実施する際には留意する必要がある。

図2-3 MSI-H の代表的な泳動波形例(大腸がん)

図2-4 注意が必要なMSI-H 泳動波形例(子宮内膜がん)

2.4.2 MMR タンパク質免疫染色検査

腫瘍組織におけるMMR タンパク質(MLH1,MSH2,MSH6,PMS2)の発現を免疫染色(IHC)検査によって調べ,dMMR かどうかを評価する。評価には内部陽性コントロール(例;大腸がんの場合には,非腫瘍組織における大腸粘膜の腺底部やリンパ濾胞の胚中心)を用いて染色の適切性を確認する。4 種類のタンパク質すべてが発現している場合はpMMR,1 つ以上のタンパク質発現が消失している場合をdMMR と判定する。MSI 検査ではなくIHC 検査を用いる利点として,発現消失を認めるタンパク質のパターンからdMMR の責任遺伝子の推定が可能である点が挙げられる。例えば,MSH6 はMSH2 としかヘテロダイマーを形成できないため,MSH2 遺伝子に異常があるとMSH6 がタンパク質として安定できず分解されるため同時に免疫染色での発現消失を認める。逆に,MSH2 はMSH6 以外にもMSH3 ともヘテロダイマーを形成することが可能であり,MSH6 遺伝子に異常があってもMSH2 の発現は保たれる。MLH1・PMS2 についても同様に,PMS2 はMLH1 としかヘテロダイマーを形成できないが,MLH1 はPMS2 以外のタンパク質ともヘテロダイマーを形成できる(図2-5)。多くは表2-8 のような染色パターンを示す。このパターンを示さない場合には染色の妥当性を検討し,判断に迷う場合にはMSI 検査等を追加することで総合的な判定を試みる。

また,MLH1/MSH2/MSH6/PMS2 の4 つのタンパク質を評価することが推奨されるが,検体量の問題等で難しいときにはMSH6 とPMS2 のみでスクリーニングすることも許容される51)

図2-5 MMR タンパク質 ヘテロダイマー形成パートナー

表2-8 MMR タンパク質に対する免疫染色パターンと疑われる責任遺伝子

2.4.3 NGS 検査

NGS 技術を用いたMMR 機能欠損の評価には,マイクロサテライト領域のみをターゲットとした方法と,包括的がんゲノムプロファイリングの一環としてMMR 機能の評価も行う方法に大別される。前者の例として,MSIplus パネルが報告されている52)。本法は,計18 個のマイクロサテライトマーカー領域の長さをNGS 技術を用いて測定するもので,33%以上のマーカーで不安定性を認める場合にMSI-H と診断される。

後者の例としては,FoundationOne® CDx がある。本法では包括的がんゲノムプロファイルの評価の一環として増幅された領域のうち,95 のイントロン領域のマイクロサテライトマーカーの長さの変動を評価し診断する。FoundationOne® CDx ではMSI 検査・IHC 検査と比較し97%の一致率であったと報告されている53)。その他,MSK-IMPACT を用いたMSIsensor アルゴリズム54)や全エクソーム塩基配列解析(whole exome sequencing:WES)を用いたMOSAIC アルゴリズム55)・MANTIS アルゴリズム56)等,検査するプロファイリング領域やそこに含まれるマイクロサテライトマーカーに対する過去のデータベース,アルゴリズムによりMSI-H の判定方法は異なる。

2.5 dMMR 固形がんに対する抗PD-1/PD-L1 抗体薬

PD-1(CD279)分子は,CD28 ファミリーに属する免疫抑制性補助シグナル受容体であり,1992 年に本庶らによってクローニングされた57)。その後,PD-1 は活性化したT 細胞・B 細胞および骨髄系細胞に発現し,そのリガンドとの結合により抗原特異的なT 細胞活性を抑制することから,末梢性免疫寛容に重要な役割を担う分子であることが明らかにされた。PD-1 のリガンドには,PD-L1(CD274,B7-H1)とPD-L2(CD273,B7-DC)がある。PD-1/PD-L1 経路はT 細胞免疫監視から逃れるためにがん細胞が利用する主な免疫制御機構で,様々な固形がんにおいて確認されている。

この経路を遮断するモノクローナル抗体薬として,抗PD-1 抗体薬(ペムブロリズマブ,ニボルマブ)および抗PD-L1 抗体薬(アテゾリズマブ,アベルマブ,デュルバルマブ)が実地臨床に導入されている。腫瘍微小環境中の腫瘍特異的細胞傷害性T リンパ球(cytotoxic T lymphocyte:CTL)を活性化させ,抗腫瘍免疫を再活性化することで抗腫瘍効果を発揮する薬剤である。従来の殺細胞性抗がん剤や分子標的薬とは異なる作用機序で抗腫瘍効果を発揮する。dMMR 固形がん以外では,2019 年2 月現在までにFDA で10 種類,本邦では8 種類の固形がんに対し承認を得て,実地臨床で使用されている。既報における各固形がんに対する抗PD-1/PD-L1 抗体薬の奏効割合をまとめると図2-6 のようになる。

図2-6 がん種別・試験毎の抗PD-1/PD-L1 抗体薬の奏効割合

dMMR 固形がんではMMR 機能欠損により高頻度にゲノムに変化が生じる。そのことでアミノ酸に変化を伴うタンパク質が合成されることがあり,その一部が抗原ペプチドとしてヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)により提示される。その新たな抗原をneoantigen と呼び,それらは非自己として認識されるために腫瘍組織におけるTh1/CTL が活性化される。一方でnegative feedback としてPD-1 等の免疫チェックポイント分子の発現が誘導される。このように,dMMR 固形がんでは免疫系が腫瘍制御機構に重要な役割を担っており,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の効果が期待できる。

大腸がんを含む全固形がんを対象にペムブロリズマブの有効性・安全性を探索する第Ⅱ相試験であるKEYNOTE-016 試験において,12 種類のdMMR 固形がん,86 症例の結果が報告されている58)。奏効割合(objective response rate:ORR)53%(95%CI 42-64%),完全奏効(complete response:CR)21%と良好な結果であった(図2-7)。無増悪生存期間(progression-free survival:PFS),全生存期間(overall survival:OS)ともに中央値に達しておらず,がん種による明らかな差は認めなかった58)

図2-7 KEYNOTE-016 試験に登録されたdMMR 固形がんにおけるペムブロリズマブの効果58)

さらに,dMMR 大腸がん患者を対象としたペムブロリズマブ療法の第Ⅱ相試験であるKEYNOTE-164 試験が,フッ化ピリミジン系薬,オキサリプラチンおよびイリノテカン塩酸塩水和物による化学療法歴を有する患者(コホートA)と1 レジメン以上の化学療法歴を有する患者(コホートB)の2 つのコホートで行われた。コホートA 61 名の治療成績はORR 28%(95%CI 17-41),PFS 中央値2.3 カ月(95%CI 2.1-8.1),OS 中央値未到達と良好であった。また,奏効期間(duration of response:DoR)は中央値未到達で,奏効が得られた患者の82%で6 カ月以上のDoR が得られていた59)。同様に,標準治療不応・不耐のdMMR 進行固形がんを対象としたペムブロリズマブ療法の第Ⅱ相試験KEYNOTE-158 試験では,94 例での治療成績として,ORR 37%(95%CI 28-48),PFS 中央値5.4 カ月(95%CI 3.7-10.0),OS 中央値13.4 カ月(95%CI 10.0-未到達)と良好な結果であり,がん種を問わず効果が示された。また,DoR は中央値未到達,奏効が得られた患者の51%で6 カ月以上のDoR が得られ,効果が持続することも合わせて示された60)

有害事象については,KEYNOTE-164 試験において57.4%に認められ,主な副作用(10%以上)は,関節痛(16.4%),悪心(14.8%),下痢(13.1%),無力症(11.5%),掻痒症(11.5%)であった59)。KEYNOTE-158 試験では61.7%に有害事象が認められ,主な副作用(10%以上)は,疲労(11.7%),掻痒症(11.7%)であった59)。さらに,MSI-H を有する固形がんに対してペムブロリズマブ適応追加承認時の有害事象発現頻度報告では(悪性黒色腫・非小細胞肺がん・古典的ホジキンリンパ腫・尿路上皮がん症例を含む),Grade 3 以上の有害事象が20.7%,1%以上で認められたものとして好中球減少症(2.9%),血小板減少症(1.3%),下痢(1.4%),肺臓炎(1.4%),倦怠感(1.3%)が報告されている。従来の抗悪性腫瘍薬と異なり,関節炎・悪心・倦怠感・搔痒症等の有害事象だけでなく,自己免疫疾患様の特有の免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)が出現することがあり,全身管理に注意する必要がある(詳細は「がん免疫療法ガイドライン」参照)。

3リンチ症候群

リンチ症候群は,MMR 遺伝子の生殖細胞系列における病的バリアントを原因とする常染色体優性遺伝性疾患である。欧米の報告では全大腸がんの2-4%と稀な疾患ではあるが,患者および家系内に大腸がん・子宮内膜がんをはじめ,様々な悪性腫瘍が発生する(表3-1)ことから,その診断は臨床的に重要である。

表3-1 リンチ症候群における関連腫瘍の累積発生率
(「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016 年版」より一部改変*)

リンチ症候群ではMMR 遺伝子の片方のアレルに生殖細胞系列の病的バリアントを有している。後天的にもう片方の野生型アレルに機能喪失型の変化(プロモーター領域のメチル化を含む)が加わることでMMR 機能が損なわれ,がん化に関与すると考えられる。

本邦では,臨床情報にてアムステルダム基準Ⅱ(別添表1)または改訂ベセスダガイドライン(別添表2)を満たした場合,第2 次スクリーニングとしてMSI 検査やIHC 検査が推奨されている(別添図1)。欧米ではリンチ症候群を疑う所見を考慮せずにすべて(あるいは70歳以下)の大腸がんや子宮内膜がんに対してMSI 検査やIHC 検査を実施する,ユニバーサル・スクリーニングが提唱されている。

MSI 検査,IHC 検査によりリンチ症候群が疑われた場合,確定診断としてMMR 遺伝子の遺伝学的検査を考慮する。遺伝学的検査を実施する場合には,検査の対象者(患者・血縁者)を適切に選別し,遺伝学的検査の前後に遺伝カウンセリングを行うことが推奨される。現在の遺伝学的検査では検出できないような遺伝子変化がある場合リンチ症候群と確定できない症例もあり,結果の解釈は慎重に行わなければならない。

備考;リンチ症候群ならびに遺伝性腫瘍に関する情報については,以下を参照のこと。
「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス 第4.1 版2019 年5 月」日本臨床腫瘍学会 編
「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016 年版」大腸癌研究会 編
「家族性非ポリポーシス大腸癌におけるマイクロサテライト不安定性検査の実施についての見解と要望(2007 年7 月5 日)」日本遺伝性腫瘍学会(旧 日本家族性腫瘍学会)
http://jsht.umin.jp/project/data/index.html
「遺伝性腫瘍e-Learning」ePrecision Medicine Japan
https://www.e-precisionmedicine.com/familial-tumors

注釈dMMR 判定検査でdMMR と判断された患者に対するBRAF 遺伝子検査の有用性

散発性大腸がんでdMMR を示す主な原因は,MLH1 遺伝子のプロモーター領域の後天的な異常メチル化であり,このようながんでは免疫染色でMLH1/PMS2 タンパク質の発現消失を認める。また,MSI-H を示す大腸がんの35-43%にBRAF V600E を認めるが18),リンチ症候群の大腸がんではMSI-H を示しても,BRAF V600E はほとんど認めない12)。したがって,大腸がん診療ではdMMR 判定検査でMSI-H またはMLH1/PMS2 発現消失を示した場合,BRAF V600E の有無を確認することで,リンチ症候群か散発性大腸がんであるのか鑑別の一助となる61)。ただし,PMS2 遺伝子が原因のリンチ症候群においては,発症した大腸がんの一部にBRAF V600E を認めることが報告されており注意が必要である。また,大腸がん以外の固形がんではBRAF V600E による鑑別の有用性は報告されていない。

注釈Constitutional Mismatch Repair Deficiency:CMMRD

MMR 遺伝子の両アレルに先天的に病的バリアントを認める(homozygous またはcompound heterozygous)先天性ミスマッチ修復遺伝子異常症(constitutional mismatch repair deficiency:CMMRD)は,小児がん素因(childhood cancer predisposition)となる。小児・思春期に,主として造血器・中枢神経・大腸の悪性腫瘍が発生する。神経線維腫症1 型(NF1)と類似した皮膚所見を呈することが多く鑑別を要する62)。1959 年にTurcot らが,家族性大腸ポリポーシスに脳腫瘍を合併した兄弟を報告したことから,大腸腫瘍と脳腫瘍を合併する症例をTurcot 症候群と呼び,CMMRD の中にはTurcot 症候群と診断されているケースもあると推測される。1999 年に,初めて分子遺伝学的にCMMRD が証明され,さらにそれらの患者の腫瘍の中にMSI-H を示すhypermutant が多く認められ,圧倒的に多くのneoantigen が発現していることが判明した。そして抗PD-1/PD-L1 抗体薬が有効なことが近年報告されている6364)

4クリニカルクエスチョン(CQ)

CQ1
dMMR 判定検査が推奨される患者

PubMed で“MSI or microsatellite instability or MMR or mismatch repair”,“neoplasm”,“tested or diagnos* or detect*”のキーワードで検索した。Cochrane Library も同等のキーワードで検索した。検索期間は1980年1月~2019年8月とし,PubMed から815 編,Cochrane Library から43 編が抽出され,それ以外にハンドサーチで1 編が追加された。一次スクリーニングで277 編の論文が抽出され,二次スクリーニングで260 編が抽出され,これらを対象に定性的システマチックレビューを行った。

CQ1-1
標準的な薬物療法を実施中,または標準的な治療が困難な固形がん患者に対して,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査は勧められるか?

標準的な薬物療法を実施中,または標準的な治療が困難な固形がん患者に対して,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査を強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:15,R:1,ECO:0,NR:0]

米国食品医薬局(FDA)は,ペムブロリズマブの5 つの臨床試験(KEYNOTE-016 試験,KEYNOTE-164 試験(コホートA),KEYNOTE-012 試験,KEYNOTE-028 試験,KEYNOTE-158 試験)のうち,化学療法後に増悪した進行・再発のdMMR 固形がん患者149 名の統合解析結果をもって,2017 年5 月23 日に大腸がんを含む標準治療抵抗性もしくは標準治療のないdMMR 固形がんに対してペムブロリズマブを承認した。本邦では,アップデートされたKEYNOTE-164 試験(コホートA),KEYNOTE-158 試験の結果(表4-1)をもとに,2018 年12 月21 日に承認された。

表4-1 KEYNOTE-164/158 試験におけるdMMR 固形がん種別奏効割合5960)

またdMMR 大腸がんを対象としたニボルマブ単剤療法またはニボルマブ+抗CTLA4 抗体薬イピリムマブ併用療法の試験(CheckMate-142 試験)では,ORR はそれぞれ31%,55%,PFS 中央値はそれぞれ未到達という良好な結果が報告されている6566)。治療効果はPD-L1 発現の程度やBRAF/KRAS 遺伝子変異の有無,リンチ症候群か否かに関わらず認められた。また,EORTC QLQ-C30 を用いた患者評価では,QOL や臨床症状の改善を認めた6566)。この結果をもとに2017 年8 月フルオロピリミジン・オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したdMMR 転移性大腸がんに対してニボルマブ単剤療法が,2018 年7 月にニボルマブ・イピリムマブ併用療法がFDA で承認された。抗PD-L1 抗体薬であるデュルバルマブにおいても,dMMR 大腸がんを対象とした第Ⅱ相試験,dMMR 固形がんを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験が行われ,ORR は大腸がんで22%,全体で23%と有効性が示された67)。その他にも症例報告や前向き第Ⅱ相試験のdMMR サブグループ解析などで,dMMR 固形がんに対する有効性が再現された。

dMMR 固形がんに対する抗PD-1/PD-L1 抗体薬の有効性は,化学療法歴のある患者を対象に示されていることから,現時点では1 次治療の治療選択肢とはならない。dMMR 判定検査法のturnaround time(TAT)を考慮すれば,原則としてdMMR 判定検査の結果を待つことなく,臓器別に確立された1 次治療(標準的な治療)を開始することが望ましいと考えられる。ただし,胃がんにおけるHER2 検査,大腸がんにおけるRAS/BRAF 検査など,臓器によっては腫瘍組織検体を用いた遺伝子検査の結果に基づいて,分子標的治療薬を用いた1 次治療が選択される。この場合には,これらの検査と同時にdMMR 判定検査を実施しておくことも,限られた腫瘍組織検体の活用および将来的な抗PD-1/PD-L1 抗体薬の治療機会を逃さないという観点から妥当であると考えられる。一方で,非小細胞肺がんでは,遺伝子検査に利用可能な腫瘍組織検体の量が限られる場合があり,EGFR,ALK やPD-L1 発現などdMMR 判定検査よりも重要度の高いバイオマーカーの検索が優先される。

また,dMMR 大腸がんではKEYNOTE-164 試験により,フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬,オキサリプラチンおよびイリノテカン塩酸塩水和物による化学療法歴を有する患者(コホートA)だけでなく,1 レジメン以上の化学療法歴を有する患者(コホートB)においても63 例での治療成績として,ORR 32%(95%CI 21-45),PFS 中央値4.1 カ月(95%CI 2.1-NR),OS 中央値未到達と良好な結果が報告されていることから,2 次治療以降でのペムブロリズマブの使用が考慮される。さらに,大腸がん1 次治療例を対象とした標準治療と抗PD-1/PD-L1 抗体薬を比較検証する第Ⅲ相試験も実施されており(KEYNOTE-177,COMMIT試験,CheckMate-8HW),本試験でdMMR 大腸がんに対する1 次治療での抗PD-1/PD-L1抗体薬の有効性が確認されれば,1 次治療開始前のdMMR 判定検査が望ましいであろう。

がん種や治療ライン毎の十分な症例数での報告ではないものの,dMMR 固形がんでは一貫して抗PD-1/PD-L1 抗体薬の有効性が確認されている。分子生物学的にもdMMR 固形がんでは共通して高い免疫原性が示唆されている。有害事象もしばしば生じる重篤な免疫関連有害事象への留意は必要であるものの,概ね忍容可能である。よって,有効性・安全性の観点から抗PD-1/PD-L1 抗体薬の臓器特異的な適応が得られていない固形がんを含めて,すべてのdMMR 固形がん患者に対して,抗PD-1/PD-L1 抗体薬は有力な治療選択肢となり得る。先の臨床試験は,標準的な薬物療法が困難(治療抵抗性,有害事象による不耐,患者の希望による未実施を含める)な患者が対象であった。がん増悪時に患者の全身状態が悪化する場合も多く,dMMR 判定検査のTAT を考慮すれば,早めにdMMR 判定検査を実施し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応の有無を判断しておくことが望ましい。

以上より,標準的な薬物療法を実施中,または標準的な治療が困難な固形がん患者に対して,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するために,dMMR 判定検査を強く推奨する。

CQ1-2
MMR 機能に関わらず抗PD-1/PD-L1 抗体薬が既に実地臨床で使用可能な切除不能固形がん患者に対し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査は勧められるか?

MMR 機能に関わらず抗PD-1/PD-L1 抗体薬が既に実地臨床で使用可能な切除不能固形がん患者に対し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査を考慮する。
推奨度Expert consensus opinion[SR:1,R:10,ECO:5,NR:0]

2019 年4 月時点で,抗PD-1 抗体薬および抗PD-L1 抗体薬として実地臨床で使用可能もしくは将来的に使用可能な見込みの固形がんは表4-2 の通りである。

表4-2 抗PD-1/PD-L1 抗体薬承認済みの固形がん
(カッコ内は2019 年7 月現在,承認申請済・未承認薬剤)

2 次治療以降でMMR 機能に関わらず抗PD-1/PD-L1 抗体薬の使用が可能である固形がんでは,MMR 機能によらず抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応が判断されることから原則としてdMMR 判定検査を実施する必要はないと考えられる。ただし,胃がんにおいては,マイクロサテライト不安定性の有無に関わらずニボルマブ療法が3 次治療以降での使用が推奨されているものの,dMMR に限っては2 次治療以降での使用がガイドラインで推奨されている68)。このように,MMR 機能によって,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の治療ラインが早まることが想定される場合には,dMMR 判定検査を実施することも考慮される。

また,PD-L1 発現等のdMMR 以外のバイオマーカーによって抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応が判断される固形がんでマーカーが陰性だった場合,図4-1 のようにdMMR であれば抗PD-1/PD-L1 抗体薬の有効性が期待できると考えられることから,dMMR 判定検査を実施することが推奨される。

【まとめ がん種別推奨】

図4-1 がん種別抗PD-1/PD-L1 抗体投与の適応を判断するためのdMMR 判定検査推奨


CQ1-3
局所治療で根治可能な固形がん患者に対し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査は勧められるか?

局所治療で根治可能な固形がん患者に対し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査を推奨しない。
推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:3,NR:13]

悪性黒色腫では,術後補助療法として抗PD-1 抗体薬の有効性が示され,薬事承認されている(KEYNOTE-054 試験69),ONO-4538-21 試験70))。さらに,非小細胞肺がんでは白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能な局所進行例(ステージⅢ)を対象とし,抗PD-L1 抗体薬デュルバルマブを逐次投与する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相試験であるPACIFIC 試験の結果,薬事承認されている71)。しかし,これらの試験ではMMR 機能による効果の差は報告されていないことから,治療前のdMMR 判定検査は原則不要である。また,それ以外の固形がんにおいては,周術期治療としての免疫チェックポイント阻害薬の有効性は確立されていないことから,局所療法で根治可能な場合には治療薬の選択のためのdMMR 判定検査は原則不要である。以上より,現時点では局所進行および転移が認められない固形がん患者に対し,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するために,dMMR 判定検査は推奨されない。

ただし,大腸がんでは,特にStageⅡ大腸がんにおいて,dMMR は予後良好因子であり,dMMR であればフルオロピリミジンによる補助化学療法が不要であるということが知られており,補助化学療法の実施の判断のために,dMMR 判定検査を行うことが望ましいとされている(詳細は「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス第4.1 版」参照)。さらに,現在Stage ⅢのdMMR 大腸がんに対して術後補助化学療法としてFOLFOX 療法とアテゾリズマブの併用療法の有効性を検証する試験(ATOMIC,Alliance A021502)が行われている。その他,多数の術前後の免疫チェックポイント阻害薬の有効性を検証する試験や,局所進行がんに対して放射線化学療法と併用する試験が行われており,良好な結果が得られれば局所治療で根治可能な固形がんに対してもdMMR 判定検査が必要となってくる。

CQ1-4
抗PD-1/PD-L1 抗体薬が既に使用された切除不能な固形がん患者に対し,再度抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR判定検査は勧められるか?

抗PD-1/PD-L1 抗体薬が既に使用された切除不能な固形がん患者に対し,再度抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査を推奨しない。
推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:3,NR:13]

一部の固形がんではMMR 機能に関わらず抗PD-1/PD-L1 抗体薬が薬事承認されている。既に抗PD-1/PD-L1 抗体薬が投与されている場合に,異なる抗PD-1/PD-L1 抗体薬を投与する際の効果は示されていない。よって,抗PD-1/PD-L1 抗体薬を投与する目的に,既に使用された固形がん患者に対しdMMR 判定検査は推奨しない。

CQ1-5
既にリンチ症候群と診断されている患者に発生した腫瘍の際,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査は勧められるか?

既にリンチ症候群と診断されている患者に発生した腫瘍の際,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判断するためにdMMR 判定検査を推奨する。
推奨度Recommendation[SR:10,R:6,ECO:0,NR:0]

リンチ症候群関連大腸がんでdMMR の頻度は80-90%72)と高いものの,リンチ症候群の患者で発生する腫瘍が必ずしもdMMR であるとは限らない。抗PD-1/PD-L1 抗体薬の有効性は,腫瘍のMMR 機能によって影響を受けることから,リンチ症候群の患者においてもpMMR の腫瘍には抗PD-1/PD-L1 抗体薬の効果は期待できないと考えられる。よって,リンチ症候群の患者に発生した腫瘍に対しても,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するための,dMMR 判定検査が推奨される。

CQ2
dMMR 判定検査法

PubMed で“MSI or microsatellite instability or MMR or mismatch repair”,“neoplasm”,“IHC or immunohistochemistry”,“PCR or polymerase chain reaction”,“NGS or next generation sequencer”のキーワードで検索した。Cochrane Library も同等のキーワードで検索した。検索期間は1980 年1 月~2019 年8 月とし,PubMed から817 編,Cochrane Library から74 編が抽出された。一次スクリーニングで519 編の論文が抽出され,二次スクリーニングで421 編が抽出され,これらを対象に定性的システマチックレビューを行った。

CQ2-1
抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,MSI検査は勧められるか?

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,MSI 検査を強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:16,R:0,ECO:0,NR:0]

KEYNOTE の5 つの試験(KEYNOTE-016 試験,KEYNOTE-164 試験(コホートA),KEYNOTE-012 試験,KEYNOTE-028 試験,KEYNOTE-158 試験)のdMMR 症例の統合解析では,各施設の判定においてIHC 検査またはMSI 検査でdMMR と判定された患者が登録され,ペムブロリズマブの良好な抗腫瘍効果が示されている。149 名のうち,60 名がMSI 検査のみ,47 名がIHC 検査のみ,42 名が両方の検査でdMMR と判定されている73)。そのうち,14 名のみが中央検査施設でのMSI 検査によりMSI-H と確定されている。また,dMMR と判定された大腸がん患者を対象としたニボルマブ療法の第Ⅱ相試験(CheckMate-142 試験)でも,各施設でのIHC 検査またはMSI 検査でdMMR と判定された患者が登録され,ニボルマブの有効性が示されている65)。以上より,がん種による違いが存在する可能性はあるものの,少なくともIHC 検査またはMSI 検査のいずれかによりdMMR と判定されれば,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の投与の適応となり得ると考えられる。

本邦では2018 年9 月,「MSI 検査キット(FALCO)」がペムブロリズマブのコンパニオン診断薬として薬事承認されており,国内のどの施設からも本検査をオーダーすることが可能であり,検査は質保証された検査機関で実施される。また,本検査キットは組織全体に占める腫瘍部位の割合が40%以上の場合には,腫瘍組織のみでもMSI status 判定が可能であり,利便性も高い48)。以上より,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,MSI 検査は強く推奨される。

CQ2-2
抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,IHC検査は勧められるか?

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,IHC 検査を推奨する。
推奨度Recommendation[SR:10,R:6,ECO:0,NR:0]

先に述べたように,KEYNOTE の5 つの試験の統合解析,CheckMate-142 試験ともに各施設でのIHC 検査またはMSI 検査でdMMR と診断された患者を対象とし,免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されており,両試験においてIHC 検査においてのみdMMR と判定された患者においても抗PD-1 抗体薬の有効性が示されている。実際,CheckMate-142 試験では,MSI 検査(ベセスダパネルに用いられている5 つのマーカーとTGF-beta receptor type-2)による中央判定を行っているが,各施設ではIHC 検査によりdMMR と判定された74 例中のうち14 例がNon MSI-H と判定された。しかし,14 例のうち3 例(21%)で奏効が得られており65),結果が一致せずどちらか一方のみでdMMR と診断されている場合でも,免疫チェックポイント阻害薬による抗腫瘍効果は期待できると考えられる。IHC 検査はMSI 検査やNGS 検査と比較して安価に各医療機関で実施することが可能である。ただし,2019 年3 月時点では国内で体外診断薬医薬品として承認されたIHC 用抗体薬はないこと,抗体の種類や染色条件による違いや判定法が十分に確立されていないなど,いくつかの課題がある。以上より,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,IHC 検査は推奨される(ただし,2019 年7 月時点では国内で体外診断薬医薬品として承認された抗体薬はない)。

MSI 検査とIHC 検査は,高い一致率が報告されている一方で,不一致例の存在も報告されている。その一例として,MMR 遺伝子の病的なミスセンスバリアントがあげられる7475)。この場合,MMR 機能喪失したタンパク質が発現しているため,MSI 検査ではMSI-H を示しdMMR と判定されるが,IHC 検査ではMMR タンパクが検出され,pMMR(偽陰性)と判定される。dMMR であるこの腫瘍に対して抗PD-1/PD-L1 抗体薬の効果は期待できると想定される。このようなミスセンスバリアントはリンチ症候群の5%程度を占めると報告されている76)。また,MSI 検査の偽陰性としては,腫瘍細胞比が低い場合などが考えられる。実際,MSI 検査(FALCO)では50%以上の腫瘍細胞比が推奨されている。一方で,IHC 検査またはMSI 検査による陽性的中率は90.3%と報告されている77)。IHC 検査またはMSI 検査でdMMR 固形がんと診断され,抗PD-1/PD-L1 抗体薬を投与された症例のうち,奏効が得られなかった症例を再度MSI 検査とIHC 検査両方で評価すると60%がMSI-L/MSS/pMMR であったとの報告もある77)。抗PD-1/PD-L1 抗体薬による恩恵が受けられる患者を幅広く拾いあげるという観点から,両検査の特性を理解して検査を行う必要があり,偽陰性・偽陽性の理由が想定可能な場合や検査精度・結果に疑問が残る場合には,もう一方の検査を追加実施することを検討する。

CQ2-3
抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,NGS 検査は勧められるか?

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,分析学的妥当性が確立されたNGS 検査を推奨する。
推奨度Recommendation[SR:7,R:9,ECO:0,NR:0]

本邦において,2018 年12 月27 日,固形がん患者を対象とした腫瘍組織の包括的ながんゲノムプロファイルを取得する目的,および一部の分子標的治療薬の適応判定のため体細胞遺伝子異常を検出する目的でFoundationOne® CDx が製造販売承認された。FoundationOne® CDx にはNGS 法によるMSI 判定も付随していることから,それぞれのがん種毎に,関連学会の最新のガイドライン等に基づく検査対象および時期で,包括的がんゲノムプロファイリング検査と同時にMSI 検査(NGS 法)が実施される。ただし,2019 年7 月時点ではFoundationOne® CDx を用いたdMMR 判定は,コンパニオン診断薬として適用されていない。ただし,厚労省は「遺伝子パネル検査の保険適用に係る留意点について」内に,遺伝子パネル検査後のエキスパートパネルが,添付文書・ガイドライン・文献等を踏まえて「コンパニオン検査が存在する遺伝子の異常に係る医薬品投与が適切」と判断した場合には,当該コンパニオン検査を改めて行うことなく当該医薬品を投与してよいとしている。またFoundationOne® CDx 検査の実施には施設要件があることからも,NGS 法によるdMMR 判定は国内の限られた施設のみでしかアクセスできないと予想される。さらに,FoundationOne® CDx では一定程度のfailure rate があり,解析に必要なDNA 量も多いことから検査のfeasibility に課題がある。

ペムブロリズマブのFDA 承認申請に用いられたKEYNOTE の5 試験やCheckMate-142 試験では,dMMR のスクリーニング検査にNGS 検査は含まれていない。しかしながら,NGS 検査によるMMR 機能の判定とMSI 検査は,マイクロサテライトの反復回数を用いてdMMR かどうかを判定しているという点でその測定原理も類似し,また両者の一致率は,大腸がん99.4%,大腸がん以外の固形がん96.5%と極めて高いことが報告されている78)。さらに,不一致例を解析するとIHC 検査ではdMMR であり,NGS 検査がより有用であることも示唆されている。そのため,MSI 判定の分析学的妥当性が確立されたNGS 検査によってMSI-H と判定された患者に対し,コンパニオン診断薬MSI 検査(FALCO)やIHC 検査での再確認は科学的には不要である。以上より,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するためのdMMR 判定検査として,分析的妥当性が確立されたNGS 検査は推奨される。

注釈TMB/PD-L1 とMMR の関係

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の有効性に対するバイオマーカーとしてMSI-H,TMB-H(tumor mutation burden high),PD-1/PD-L1 タンパク発現が報告されている。

がん種により因子の割合は異なり,他因子とも交絡しうるものである。11,348 例の固形がんにおけるMSI(NGS 法),TMB,PD-L1 タンパク発現の関連を検証した報告では,がん種により頻度や交絡状況も様々である(図4-2表4-37879)。現時点では抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応症に記載のあるものとして,「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対するペムブロリズマブ(単独で投与する場合には,PD-L1 の発現が確認された患者に投与すること。PD-L1 を発現した腫瘍細胞が占める割合(TPS)について,「臨床成績」の項の内容を熟知すること。十分な経験を有する病理医又は検査施設において,承認された体外診断薬を用いること。)」,「がん化学療法後に増悪した進行・再発のMSI-H を有する固形がんに対するペムブロリズマブ」のみである。しかし,今後臨床試験が進み,新たな結果が得られることでバイオマーカー毎の適応症が拡大される可能性は十分ある。また,CheckMate-142 試験では,dMMR と判定された患者において,PD-L1 発現の有無とニボルマブの治療効果に相関を認めなかった65)ことから,PD-L1 発現陰性であったとしてもdMMR であれば抗PD-1/PD-L1 抗体薬の治療効果が期待できると考えられる。

以上より,抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応を判定するための検査としてTMB およびPD-1/PD-L1 検査は現時点では必須ではないが,今後抗PD-1/PD-L1 抗体薬の効果が期待できる患者をより選別することを目的に推奨される可能性は高い。

図4-2 MSI-H/TMB-H/PD-L1 status のがん種毎の関連性78)

表4-3 MSI-H/TMB-H/PD-L1 status のがん種毎の関連性79)

CQ2-4
免疫チェックポイント阻害薬は,免疫関連有害事象への十分な対応が可能な体制のもと投与するべきか?

免疫チェックポイント阻害薬は,免疫関連有害事象への十分な対応が可能な体制のもと投与することを強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:16,R:0,ECO:0,NR:0]

免疫チェックポイント阻害薬は,様々な免疫細胞において免疫を抑制する方向に働くco-inhibitory molecules をブロックすることで腫瘍免疫を活性化・持続させる薬剤である。殺細胞性抗がん剤や分子標的薬とは異なり,がん細胞自体に作用するのではなく,免疫細胞を活性化することで効果を示す。免疫細胞活性化によりirAE が出現することがあり,全身の管理が必要である。対応・処置が遅れることにより,致死的な状況になる可能性もあり,十分な対応が可能な体制で投与すべきである(それぞれの有害事象に対する対応は「がん免疫療法ガイドライン」,各がん種における対応は「最適使用推進ガイドライン」を含め参照)。

下記の条件を満たすことが推奨される(「最適使用推進ガイドライン」より抜粋)。

①施設について

厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院・特定機能病院・都道府県知事が指定するがん診療連携拠点病院等で,十分ながん薬物療法を含む治療経験のある医師がいること。

②院内の医薬品情報管理の体制について

医薬品情報管理に従事する専任者が配置され,製薬企業からの情報窓口,有効性・安全性等薬学的情報の管理及び医師等に対する情報提供,有害事象が発生した場合の報告業務,等が速やかに行われる体制が整っていること。

③副作用への対応について

重篤な副作用が発生した際に,24 時間診療体制のもと,発現した副作用に対し直ちに適切な診断と対応可能な体制が整っていること。irAE は多様であり,当該施設又は連携施設において各臓器・各病態に対する専門性を有する医師と連携できる体制が整っている必要がある。さらに,がん診療に携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者が副作用モニタリングを含めた苦痛のスクリーニングを行い主治医と情報を共有できるチーム医療体制が整備されていることが望ましい。

5参考資料

5.1 ミスマッチ修復機能欠損を有する固形がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の国内外の承認状況

(2019 年9 月時点)

本邦およびFDA での承認状況を以下に示す(表5-1表5-2)。

表5-1 本邦での承認状況

表5-2 FDA での承認状況

5.2 各ガイドラインでの推奨

5.2.1 NCCN ガイドライン

(2019 年7 月時点)

それぞれのがん種に対するガイドライン内での検査に対する推奨,抗PD-1/PD-L1 抗体薬に対する推奨,臓器特異的に抗PD-1/PD-L1 抗体薬が承認されているかを以下に示す(表5-3)。

表5-3 NCCN ガイドラインにおけるMSI 検査/IHC 検査推奨

5.2.2 ESMO ガイドライン
ESMO Consensus Guidelines for the Management of Patients with Metastatic Colorectal
Cancer
Recommendation:MSI testing

➢MSI testing in the metastatic disease setting can assist clinicians in genetic counselling.

➢MSI testing has strong predictive value for the use of immune check-point inhibitors in the treatment of patients with mCRC.

Pan-Asian Adapted ESMO Consensus Guidelines for the Management of Patients with Metastatic Colorectal Cancer
Recommendation:Tumour mismatch repair(MMR)testing

➢Immunohistochemistry(IHC)tests for MMR proteins or PCR tests for microsatellite instability(MSI)in the metastatic disease setting can assist clinicians in genetic counselling

➢Tumour MMR testing has strong predictive value for the use of immune check-point inhibitors in the treatment of patients with mCRC

ESMO recommendations on microsatellite instability testing for immunotherapy in cancer, and its relationship with PD-1/PD-L1 expression and tumour mutational burden:a systematic review-based approach
表5-4 Summary table of recommendations for MSI testing in the framework of immunotherapy and comments

5.2.3 国内ガイドラインでの記載

「大腸癌治療ガイドライン」「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス」,「産婦人科診療ガイドライン(外来編)」にリンチ症候群,スクリーニングについて記載あり(大腸癌関連ガイドラインには抗PD-1 抗体薬についても記載あり)。日本胃癌学会から「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する進行・再発胃癌/胃食道接合部癌治療に対するペムブロリズマブ単剤療法に関する日本胃癌学会ガイドライン委員会のコメント」が公開されている。「がん免疫療法ガイドライン」では免疫療法・irAE の管理・各がん種に対する(dMMR 固形がんも含む)免疫療法のエビデンスについて記載されている。

5.3 別添図表

別添表1 アムステルダム基準Ⅱ(1999)

別添表2 改訂ベセスダガイドライン(2004)

別添図1 リンチ症候群の診断手順
(「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016 年版」より一部改変)

Ⅲ NTRK(neurotrophic receptor tyrosine kinase)

6.1 NTRK とは(表6-1

がん遺伝子としてのNTRK1 遺伝子は1982 年Pulciani,Barbacid らにより,大腸がん組織を用いたgene transfer assay の中で発見され,OncB として報告された80)。現在ではNTRK 遺伝子ファミリーはNTRK1~3 までが知られている。NTRK1~3 はそれぞれ受容体型チロシンキナーゼであるtropomyosin receptor kinase(TRK)A,TRKB,TRKC をコードする。TRKA は神経系に発現し,neurotrophin nerve growth factor(NGF)が結合するとリン酸化される8182)。TRKB に対してはbrain-derived neurotrophic factor(BDNF)とNT-4,TRKC に対してNT-3 がそれぞれリガンドとして知られる。NT-3 は他のTRK にも結合するが,TRKC への親和性が最も高い。TRKA は疼痛や体温調整,TRKB は運動,記憶,感情,食欲,体重のコントロール,TRKC は固有感覚に影響する。TRK にリガンドが結合すると,細胞内チロシン残基の自己リン酸化が起こり,下流のPLC-γ経路,MAPK 経路,およびPI3K/AKT 経路などの活性化が起こり,細胞の分化,生存や増殖などが引き起こされる8384)

表6-1 NTRK 遺伝子

6.2 NTRK 遺伝子異常

NTRK 遺伝子変化には様々なものがあるが,悪性腫瘍の治療上重要なのはNTRK 遺伝子のミスセンスバリアントとNTRK 融合遺伝子である。

6.2.1 遺伝子バリアント,遺伝子増幅

NTRK 遺伝子バリアントは,大腸がん,肺がん,悪性黒色腫,急性白血病などで報告されているが,いずれもTRK キナーゼ活性はwild type と同程度かむしろ低下している(表6-285)。NTRK 遺伝子のミスセンスバリアントと悪性腫瘍発生との関連については確立されていないが,キナーゼ領域にかかわる遺伝子のミスセンスバリアントが認められると,TRK 阻害薬であるlarotrectinib やエヌトレクチニブの耐性となることが報告されている(図6-1)。一方,NTRK1 splice variant TRKAIII とinframe deletion mutant(ΔTRKA)が神経芽腫と急性骨髄性白血病で報告され,腫瘍原性が認められる8687)。NTRK 遺伝子と悪性腫瘍以外の疾患との関連については,遺伝性疾患である先天性無痛無汗症4 型でNTRK1 遺伝子に病的バリアントを有することが知られている。また,NTRK 遺伝子増幅は,乳がん,皮膚基底細胞がん,肺がん,神経芽腫などで報告されている。神経芽腫におけるTRKA,TRKC の発現は予後良好であることが報告されている88)が,現在のところ腫瘍原性や治療標的としての意義は確立されていない。

表6-2 NTRK 遺伝子変化(ミスセンスバリアント)とTRK キナーゼ活性

89) 90) 91)
図6-1 NTRK 遺伝子変化とTRK 阻害薬耐性85)

6.2.2 融合遺伝子

NTRK 融合遺伝子は多くのがん種において報告されている腫瘍原性の遺伝子変化である92)。クロモゾーム内あるいはクロモゾーム間での転座により,NTRK1~3 のキナーゼ部分を含む遺伝子の3’ 側と,パートナーとなる遺伝子(様々なものが報告されている)の5’ で融合遺伝子が形成される(図6-2)。これにより,リガンド非依存性にキナーゼの活性化を来すようになると,発がんに寄与すると考えられている。

図6-2 NTRK 融合遺伝子85165)

6.3 NTRK 融合遺伝子のがん種別頻度

NTRK 融合遺伝子は,幅広いがん種にわたって認められる(表6-393-96)。しかしその頻度は低く,TCGA データベース(n=9,966)での検討では,0.31%であった97)。その一方で,稀な疾患ではあるが,NTRK 融合遺伝子を高頻度に認めるがん種も存在する。例えば,唾液腺分泌がん(乳腺類似分泌がん)9899),乳腺分泌がん100-102),乳児型線維肉腫(先天性線維肉腫)103-106),先天性間葉芽腎腫などである。

表6-3 NTRK 融合遺伝子の頻度93‒107)

唾液腺分泌がん(乳腺類似分泌がん,MASC)は,2010 年にチェコのSkálová らが,唾液腺に生じた乳腺分泌がんに類似した組織型の腫瘍について,ETV6-NTRK3融合遺伝子がみられることを報告した108)。男性に多く,発症年齢は平均44 歳と報告される109)

乳腺分泌がんは非常に稀な乳がんであり,頻度は全乳がん中<0.15%,発症年齢中央値25歳,両性に認められる110)。多くはトリプルネガティブ乳がんである。ETV6-NTRK3 融合遺伝子がみられる。予後は良好であるが,長期経過後の再発も報告される。

乳児型線維肉腫は乳児悪性腫瘍の12%を占め,36-80%では先天性であったとの報告もある。2 歳以降での発症は稀である。四肢発生が多い。ETV6-NTRK3 融合遺伝子がみられる。成人の線維肉腫と比べ予後良好である。化学療法の有効性,自然退縮例の報告もある111)

先天性間葉芽腎腫104)は,生後3 カ月までの腎腫瘍で最多である。悪性度は低く予後良好とされる。稀に両側性に発生し,また高カルシウム血症を認めることがある。

小児,特に3 歳未満の乳幼児の高悪性度グリオーマは,年長児や成人の高悪性度グリオーマに比べて生命予後が良く,年長児腫瘍に高頻度で認めるH3.1 およびH3.3 遺伝子や,若年成人腫瘍に高頻度で認めるIDH1,IDH2 遺伝子の変異を認めない。近年,NTRK 融合遺伝子が高頻度で乳幼児腫瘍に認められることが報告されている107)

肺がんにおいては,7 施設4,872 例の検討では,11 例(0.23%)にNTRK 融合遺伝子が認められ,6 例(55%)が男性,非/軽喫煙者は8 例(73%),年齢中央値は47.6 歳であった112)。9 例は腺がんであり,扁平上皮がん,神経内分泌がんでも検出された。

消化管間質腫瘍(GIST)では多くの場合KIT ないしPDGFRA に活性型の遺伝子変異を認めるが,これらを認めないwild-type GIST がGIST 全体の約10%程度を占める。NTRK 融合遺伝子はwild-type GIST に認められる96)

がん情報サービスによると(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」https://ganjoho.jp/public/index.html),2014 年のがん罹患数は乳がん76,257 例(女性),肺がん112,618 例,大腸がん134,453 例であり,TCGA のデータに基づいてそれぞれ0.18%,0.18%(非小細胞肺がん),0.97%にNTRK 融合遺伝子が認められるとすると,乳がん137例,肺がん202 例,大腸がん1,304 例がNTRK 融合遺伝子陽性として年間発症する計算となる。乳腺分泌がんが全乳がん中0.15%であるとすると,年間114 例となり,メジャーがんでは一般にNTRK 融合遺伝子陽性の頻度は低いものの,全体の罹患率が多いためにNTRK 融合遺伝子を高頻度に認める稀ながん種と比べても絶対数は必ずしも少なくないことに注意が必要である。一方,早期がんと進行がんにおけるNTRK 融合遺伝子の頻度に違いがあるかどうかについても現時点では十分なデータはなく,今後の検討課題である。

6.4 NTRK 検査法

NTRK 融合遺伝子を検出する方法としては,NGS 法による検査,RT-PCR,FISH,IHC などがある113114)。NGS 検査は,DNA シーケンスだけでなく,RNA シーケンスによる方法も行われる。DNA シーケンスは多くの場合,他の遺伝子変化も併せて解析するものであり,本邦でもがんゲノムプロファイル検査としてOncoGuideTM NCC オンコパネルシステム,FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルが薬事承認を得ている。また,先進医療としてこれらの他に,OncomineTM Target Test,Todai OncoPanel(DNA/RNA ともに解析)が現在検討されている。一部のNGS 検査は,既知の融合パートナーのみを検出するように設定されており,未知のパートナーを検出できないこと,繰り返し領域やイントロン全体のタイリングの問題から,染色体転座,逆位の検出感度が低下する可能性が指摘されている。RNAシーケンスでは,融合パートナーにかかわらずNTRK 融合遺伝子を検出できるものもあるが,融合遺伝子に特化したパネルを使用しなくてはならないなどの問題がある。FISH やRT-PCR での検出がこれまでの報告では多いが,いずれも単独もしくは少数の遺伝子異常の解析しかできない。また,FISH ではどのような融合遺伝子パートナーであっても簡便に融合遺伝子の存在が確認できるが,RT-PCR では既知の融合遺伝子パートナー以外は検出できないことが課題である。IHC は融合遺伝子そのものを検出するものではないが,カクテル抗体を用いたIHC によるTRK タンパク発現がない場合にはNTRK 融合遺伝子は認められなかった報告もあり115),スクリーニング検査としての有効性が検討されている。NanoString 社の遺伝子発現解析は,独自の分子蛍光バーコードを有する,標的分子の配列に特異的なプローブを,標的の核酸とハイブリダイズさせたのち,カートリッジの表面に固定し,各標的配列のカラーバーコードの並びを蛍光スキャナーによりデジタルカウントする方法で,FFPE 検体から調製したRNA サンプルでも良好なカウント結果が得られることが期待されている。NTRK 融合遺伝子の検出についてはまだ十分なデータがないことから今後の検討課題である。

6.5 TRK 阻害薬

TRK 阻害活性を有する薬剤の例を表6-4 に示す。

表6-4 TRK 阻害薬81)

115) 116) 117) 118) 119) 120) 121) 122) 123) 123) 125) 126) 127) 128) 129) 130) 131) 132) 133) 134) 135) 136)

現在本邦で臨床開発が進んでいるのは,エヌトレクチニブ,larotrectinib である。

エヌトレクチニブは,ROS1,TRK(およびALK)を阻害する経口チロシンキナーゼ阻害薬である。2018 年のヨーロッパ臨床腫瘍学会(ESMO)で,NTRK 遺伝子融合を認める患者を対象としたSTARTRK-2 試験,STARTRK-1 試験,ALKA-372-001 試験の3 つの試験の統合解析が発表された116)。軟部肉腫,非小細胞肺がん,唾液腺分泌がんなど54 例に対して,奏効割合57.4%であった(図6-3)。主な有害事象は味覚障害(47.1%),便秘(27.9%),疲労(27.9%),下痢(26.5%),末梢性浮腫(23.5%),めまい(23.5%),クレアチニン上昇(17.6%)などであった(表6-5)。また,小児・若年を中心に行われたSTARTRK-NG 試験でも,中枢神経系腫瘍を含め有効性が報告されている167)。エヌトレクチニブは,NTRK 融合遺伝子陽性の固形がんに対し,2017 年5 月Breakthrough Therapy に指定され2019 年8 月にFDA 承認,2017 年10 月EMA よりPRIME(PRIority MEdicines)に指定され,本邦でも2018 年3 月に先駆け審査指定制度の対象品目として指定され,2019 年6 月18 日にNTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんに対して薬事承認された。エヌトレクチニブの前治療の数別の奏効割合を表6-6 に示す。前治療の数が4 超である1 例を除き,いずれの前治療数においても奏効例が認められている。

図6-3 エヌトレクチニブによる腫瘍縮小116)

表6-5 エヌトレクチニブの有害事象116)

表6-6 エヌトレクチニブの前治療の数別の奏効割合(ロズリートレク承認時評価資料より作成)

Larotrectinib は選択的な経口TRK 阻害薬である。2018 年のESMO で,NTRK 遺伝子融合を認める患者を対象とした成人の第Ⅰ相試験,小児の第Ⅰ/Ⅱ相試験,第Ⅱ相試験バスケット試験をまとめた結果が報告されている117)。唾液腺腫瘍,軟部肉腫,甲状腺がんなどが主に含まれ,統合解析されたうち109 例の結果では,奏効割合81%であった(図6-4)。主な有害事象は疲労,悪心,めまい,嘔吐,AST 増加,咳嗽などであった(表6-7)。Larotrectinib は2018 年11 月26 日にFDA が,2019 年9 月EMA が承認し,本邦では現在治験が進行中である。

図6-4 Larotrectinib による腫瘍縮小117)

表6-7 Larotrectinib の有害事象117)

7クリニカルクエスチョン(CQ)

図7-1 NTRK 融合遺伝子検査とTRK 治療薬

CQ3-1

CQ3
NTRK 融合遺伝子検査の対象

PubMed で“NTRK or neurotrophic tropomyosin receptor kinase”,“neoplasm”,“tested or diagnos*or detect*”のキーワードで検索した。Cochrane Library も同等のキーワードで検索した。検索期間は1980 年1 月~2019 年8 月とし,PubMed から70 編,CochraneLibrary から1 編が抽出され,それ以外にハンドサーチで4 編が追加された。一次スクリーニングで68 編の論文が抽出され,二次スクリーニングでも68 編が抽出され,これらを対象に定性的システマチックレビューを行った。

CQ3-1
局所進行または転移性固形がん患者
転移・再発固形がん患者に対してNTRK 融合遺伝子検査は勧められるか?

  1. 1.NTRK 融合遺伝子と相互排他的な遺伝子異常を有する固形がん患者では,NTRK 融合遺伝子検査を推奨しない。

推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:6,NR:10]

  1. 2.NTRK 融合遺伝子が高頻度に検出されることが知られているがん種では,NTRK 融合遺伝子検査を強く推奨する。

推奨度Strong recommendation[SR:16,R:0,ECO:0,NR:0]

  1. 3.上記以外のすべての転移・再発固形がん患者で,TRK 阻害薬の適応を判断するためにNTRK 融合遺伝子検査を行うことを推奨する。

推奨度 Recommendation[SR:7,R:7,ECO:2,NR:0]

TRK 阻害薬であるエヌトレクチニブ,larotrectinib は,切除不能あるいは転移性の固形がんに対して,治療ラインを問わずに試験が行われ,高い有効性が示されている。NTRK 融合遺伝子の頻度は低いもののがん種を問わずに認められており,また臨床背景でNTRK 融合遺伝子の有無を判断できるような確実なバイオマーカーは確立されていないことから,TRK 阻害薬の適応を判断するためには,NTRK 融合遺伝子が報告されているすべての転移・再発固形がんにおいて検査を行うことを強く推奨する140)。また,唾液腺分泌がん(乳腺類似分泌がん),乳腺分泌がん,乳児型線維肉腫(先天性線維肉腫),先天性間葉芽腎腫などでは,NTRK 融合遺伝子(特にETV6-NTRK3 融合遺伝子)を高頻度に認めることから(「6.3 NTRK 融合遺伝子のがん種別頻度」参照),これらの疾患においてもNTRK 融合遺伝子の検査を行うことを強く推奨する。なおNTRK 融合遺伝子は他のドライバー変異とは相互排他的であることから8184, 112),相互排他的なmitogenic pathway(成長因子受容体,RAS,MAPK pathway をコードする遺伝子群)の遺伝子異常(非小細胞肺がんにおけるEGFR 遺伝子変異,ALK 融合遺伝子,ROS1 融合遺伝子,悪性黒色腫や結腸直腸がんにおけるRAF 遺伝子変異,GIST におけるKIT 遺伝子変異など)が検出された場合には,NTRK 融合遺伝子を検索する必要はない。

Voting では,費用面・頻度面等を考慮し,検査の実施は担当医・患者の判断にゆだねられるべきであることも指摘された。

CQ3-2
早期固形がん患者に対してNTRK 融合遺伝子検査は勧められるか?

  1. 1.NTRK 融合遺伝子が高頻度に検出されることが知られているがん種では,根治治療可能な固形がん患者に対しても,NTRK 融合遺伝子の検査を推奨する。

推奨度Recommendation[SR:8,R:7,ECO:1,NR:0]

  1. 2.上記以外のすべての早期固形がん患者で,TRK 阻害薬の適応を判断するためにNTRK融合遺伝子検査を行うことを考慮する。

推奨度Expert consensus opinion[SR:1,R:4,ECO:10,NR:1]

現在のところ,NTRK 融合遺伝子を有する固形がん患者に対する,TRK 阻害薬の術前/術後療法としての意義は確立されていないが,larotrectinib の小児を対象とした第Ⅰ相試験では5 例が薬剤投与後に腫瘍縮小(partial response)が得られ,引き続いて切除が行われている。うち3 例では完全切除がなされた。また,NTRK 融合遺伝子を有する転移・再発固形がんにおいてTRK 阻害薬は高い奏効割合が報告されていることから,NTRK 融合遺伝子が高頻度に検出されることが知られているがん種ではNTRK 融合遺伝子の検査を推奨する。上記以外の根治切除可能な固形がんに対しても術前治療を念頭にNTRK 融合遺伝子の検査を検討してもよい。特に小児領域のように,根治可能な標準的治療がある場合も,その長期的な影響(晩期合併症)の軽減を目指しTRK 阻害薬が考慮される場合は,NTRK 融合遺伝子の検査に加えTRK 阻害薬による長期フォローアップのデータ蓄積が必要である。

CQ3-3
NTRK 融合遺伝子の検査はいつ行うべきか?

標準治療開始前あるいは標準治療中からNTRK 融合遺伝子の検査を行うことを強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:12,R:3,ECO:1,NR:0]

現時点では,NTRK 融合遺伝子を有する転移・再発固形がんに対して,標準治療とTRK 阻害薬のいずれが優れているかを検討した報告はない。TRK 阻害薬の有効性は,1st line から示されており,高い奏効割合が報告されている。疾患が進行し,TRK 阻害薬の対象となるべき患者において治療機会の逸失を防ぐためにも,NTRK 融合遺伝子の検査は標準治療開始前あるいは標準治療中に行うことを強く推奨する。

CQ4
NTRK 融合遺伝子の検査法

PubMed で“NTRK or neurotrophic tropomyosin receptor kinase”,“neoplasm”,“NGS”,“In Situ Hybridization”,“IHX”,“NanoString”,“Polymerase Chain Reaction”のキーワードで検索した。Cochrane Library も同等のキーワードで検索した。検索期間は1980 年1 月~2019 年8 月とし,PubMed から129 編,Cochrane Library から5 編が抽出され,それ以外にハンドサーチで1 編が追加された。一次スクリーニングで13 編の論文が抽出され,二次スクリーニングでも13 編が抽出され,これらを対象に定性的システマチックレビューを行った。

CQ4-1
TRK 阻害薬の適応を判断するために,NGS 検査は勧められるか?

TRK 阻害薬の適応を判断するために,分析的妥当性が確立されたNGS 検査を強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:16,R:0,ECO:0,NR:0]

TRK 阻害薬の適応を判断するためには,エヌトレクチニブ,larotrectinib の開発においては,NGS,FISH,RT-PCR など様々な方法が用いられてきた。報告されているNTRK 融合遺伝子は,NTRK1-3 にまたがり,融合パートナーも多岐にわたるため,NTRK1-3 いずれの融合遺伝子も検出できるNGS 検査が勧められる。また,使用する遺伝子検査パネルがNTRK 融合遺伝子をどの程度検出可能であるのかを確認する必要がある。既知の融合パートナーのみを検出できるもの,融合パートナーにかかわらず検出できるものがある。また,検査の分析的妥当性も重要である。日常臨床においてはFFPE 検体を使用することが想定されるが,検体の固定,保存からDNA,RNA の抽出の過程については,別途定められた指針(ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程 一般社団法人日本病理学会/編)に準拠することが望ましい。

NTRK 融合遺伝子の検出については,エヌトレクチニブでは,FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルがコンパニオン診断薬として承認されており,NTRK1 融合遺伝子,NTRK2 融合遺伝子とETV6-NTRK3 融合遺伝子が検出可能である。海外で承認されているlarotrectinib についてもコンパニオン診断薬が開発中である。

コンパニオン診断として行われる場合と,がんゲノムプロファイル検査のように網羅的に遺伝子解析をする場合について,分析的妥当性が確立された検査が推奨される点に相違はないものの,後者ではNTRK 融合遺伝子以外の検討もなされることから,がんゲノムプロファイル検査を行うにあたっては,「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」(令和元年7 月19 日一部改正)や関連する各学会のガイドラインを参照の上行うことが求められる。

CQ4-2
NTRK 融合遺伝子を検出するために,FISH,PCR は勧められるか?

  1. 1.NTRK 融合遺伝子のスクリーニング検査法としてFISH を推奨しない。

推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:0,NR:16]

  1. 2.NTRK 融合遺伝子のスクリーニング検査法としてPCR は現時点で推奨を決定することはできない。

推奨度なし[SR:0,R:0,ECO:10,NR:6]

  1. 3.NTRK 融合遺伝子が高頻度に検出されることが知られているがん種では,FISH あるいはPCR によるNTRK 融合遺伝子(特にETV6-NTRK3 融合遺伝子)検査を行ってもよい。

推奨度Expert consensus opinion[SR:0,R:10,ECO:6,NR:0]

NTRK 融合遺伝子は,NTRK1~3 にまたがって幅広く認められるため,FISH やPCR での検出には限界がある。FISH ではNTRK1~3 のbreak apart プローブなどが報告されているが,スクリーニングで3 つのFISH を行うことは,費用面,簡便性に問題がある。PCR 法を用いる方法では,FFPE でのRNA 保持に問題があることやパートナー遺伝子の範囲がわかっていないため,どの程度の検出精度が担保できるか判断できないため推奨できない。しかしながら,これらの問題を解決できる単遺伝子検査が出てきた場合は再検討が必要である。なお,アンプリコンシーケンスはPCR 法と同じ原理であるが,他の遺伝子変異も検出可能であることや上記検出精度が明確であるため,NGS に含めて議論する。

唾液腺分泌がん(乳腺類似分泌がん),乳腺分泌がん,乳児型線維肉腫(先天性線維肉腫),先天性間葉芽腎腫などでは,認められる融合遺伝子はほぼETV6-NTRK3 融合遺伝子であるため,FISH やPCR での検査を考慮してもよい。

最後に,別の融合遺伝子での報告ではあるが,IHC,FISH,NGS いずれの検査法においても検出できない場合があることが知られていることから141),個々の検査法の偽陽性,偽陰性などにも注意するとともに,臨床担当医と病理診断医の綿密な連携も重要である142)。特にNTRK 融合遺伝子が高頻度に検出されることが知られているがん種では,NTRK 融合遺伝子が検出されなかった場合については,別の検査法により確認することが望ましい。

なお,エヌトレクチニブの承認要件では,「十分な経験を有する病理医又は検査施設により,NTRK 融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては,承認された体外診断薬等を用いること。」とあり,注意が必要である。

CQ4-3
NTRK 融合遺伝子を検出するために,IHC は勧められるか?

  1. 1.NTRK 融合遺伝子のスクリーニング検査としてIHC を推奨する。
推奨度Recommendation[SR:2,R:11,ECO:3,NR:0]
  1. 2.TRK 阻害薬の適応を判断するためにはIHC を推奨しない。

推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:1,NR:14,Abstain:1]

IHC 法はTRK タンパクを検出する方法であるが,IHC 陽性であってもNTRK 融合遺伝子を認めるわけではないため,TRK 阻害薬の適応を判断するための検査としてはIHC 法は推奨されない。しかし,カクテル抗体を用いた検討ではIHC 陰性の場合NTRK 融合遺伝子を認めなかった報告があることから,IHC 陰性の場合にはNGS 検査等を省略できる可能性があり,スクリーニング検査としての有効性が期待される。また,33,997 例を対象に,RNA ベースのパネル検査(MSK-Fusion)をコントロールとし,DNA ベースのパネルシーケンスでは感度81.1%,特異度99.9%,IHC(clone EPR17341)では感度87.9%,特異度81.1%と報告されている152)。この報告では肉腫での感度・特異度が良好ではなく,RNA ベースのパネル検査が勧められた。現時点では最適なIHC 用の抗体も明らかではなく,用いる抗体によって感度・特異度には差があること,判定基準も確立されていないことから,結果に解釈においては検査の偽陽性・偽陰性に注意する必要がある。しかしながら,検査結果を迅速に得られることもあり,今後の開発が期待される。

CQ4-4
TRK 阻害薬の適応を判断するために,NanoString ※は勧められるか?

TRK 阻害薬の適応を判断するためのNTRK 融合遺伝子の検査法としてNanoString を推奨しない。
推奨度No recommendation[SR:0,R:0,ECO:0,NR:15,Abstain:1]
  • ※:NanoString 社の遺伝子発現解析は,独自の分子蛍光バーコードを有する,標的分子の配列に特異的なプローブを,標的の核酸とハイブリダイズさせたのち,カートリッジの表面に固定し,各標的配列のカラーバーコードの並びを蛍光スキャナーによりデジタルカウントする方法である。(以下NanoString)。

NTRK 融合遺伝子検出に関してNanoString の有効性については明らかでないため,TRK 阻害薬の適応を判断するためのNTRK 融合遺伝子検査として推奨しない。

CQ5
NTRK 融合遺伝子に対する治療

PubMed で“NTRK or neurotrophic tropomyosin receptor kinase”,“neoplasm”,“treatment”,“TRK inhibitor”のキーワードで検索した。Cochrane Library も同等のキーワードで検索した。検索期間は1980 年1 月~2019 年8 月とし,PubMed から132 編,CochraneLibrary から6 編が抽出され,それ以外にハンドサーチで2 編が追加された。一次スクリーニングで38 編の論文が抽出され,二次スクリーニングで11 編が抽出され,これらを対象に定性的システマチックレビューを行った。

CQ5-1
NTRK 融合遺伝子を有する切除不能・転移・再発固形がんに対してTRK 阻害薬は勧められるか?

TRK 阻害薬の使用を強く推奨する。
推奨度Strong recommendation[SR:16,R:0,ECO:0,NR:0]

NTRK 融合遺伝子を有する固形がんに対して,TRK 阻害薬のエヌトレクチニブ,larotrectinib の有効性が示されている。現時点では,TRK 阻害薬と他の薬剤の比較試験はないが,TRK 阻害薬の奏効割合は高い。また,TRK 阻害薬の有害事象は軽微であり,害と益のバランスは益が大きく勝っていると考えられる。患者の嗜好にもばらつきはないと考えられる。以上から,NTRK 融合遺伝子を有する固形がんに対して,TRK 阻害薬の使用を強く推奨する。

なお,標準的治療がある場合については,現時点でTRK 阻害薬との比較試験がないことから,いずれの治療を行うかについて,それぞれの治療の期待される効果,予測される有害事象,晩期毒性なども踏まえ個々の症例で治療について検討すべきである。

CQ5-2
TRK 阻害薬はいつ使用すべきか?

初回治療からTRK 阻害薬の使用を推奨する。
推奨度Recommendation[SR:3,R:10,ECO:3,NR:0]

NTRK 融合遺伝子を有する固形がんに対して,TRK 阻害薬のエヌトレクチニブの有効性は初回治療例から認められており,TRK 阻害薬と他の薬剤の比較試験はないが,TRK 阻害薬の奏効割合は高い。また,TRK 阻害薬の有害事象は軽微であり,害と益のバランスは益が大きく勝っていると考えられることから,初回治療からTRK 阻害薬の使用を推奨する。

なお,標準的治療がある場合については,現時点でTRK 阻害薬との比較試験がないことから,いずれの治療を行うかについて,それぞれの治療の期待される効果,予測される有害事象,晩期毒性なども踏まえ個々の症例で治療について検討すべきである。

8参考資料

8.1 各ガイドラインでの推奨

NCCN ガイドラインにおけるNTRK 融合遺伝子検査,TRK 阻害薬に関する言及をにまとめる(2019 年9 月時点)。


ESMO ガイドラインでは,4th ESO-ESMO International Consensus Guidelines for Advanced Breast Cancer(ABC 4)において,「If an ABC patient presents with a tumour with an NTRK fusion, treatment with a TRKi is a possible consideration.」(Expert opinion/C)と記載されている。

ESMO recommendations on the standard methods to detect NTRK fusions in daily practice and clinical research165)では,下記アルゴリズムが提案されている。


Ⅳ その他

9.1 診療体制

検査の質保証の要件は施設認証,検査自体,検査従事者の水準・資格,職員に関する教育およびリスクマネジメントの観点から考える必要がある。検査施設は国際規格であるISO15189(臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)や米国病理学会(College of American Pathologists:CAP)などによる外部認定を取得・維持することにより,検査精度の信頼性を確保することが望ましい。検査自体の質保証,検査従事者の質保証に関しては「OECD Guidelines for Quality Assurance in Molecular Genetic Testing」,「遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティスガイドライン解説版」等に準拠して行われるべきである。検体の取り扱いについては「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」を参照されたい。

がんゲノムプロファイル検査を行うにあたっては,「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」(令和元年7 月19 日一部改正)や関連する各学会のガイドラインを参照の上行う。診療体制についても,必要に応じてエキスパートパネルでの検討が行えること,遺伝カウンセリングを行う体制があることなどが必要である(必ずしも施設内で行う必要はないが,検討できる体制整備は必要である)。

9.2 NGS 検査に適した検体

検査材料としてはホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロックが推奨される。検査方法に応じた十分量の腫瘍細胞の存在が組織学的に確認できれば,新鮮凍結組織を検査材料として使用しても良い。

NGS 検査を行うにあたっては,検体の固定,保存からDNA,RNA の抽出の過程については,別途定められた指針(ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程 一般社団法人日本病理学会/編)に準拠することが望ましい。

肝転移巣と比較しリンパ節転移巣ではdMMR 判定結果の一致率が低かったという報告もある143-145)一方で,原発巣と転移巣でのdMMR の検査結果に差は認められないとする報告もある。腫瘍の発生メカニズムから,dMMR は腫瘍発生の比較的早い段階から存在すると考えられているため,基本的には原発巣と転移巣でその判定に変わりはないと考えられるが,採取方法や採取部位より十分量の腫瘍細胞を確保できる点を最優先に検体を選択する必要がある。検体の取り扱いについては「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」等を参照されたい。複数時点で採取された検体が存在する場合には,シスプラチン含有レジメン後にMLH1 やMSH6 タンパクの発現が消失するという報告もある146147)ことを考慮すれば,薬物療法の修飾を受けていない検体をdMMR 判定検査に使用することが望ましい。

また,原発巣が複数存在する多重がんの場合には,原発巣によってdMMR 判定検査の結果が異なる可能性がある。切除不能と判断され,原発巣となり得るがんが複数存在する場合には,臨床的な判断により,より進行し治療が優先される原発巣を推定し,dMMR 判定検査を実施する。ただし,複数の原発巣候補となる病巣が存在する場合には,優先して治療対象となる転移巣から可能な限り再生検を行い,dMMR 判定検査を行うことが望ましい。

9.3 検査回数,タイミング

本邦では,リンチ症候群のスクリーニングを目的とする場合と抗PD-1 抗体薬の適応を判定する目的でMSI 検査の保険適用があり,一方の目的で検査を実施した後に,もう一方の目的で検査を行うことは,保険診療上可能となっている。

NGS によるがんゲノムプロファイルについては,適切な検査回数,検査のタイミングについてはランダム化比較試験等により検証されていない。しかしながら,本ガイドラインで示す通り,臓器横断的診療が広く行われてくることを鑑みると,dMMR やNTRK 融合遺伝子は,薬物療法開始にあたって検討することが強く推奨される。

検査回数については,複数回の検査を行うことの目的と意義,どのような検査方法を用いるのかを検討する必要がある。NTRK 融合遺伝子を有する固形がんに関しては,キナーゼ領域にかかわるNTRK 遺伝子変化が併存するとTRK 阻害薬耐性となることが報告されていることから,TRK 阻害薬耐性となった際にTRK 遺伝子変異を検討し,新規TRK 阻害薬を検討することは理にかなっているように思われるが,現時点では今後の検討結果を待たねばならない。

現在多くのがん種において,二次耐性機構の検討解明がなされてきている。この観点からは,検査を1 回に限ることは妥当ではないが,適切な検査タイミングと回数は医療資源,医療費の観点から今後の検討課題である。

9.4 リキッドバイオプシー

血液や尿などの体液サンプルを用いて,直接腫瘍組織を用いることなく,腫瘍の状態を診断するリキッドバイオプシー検査の有用性も報告されている。血液中には通常でも一定量の遊離DNA が存在しているが,がん患者ではその量が増えることが知られている。正常細胞・腫瘍由来を含め,血漿中に存在するDNA をcell free DNA(cfDNA)と呼ぶ。がん患者におけるcfDNA は腫瘍由来のものも含まれることから,circulating tumor DNA(以下ctDNA)と呼ばれることも多い。腫瘍組織,ctDNA をそれぞれMSI 検査キットとNGS 検査で検証した報告では感度(86-100%)・特異度(99-100%)ともに高いと報告されており148149),検査のための腫瘍組織がない場合は,低侵襲かつリアルタイムに腫瘍の遺伝子異常を検出する検査法としてctDNA を用いた検査も期待される。

9.5 エキスパートパネル

がんゲノムプロファイルのような遺伝子パネル検査で検出された遺伝子バリアントの解釈に基づいて治療を提供するためには,遺伝子バリアントの解釈とそのエビデンスレベルを付記する「臨床的意義付け」のプロセスが重要である147148)。このために,OncoGuideTM NCC オンコパネルシステム,FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルが薬事承認された際に,承認要件としてエキスパートパネルによる検討が厚生労働省の「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」(令和元年7 月19 日一部改正)において定められている。この指針中ではエキスパートパネルの構成員は以下の要件を満たさなければならないとしている。

  1. ①がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する診療領域の異なる常勤の医師が,複数名含まれていること
  2. ②遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師が,1 名以上含まれていること
  3. ③遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者が,1 名以上含まれていること
  4. ④病理学に関する専門的な知識及び技能を有する医師が,複数名含まれていること
  5. ⑤分子遺伝学やがんゲノム医療に関する十分な知識を有する専門家が,1 名以上含まれていること。なお,当該専門家は,申請時点からさかのぼって3 年の間に,がんゲノム医療又はがんゲノム研究に関する英文の査読済み論文(筆頭著者または責任著者に限る)を執筆した実績があることが望ましい。
  6. ⑥シークエンスの実施について,自施設内で行う場合は,次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析等に必要なバイオインフォマティクスに関する十分な知識を有する専門家が,1名以上含まれていること。なお,当該専門家は,申請時点からさかのぼって3 年の間に,がんゲノム医療またはがんゲノム研究に関する英文の査読済み論文(共著を含む)を執筆した実績があることが望ましい。
  7. ⑦小児がん症例を自施設で検討する場合には,小児がんに専門的な知識を有し,かつエキスパートパネルに参加したことがある医師が1 名以上含まれていること
  8. ⑧エキスパートパネルにおいて検討を行う対象患者の主治医又は当該主治医に代わる医師

本ガイドラインで扱う臓器横断的バイオマーカーは,コンパニオン診断として用いられることもあれば,がんゲノムプロファイルとして検討されることもいずれも想定される。必要に応じてエキスパートパネルによる検討を行うことを推奨する。

なお,FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルおよびOncoGuideTM NCC オンコパネルシステムについて,遺伝子パネル検査の対象となる患者であって,当該遺伝子パネル検査によりコンパニオン検査が存在する遺伝子の変異等が確認された場合,当該遺伝子変異等に係る医薬品投与に際して,改めてコンパニオン検査を行い変異等の確認を行う必要があるかについては,厚生労働省保険局医療課より発出された疑義解釈資料によれば,遺伝子パネル検査後に開催されるエキスパートパネルが,添付文書・ガイドライン・文献等を踏まえ,当該遺伝子変異等に係る医薬品投与が適切であると推奨した場合であれば,改めてコンパニオン検査を行うことなく当該医薬品を投与しても差し支えないとされている。

多施設多職種専門家から構成されたエキスパートパネルによる全国共通遺伝子解析・診断システムの構築および研修プログラムの開発の一環とし,日本臨床腫瘍学会などの関連学会と協働し,下記のようなe-Learning サイトがあるため参照されたい。

9.6 遺伝カウンセリング

臓器横断的なバイオマーカーに基づいて診療を行う場合には,遺伝性腫瘍との関連についての留意が必要である。例えば,dMMR についてはリンチ症候群との関連,がんゲノムプロファイルでは,germline findings,いわゆる二次的所見についての検討が必須である。そのため,必要に応じて遺伝カウンセリングを受けられるよう体制整備が必要である。

抗PD-1/PD-L1 抗体薬の適応判定に用いるdMMR 判定検査は,従来リンチ症候群のスクリーニングや補助診断のために利用されてきた。よって,dMMR 判定検査を実施する際には,リンチ症候群のスクリーニングにもなり得ることを説明し,同意取得する必要がある(「日本遺伝性腫瘍学会診療資料(http://jsht.umin.jp/project/data/msi_agreement.html)」「大腸がん診療における遺伝子関連検査等のガイダンス第4.1 版(日本臨床腫瘍学会編)」参照)。がん診療の基本として初診時に家族歴等の評価が行われていると思われるが,結果としてdMMR であることが判明した場合は,再度家族歴の確認などによりリンチ症候群の可能性を再評価する。遺伝学的検査を考慮する場合も想定されることから,その結果の解釈やその後の健康管理,血縁者への遺伝などの専門的な面談や遺伝カウンセリングについて施設内もしくは連携施設において対応できる体制を整えなければならない。

NGS を用いたがんゲノムプロファイル検査において見いだされる解析結果には,検査の主たる目的である「一次的所見」と「二次的所見」がある。検査の主たる目的については,時間をかけて詳細に患者に説明される必要があるが,二次的所見が発生しうることも必ず事前に説明し,理解を得る必要がある。日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム創薬基盤推進研究事業 A-②:ゲノム情報患者還元課題―患者やその家族等に対して必要とされる説明事項や留意事項を明確化する課題「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」(研究代表者:京都大学 小杉眞司)による「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言」では,がん遺伝子パネル検査における二次的所見に関連する説明・同意のフローとして下記を提案している。

T/N ペア検査:腫瘍部組織と生殖細胞系列の変異を(正常細胞や採血等により)同時に調べるパネル検査
T only 検査:腫瘍部組織のみを調べるパネル検査

10Tumor-agnostic な薬剤開発

本ガイドラインでは,tumor-agnostic なバイオマーカーとしてdMMR,NTRK 融合遺伝子について記載した。上記以外に臓器横断的に認められ,薬剤開発の標的となっているものの例として,ALK,BRAF,BRCAness,FGFR,HER2,HER3,homologous recombination deficiency(HRD),KRAS,RET,ROS1,tumor mutation burden(TMB)-high(アルファベット順)などがある。

11成人・小児進行固形がんにおける臓器横断的ゲノム診療の費用対効果

この項では,臓器横断的ゲノム診療の費用対効果について,高頻度マイクロサテライト不安定性(以下,MSI-H)固形がんに対する免疫チェックポイント阻害薬・NTRK 融合遺伝子陽性の固形がんに対するTRK 阻害薬に関して現状のエビデンスを整理する。なお,遺伝子診断そのものの費用対効果については,カナダの医療技術評価(Health Technology Assessment:HTA)機関CADTH などで評価がなされ,概ね良好であるという結果が出されている153)が,本稿では診断後の治療薬の使用を取り扱う。免疫チェックポイント阻害薬・TRK 阻害薬ともに高額であり,その費用対効果に関する評価は急務である。

特定の薬剤の費用対効果を評価した上で,その情報を公的医療制度で使えるか否か(給付の可否)や給付価格の調整(価格調整)に反映させる機関をHTA 機関と称する。免疫チェックポイント阻害薬の既存の適応症,すなわち非小細胞性肺がん・メラノーマ・腎がんその他の患者への費用対効果は,諸外国のHTA 機関で数多くの評価がなされている。2016 年から試行的導入が始まった日本でも,ニボルマブ(オプジーボ)・ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の費用対効果評価のデータが検討されている。TRK 阻害薬について,2019 年9 月時点ではエヌトレクチニブ(ロズリートレク)のみが薬価収載されているが,費用対効果のデータ提出対象には選定されなかった。

MSI-H 固形がんに対する免疫チェックポイント阻害薬

MSI-H・dMMR の患者では,英国のHTA 機関NICE がMSI-H・dMMR の未治療転移性大腸がん患者へのペムブロリズマブ154)の,また豪州のHTA 機関MSAC がdMMR かつステージ4 の大腸がん患者へのペムブロリズマブ155)の評価を実施中だが,現時点(2019 年8 月時点)では結果は未公表である。なお英国NICE は上記以外にも,1)既治療患者へのペムブロリズマブ156),2)既治療患者へのニボルマブ157),3)既治療患者へのニボルマブ/イピリムマブ併用158)の3 つの評価を開始したが,いずれも中断(suspend)している。

HTA 機関の評価は未公表だが,個別の研究でMSI-H・dMMR の固形がん患者を対象としたものが2 報報告されている。

Chu ら159)は,米国でのMSI-H・dMMR の大腸がん患者への三次治療および一次治療に関し,ニボルマブ単剤・ニボルマブ/イピリムマブ併用療法の費用対効果を,既存の治療薬(三次治療はトリフルリジン・チピラシル,一次治療はmFOLFOX+セツキシマブ)と比較している。アウトカム指標は生存年LY および質調整生存年QALY をとった。マルコフモデルを用いて生涯の期待費用・期待アウトカムを推計した結果は,いずれのケースでも併用療法・単剤療法・既存治療の順に費用も高く,効果(QALY およびLY)が大きくなった。1QALY 獲得あたりの増分費用効果比(ICER)は,三次治療では単剤療法vs 既存治療でUSD153,000/QALY,併用療法vs 既存治療でUSD162,700/QALY。一次治療では単剤療法vs 既存治療でUSD150,700/QALY,併用療法vs 既存治療でUSD158,700/QALY となり,費用対効果の良し悪しの基準値であるUSD100,000/QALY を大きく上回った。費用対効果を改善するためには,価格の引き下げやニボルマブの投与期間の上限設定が重要と結論している。

Barrington ら160)は,米国の再発子宮内膜がん患者へのペムブロリズマブ単剤療法の費用対効果を,リポソーム化ドキソルビシン(PLD)およびベバシズマブと比較している。分析はMSI-H 患者とそれ以外で層別化して実施された。全生存期間(OS)の中央値のデータが得られなかったため,「OS 2 年以上を達成できた患者数」をアウトカム指標にした評価を実施した。MSI-H 集団での達成患者数1 人増加あたりのICER は,ペムブロリズマブvs PLD でUSD147,249 となった。論文中では,費用対効果の基準値を「達成患者1 人増加あたりUSD200,000」と設定し,費用対効果は良好と結論している。ただし,論文中でも言及はあるものの,「達成患者1 人増加あたりのICER」の基準値を「生存年数1 年延長あたり」「1QALY獲得あたり」の基準値から設定するのは問題も多く,現段階で費用対効果の良し悪しを断定するのは難しいと思われる。

現状では有効性データが十分に整備されていないことや,海外のデータを国内に外挿することの困難さ(特に費用データ)もあり,日本でのMSI-H・d-MMR 患者への免疫チェックポイント阻害薬使用の費用対効果を判断することはやや困難である。ただ,薬剤の価格や財政影響への注目が高まっている中,有効性や安全性に加えて費用対効果に関する情報を提供することは,薬剤の価値判断に不可欠ともいえる。今後長期の臨床データなどをもとにした,さらなる研究が望まれる。

NTRK 融合遺伝子陽性の固形がんに対するTRK 阻害薬

日本で承認済みのエヌトレクチニブ・未承認のlarotrectinib ともに,現時点で費用対効果を評価した論文は存在しない。HTA 機関の評価としては,英国NICE161162)およびカナダCADTH163164)が評価を進行中であるが,現時点で最終評価は確定していない。もっとも,費用対効果評価そのものの重要性は疑いなく,MSI-H とともに今後の評価が望まれる。

今回取り扱ったゲノム診療は,他に治療法の存在しない患者をターゲットにするものも多い。このような薬剤の評価に際しては,単に費用対効果の数値(すなわち,増分費用効果比ICER の大小)だけでなく,費用対効果以外の倫理・社会的要素の評価や,財政全体への影響をも含めた意思決定が重要になる(混同されがちなポイントだが,増分費用効果比の値は患者数に関わらず一定となるため,財政影響の評価は別途行う必要がある)。従前であれば費用対効果評価の対象外であった希少疾病の治療薬も,超高額な治療薬(CAR-T 療法のキムリア・脊髄性筋萎縮症のゾルゲンスマ)が広く知られるようになり,定量的な評価を加えることそのものは,治療の価値を明らかにするために不可欠となっている。有効性や安全性のデータとは異なり,費用対効果のデータは(特に費用面については)国内データの組み込みが不可欠である。上市後適切なタイミングで,日本のデータを組み込んだ費用対効果の評価が強く望まれる。

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